「学校学習の時間モデル」と「ど力のつぼ」
ジョン・B・キャロルという人が唱えた「学校学習の時間モデル」という考え方があります。
同じ学習時間であっても,ある子どもはできるようになるが,別の子どもは出来るようにならない,ということはよく起こります。
その要因は能力の差にあると考えるのが一般的ですが,キャロルは「同じ学習時間をかけた場合の学習成果に差が生じるのは,学習内容を習得するのに必要な時間が一人一人異なるためである」と考えました。
たとえば,一つの学習内容を習得するのに必要な時間が,生徒Aは3時間,生徒Bは10時間であるとします。学習時間(授業の時間とか)が3時間であった場合,Aはその内容を習得できます。しかしBはその内容を習得するためには,あと7時間必要だというわけです。あと7時間あれば,Bもその学習内容を習得できるのであり,AもBも,その学習内容を習得できる能力はあると考えるのが,「キャロルの学校学習の時間モデル」です。
この考えを読み返していて,ふと連想したのが,角野愛さんという,当時小学校1年生だった子どもが書いた「ど力のつぼ」という作文です。その一説を引用します。
私は,大学生のキャリア教育やキャリア支援を仕事にしているわけですが,大学生のキャリア発達というのも,案外同じなのかもしれません。
就職活動という場面でも,普段仲良くさせていただいている地元の社長さんに「就職するならウチに来ないか」と声をかけられ,1社のみの応募で決まる人もいれば,(就職サイトで「エントリー」をしただけ,という企業も含むでしょうが)200社ほどエントリーしてようやく決まった,という人もいます(そういう学生とかかわったことがあります)。
就職を志してから実際に就職が決まるまでに必要な時間は,一人一人違うが,あきらめずに応募を続けていけば,「あなたに入社してほしい」と言ってくれる企業が必ず現れるはずです。特に昨今の「売り手市場」の場合には…。
新年度の授業のことや,これからの研修を企画する中でふと思いついたお話でした。この話,授業のネタとしても使えそうだ……。
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