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#27 野良猫が受け取った愛
自分の住む場所から近くにある
駐車場には野良猫が居座っていて。
いつも自転車で通るたびに
手を振っているのだけれども。
近寄ったことがある。
自転車を降りてそっと。
猫は人に慣れているのか、
自ら近寄ってきてくれて。
「撫ででくれ」と言わんばかりに
腹を見せながらニャーニャーと鳴き。
撫でると落ち着いたような顔になる。
小さな体にもぬくもりはあって。
いったい、これまでに
どれだけの人を誘惑してきたのか。
まるで魔性の女
ならぬ魔性の猫。
猫に夢中だったが、
ふと後ろを振り向く。
老夫婦がこちらを見つめている。
少し頭を下げる私にニコッと微笑む老夫婦。
猫は立ち上がり、老夫婦へ向かう。
私の愛を知らんぷりして。
猫は分かるのだろうか、
どれだけの愛をその人が持ち合わせているかを。