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#21 優しさに触れる
別に優しくなくていいけれど、
優しさを知っている人でいたい。
別に優しいと思われなくていいけれど、
優しさを抱く心を持ち合わせていたい。
別に優しさに気付けなくてもいいけれど、
思い返したときに優しさだと感じたい。
優しさがどこから現れて、
どういう匂いを帯びているのか。
恐らく、桜の香りがするのだろう。
甘くて全てを委ねたくなる匂い。
退紅色の柔らかな雰囲気。
優しさに触れるたび、
恥じ入った思い出がふっと湧く。
そしてクスッと笑う。
その余裕が優しさへと変わり。
誰かへと与えゆく。
伝染病のようにずっと。
だから人の心の根には、
退紅色があるのだろう。