#20 会いたいと願う夜
出会ってしまったから、
出会う前の私には戻れない。
出会う前の私が何時に寝て、
何時に起きていたのか覚えていない。
あなたという存在が
私の日常へと侵食してゆく。
夜、通話をする。
だから寝る時間が遅れる。
朝、LINEが来る。
だから起きたときは幸福感に満ちる。
いつまでも続け、幸せ。
そう願うことで、続く気がした。
けれど出会いがある限り、
いずれ別れが訪れるもので。
1か月もしないうちに、
日常からあなたという存在が消えた。
出会う前は寂しさなんて
感じたことすらなかったのに。
寝る前、途轍もなく寂しい。
目覚めたとき、憂鬱な気分が満ちる。
会いたいと願う、夜。
会えない絶望に溺れる。