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「継ぎ足しオデンの逆襲」:鍋(生命のメルティング・ポット)のお話
失われた「鍋」こそが最高の調理プロセスだと感じ始めている。低温で様々な食材をジックリと煮ていくのである。この記事の続きです。
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「継ぎ足し鍋」は手間がかかる。妻や子供には気持ち悪いと嫌われる。しかし、僕には美味しく感じられる。
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先日、カボチャの煮つけを買って食べた。実にまずいのである。おそらく圧力鍋で一瞬で作ったのであろう。ホクホクではなくドロドロなのである。高温での調理は素材の中の「生命(タンパク・脂質の立体構造)」を壊す。だから不味い。電子レンジを調理のプロセスに入れると鍋は汚れないし簡単である。しかし、丁寧にソフリットした「玉ねぎ」とレンチンした「玉ねぎ」はまったく風味が違う。時短料理ばやりの昨今の風潮は気に入らない。家で料理を作る機会も多いだろうが、家庭科やネットのマニュアル料理は作るヒトに媚びていて好まない。
50年前の調理プロセスのエッセンスを研究している。多分、この道で正解である。何故ならば、美味しいからである。
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まもなく一ヶ月である。「継ぎ足し先生」には一月くらいから味わいが変わると聞いた。確かにそのようだ。ここ数日味わいが変わってきている。実に奥が深くなっている。煮干しの香りが残り、舌の奥には随分前に入れた芝海老の堅さが感じられる。牛すじは柔らかくなり、かなり昔に入れたおでん種も美味しい。大根はほぼ溶けてしまっている。先日入れた手羽元唐揚げは骨と身と別れている。
今日はゆで卵とニンニクを入れて、昆布を結んで入れた。
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骨の髄からも生命のエッセンスが鍋に渡される。生命は食物連鎖の中から様々な「生命の要素」を受け取る。愚かセ無知蒙昧な医学はその貧弱な知見から「分かりやすい因果関係があり商品と出来る物を」栄養素と呼びラッピングして高値をつける。
「病因がなく症状だけの病」の本当の原因は、工場で作られる「栄養満点の食事」なのだ。そんな事を医者と議論する気はない。自分の料理が医者いらずの人生を迎えさせてくれればそれで良いのだ。
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