#10 狂おしいよ、恋|夢中だよ、愛
どうすれば、この思いが
あなたに届くのだろうと悩む。
どれだけ文字を紡ごうと、
どれだけ思いを募ろうと、
見てくれなければ、意味がなくて。
あなたを想いながら
書いた文章だと思っていた。
けれどあなたが見ることはなく、
私が書いたという意味が無くなって。
文章の書かれた手紙は、
白紙と同じ意味を持つ。
見る人がいるからこそ、
書かれている文章に意味があるわけで。
・・
狂おしいです、私。
あなたを思うと、途轍もなく。
喉から手が出てきそう、私。
あなたを考えると、途方もなく。
連絡の途絶えたスマートフォンを見る。
あなたと繋がり合えないのなら。
・・
私はスマートフォンを捨てる。
そして身を乗り出す、窓から。
パーン、と音が
真夜中に鳴り響いた。