暴走が止まらない
考えてみれば、今まで「師匠」というものが、僕にはいなかった。だから全部、見て、考えて、試して、自分なりに工夫してきた。
今年、突然、「師匠」ができた。一人で進んでいると思っていた道の先に背中が見えた。今までに感じたことのない嬉しさがこみ上げた。思わず出た言葉は、「いてくれてありがとう」だった。
社会変革を目指して思考の抽象度を上げていくと、話が通じなくなっていく。理解されたいけど理解されない経験が積み重なり、孤独を感じるようになる。それが、いつの間にか、自分にブレーキをかける。
橘川さんと出会ったことで、この道を進んでいっても大丈夫なのだという安心感が生まれ、「あの背中のところまで行きたい」と思った。ブレーキを踏んでいた足を、アクセルに踏みかえた。
70歳になってなお、同じ道の先を暴走している橘川さんが、振り返って言った。「田原君、リミッターを外して暴走しよう。」
暴走が始まった。「1ヶ月で本を書いてくれ」というリクエストを受けて、朝4時起きで書き続けた。2ヶ月かかったけど、昨日、書き終わった。内容も、思いっきり暴走した。
「師匠」は、どんどん元気になっている。それを見ると、組織の中でいつの間にか自分にかけていた制限に気づく。
橘川さんが、「田原くんに遺産相続するよ」と言い出したとき、受け取ろうと思った。受け取るものが、自分の器に入りきらないときは、器を壊せばいい。今までもそうやって何度も壊してきた。受け取るって覚悟を決めることは、清々しいことだ。
ふつうは、あの人を師匠にしたいとか思って、入門とかするんじゃないかな。やったことないけど、そんなことかと思っていた。でも、橘川さんの場合は、時代の流れの中で出会ってしまって、ガチャっとかみ合ってしまった。そうなったらしょうがないって感じだ。
ここ数年、いつのまにかバランスを取る意識が育っていたけど、また、暴走するよ。となりで暴走している平野さんの存在もうれしいよ。
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