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#25 可愛らしさに騙される
可愛らしさには、
見えない毒があるのだと知った。
美しさにはそもそも、
近寄りがたくて触れられないけれど。
可愛らしさにはひょいっと
触れられそうな雰囲気を感じる。
バラには触れたくないけれど、
ユリには触れたくなるような。
棘のあるバラとは違い、
棘のないユリになら、と。
しかし可愛らしさには、
心を蝕む毒が潜んでいるもので。
触れてしまったが最後。
全てを奪われてしまう。
好意も金銭も優しさも。
余すことなく奪われて、
何もないと悟ると離れゆく。
そして可愛らしさは
美しさへと変貌を遂げる。
何も知らないから美しいのではなく、
全てを知ったから美しくなれるのだと。
可愛らしさに騙された男性が、
美しさを求めて街を彷徨う。
けれど待っている結末は、
変貌を遂げた美しさなのだとは知らず。