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ユニークな人たちに出会えるおもしろ社会科見学

タイに居るとたまにユニークな人たちと知り合うことがあります。僕の場合は中小企業を相手にWeb制作を行っているので、社長はだいたい個性の強い人たちだし、通訳を手伝っている会社はVISAサポートをやっていて、こちらも同じく一風変わった人たちが来ることがあります。

今回のお客さんはなかなかユニークで、その人は日本人だがある東南アジアの国の国籍を取得し、その国のパスポートを使って、タイランドエリートVISAを取得しようとしていました。VISAの取得費用は1,500,000バーツ + 取得サポート手数料。

書類のやり取りや準備を含め2ヶ月ほどで申請が完了。タイへ入国する日時と空港を決め、当日は優先レーンを使って、イミグレでエリートVISAをもらい、迎えのBMWに乗って指定のホテルまで送っていく段取りを組んでいました。

ところが「今無事に空港のイミグレに到着されたようですが、なぜ国籍を変えたのか色々聞かれているようです」と、本件を紹介してくれた山本さんから僕のLINEが鳴りました。「理由を答えると問題がありますか?」と僕。「特に問題は無いですが無効になったりしないか心配されています」

答えて問題ない理由なら無効になんてなるわけないんだから、係官の質問に答えてVISAを貰えばよいのに、と思うのですが、事態が事態だし僕は責任を負えないので、「確認します。お待ち下さい。」といってボスに連絡。

ボスからの連絡を待っている間に「ボスに確認中ですが、普通の質問ではなく、何か良くない雰囲気とか文脈で聞かれているんでしょうか?」と聞くと「同行してないのでそこまではわかりませんが、このまま問題無しとされるかもしれません。もし問題ありとなったら連絡させてください」と。

すぐにボスと連絡がついて「例のエリートVISAのお客さん、スワンナプームのイミグレで捕まって、国籍を変えた理由を聞かれ、VISAをもらえなくて困ってるみたい。」「国籍はなんで変えたの?」とボス。「僕も聞いてないけど、国籍を変えた理由を係官に言ってください、と伝えました。」「うーん、詳細が分からないわね」「ですね。とりあえずそういうことですから、動きがあったら、また連絡します」と電話を置いて、山本さんへ。「ボスと話しました。国籍を変えた理由を言ってください、というのが我々の見解です。言ってまずい理由でなければ。」と送ると「分かりました」とあってしばらくすると「拒否されたみたいです」とLINEの返信。

「理由がなんだかを聞いていますか?」
「理由を教えてもらえず、送還されているそうです。」
「いまひとつ状況が見えないのですが、我々と直接連絡をとるのは難しいですか? イミグレ係官の連絡先もらえればこちらからかけてみます」
「分かりました、確認してみます」

この後、イミグレの係官とウチのボスが電話で話をしたところ、空港のコンピューターに良くない記録が入っていたようで、「入国はできない」の答えが返ってきました。

翌日山本さんから「結局このお客さんはタイから返されたあと、現地の空港でICPOに連行されて(ICPO = インターポールってルパン三世の銭形警部でしか聞いたことがない)、そのまま連絡がついていない」と連絡がありました。ボスに状況を話すと「連絡が取れたら、本当のことを言ってもらえれば、やれる限りで対応します」と答えをもらって、これ以上は僕たちには何もできないので、この件はいったんここで終了。消息がつかめたら仕切り直し。

後から聞くと、どうやらこの依頼者は日本政府より旅券返納命令を受け、官報とかいうものに名前が載り、この官報に名前が乗るとインターポールにも指名手配をされるような訳アリの人物だったようです。山本さんはタイから返された依頼者となぜ話ができているんだろう? 気になることがあるけど、事実は小説よりも奇なり。謎は謎のまま置いておくことにしよう。

これまでにも小指の先がない飲食店の大将、タイで借金をつくって音信不通になった人(この人がいなくなって、僕に通訳の仕事の話が降ってきた)、会社経営が破綻してVISAとワークパーミットのキャンセル料金支払いを逃げたせこい男、それに日本に拠点を置いている経営者でタイが好きでこっちで商売をやりたいと視察に来て、日本の部下たちにタイにいることがばれないようにホテルの部屋でわざわざダウンジャケットを来て、クーラーをガンガンに効かせZoomミーティングをやった人、それからタイでのアダルトグッズ販売は禁止だが港とコネを持って密輸販売していて、その販売を僕に一緒にやらないかと連絡をしてきた人やその話にのっかって「マスターベーターソンっていうオナニーの世界大会で2度優勝した面白い人が働いてるテンガって会社で開発しているアダルトグッズ」とか何とか記事を書いて、ウェブサイトに誘導して売ってみようって途中まで本気で考えていた僕とか、ユニークな人たちがいるけど今回の話はスケールが違いました。

あともうひとつ、僕が今まで会った中でおそらく一番の金持ちが出てくる話もあって、もう80才になる人でスクンビットにこれから6000万バーツで売ろうとしてるビル持ち、「もう長く生きるわけじゃないから、これを売ることに意味はないんです」と言い、話を聞いていると日本にもたっぷり金がある様子で、本当にあのビルを売ることに意味なんてないんだろうけど、この人を30年も騙し続けていたタイ人弁護士とそこに入ってうまいことをやろうとしていたタイでは会計士をやっているが、アメリカで弁護士の資格を持っていると言っておきながらタイ人弁護士と英語を話す場面で「ディス・イズ・ノット・グッド」と完璧な和製英語で言ったきり、他の英語を一切話さないことでその場に居た全員に「こいつは嘘つきだ」ということがバレて姿を消していった男の出てくる話もあるのですが、今日のところはこれくらいにして、また強烈な人が現れたら筆を取ることにします。

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