股関節200 なぜ人工股関節置換術をALSで行っているか?
おはようございます。
工作といえばノッポさん世代の塗山正宏です。
ちなみに、股関節の記事もついに200本になりましたね!
今日のテーマは、
なぜ人工股関節置換術をALSの手術方法で行っているか?についてです。
人工股関節置換術の手術方法には色々あります。
手術を行うための進入法(皮膚を切開する位置)が主に4つあります。
・前方(Direct Anterior Approach)
・前外側(Antero-Lateral Supine Approach、OCM、Mini-One)
・側方(Direct Lateral Approach)
・後方、後側方(Posterior Approach, PosteroLateral Approach)
そして、前方系MIS(Minimally Invasive Surgery)としては、主に3つあります。
・仰臥位前方進入法(DAA:Direct Anterior Approach)
・仰臥位前外側進入法(ALS:Antero-Lateral Supine Approach)
・側臥位前外側進入法(OCM)
私が普段人工股関節置換術で行っているのは、この3つのなかの「仰臥位前外側進入法(ALS)」です。
なぜ私がこの手術方法を選択しているのか。
理由は色々あります。
①仰臥位(あおむけ)であるため、骨盤の位置が安定し、カップを目標の位置に設置しやすい。
②臼蓋カップを設置するために、臼蓋の骨を削る方向が視認しやすい。
③筋肉の間から手術をするため、筋肉に対するダメージが少なく、脱臼リスクを低減できる。
④前方の関節包靭帯(腸骨大腿靭帯)を温存することが出来る。
⑤股関節の後方組織を温存することが出来る。
⑥仰臥位のため、脚長差の確認が行いやすい。
⑦体位変換が必要ないため、両側同時人工股関節置換術が行いやすい。
⑧どんなステムでも挿入することが可能である。
⑨展開が困難である際に別のアプローチに変更可能である。
⑩術中レントゲン撮影が容易である。
⑪助手が一人いればオペを行う事が可能である。
改めて考えてみると、色々な理由がありましたね(笑顔)。
私は人工股関節置換術の手術方法として、
・前方
・前側方
・側方
・後方
これら4種類のすべての手術方法の経験があります。
前方で手術してほしいと言われれば出来ますし、側方で手術してほしいと言われれば出来ますし、後方で手術してほしいと言われれば出来ます。
これらの色々な手術方法を全て経験してきたなかで、やはり「仰臥位前外側進入法(ALS)」が一番バランスが取れた良い手術方法だと感じています。
やはり全てのアプローチを経験しないと、どの手術方法が良いのかって語る事って出来ないと思いますね。
そして、もし今後より良い手術方法が開発されるのであれば、変更する可能性は全然ありますよ。
常にベストな手術方法で手術を行いたいですからね。
ゴールは無いと思っていますから(笑顔)。
本日のまとめ
常にベストな手術方法を目指していくのが私のスタイル。
「手術はハートで行うもの!」
向上心は貪欲に持ち続けている整形外科医の塗山正宏でした。