「働く」は最高のオーケストラである
はじめに
こんにちは!
相も変わらず新規事業の立上に走り回っています、南日です。
メインミッションとしては新規事業の立上をしながらも、最近は約150名の部門経営チームの1人として全体を見る役割も担っています。SaaSでのプロダクト開発は初めてでしたが、優秀なメンバーがいてくれるからこそ、ここまでこれたと思っています。もうすぐで正式発表ができそうです!(構想の中でのまずは第一弾!リソース確保ができればもっと他アプリケーションを出していきたい・・・)
既に大手企業や複数企業が決まり始めていて、デモ利用も多くしてもらいながらPDCAを回して開発を前に進めています!既存事業が強い会社の中での立上は様々な障壁がありましたが、一方で協力をしてくれたトップ層・営業現場の方々も多数いたりなど、仲間がいるから頑張れる、みたいなところがありました。
今回の記事は、米国でも注目されている「Action Platform」「Work Experience」「Learning Experience」について触れながら、これから必要とされるであろう「働く場所が自らの成長につながる仕組み」について、現時点での個人的な仮説を纏めたものです。※GLOBISの見解というよりも、私個人の見解として記事を書いています
働き方の変化に伴うナレッジ化の重要性
2020年1月に立ち上げてから10か月が経過しました(早すぎる・・・)。
コロナの影響でほぼリモートワークをしています。新規事業立上や自己紹介などは以下の記事に纏めています。
(新規事業の立上時に書いた記事。懐かしい・・・)
立上当初はリモートだけで新規事業なんて出来っこないと決めつけていたのですが、やってみると色々と出来るものだなと。これは、知見があるチームメンバーが実体験のナレッジをチームにシェアしてくれたからなんですね。例えばフロントエンドが書いた記事。これはリモートでもそうじゃなくても大切なことなのですが、Working out Loud (WOL)の重要性について。
実はフロントエンドの2名が青森×京都からフルリモートで働いています。いきなりフルリモートかよ!って僕は当初、正直不安でいっぱいだったのですが(笑)、今となってはそれは杞憂に過ぎませんでした。ナレッジシェアを頻繁にしてくれたからこそ、部門全体で約150名いるのですが、おそらく最もスムーズに完全リモートに移行できたかなと思っています。
ナレッジシェアでいうと今はNotionを活用しています(上記記事もNotionにあります)。プロダクト開発は日々メンバー間での確認作業があるため、頻繁なコミュニケーションをフラットにすることが必須です(ビジネス×テクノロジー×デザイン)。当然ですが顧客課題・価値をベースに会話しています。会話した内容は大量に増えてくるため、しっかりと言語化してナレッジ化しておくことが大切だと日々感じています。
本来的には業務で成長し続ける仕組みが必要
ナレッジシェアということで言うと、僕自身は経営コンサルティングの経験が一番長く、そこでは日々マネジャーやパートナーと議論をしながら、様々なフィードバックをもらっていました。 ※以下参考記事です
(参考:外資コンサルで得られた仕事の型)
こうした仕事の現場での経験こそが仕事の基本を築き上げてきた、そして自分自身を成長させてくれたと思っています。そしてこの業務を通じた成長曲線をどれだけ描けるのか?に会社の殆どの人が拘りをもって推進していたため、個人的にはこの学習サイクルを日本の全ての企業が出来たら仕事がめちゃくちゃ楽しくなるのは?という仮説を持ちました。色々と調べてみると、これはデービット・コルブ氏の経験学習というものにあたります。
(これから必要となるWork×Learning Experience ※筆者仮説)
図解をしました。少し解説をします。まず大前提なのが右側のサイクルです(現場での経験学習)。事業企画の仕事だとします。「実践」としてマクロ・ミクロな観点で市場調査をしていきます。そしてその調査から言えそうな示唆を出し、それをもとに自分で事業戦略の仮説を出していきます。でも、ヒアリングを重ねていくと戦略が全く通用しないことに気づいてきます。そしてマネジャーに相談。自分には全くない視点を手に入れて新たな課題設定から調査をやり直します。期限が迫って焦りますが、頑張って形にしていくことが「経験」です。無事、初期仮説としての戦略が出来ました。
少し時間的余裕もでてきたので、今回なぜ最初に間違えた課題設定をしてしまったのかを振り返ります。これが「省察」です。ここで学びを型化していくことで、次回の実践でも活かせるようにするのが「概念化」です。
お分かりのように、従来の研修や動画学習ではなく、現場での経験を如何にして自らの血肉にしていけるか?ということが人の成長に繋がるということです。こうした血肉としたものを一層固めていく、或いはジャンプアップさせるために業務外での様々な学びがあります。それが左側に書いている「パラダイムシフトの支援」です。
仕事内容にもよりますが、企画だけだと頭でっかちになってしまったり、自分の領域(例:教育業界、医療業界)だけにどうしても偏ってしまいます。しかしながらこれからのVUCA時代は好奇心を持ち大局的に物事を俯瞰しながら、自分の業界にどういったインパクトがありそうかを自分のアタマで考えていくことが必須です。このような日常での仕事だけでは入手困難な「認識変容」を促すための研修は極めて重要です。
これからの企業内教育において、人事の役割は「現場チームの支援」に変わる/変わらなければならないと考えています。現場に入り込み足りない学びを提供し、更には数年後に必要となるであろう学びコンテンツを提供していくことが、強い組織を作っていくためには必要です。当然、目的をしっかりと伝えて研修に送り込むことがマネジャーには求められます。
仕事と学びの「エクスペリエンス」向上
僕自身の実体験もそうですが、最近だと米国では「Action Platform」や「Work Experience」「Learning Experience」という表現がされています(※)。エクスペリエンスというのは文字通り「体験」という意味で、出社してから退社するまでの従業員の「働く1日」の最適な体験を構築することや、その中で「学び」をどう組み込むのかということです。そして学ぶ前後をどのように設計しておくことが最適なのか?そういったことが米国では昨今着目されていて、様々なHR Tech企業が出てきています。
(※)Josh Bersin氏が米国でのソートリーダーとして様々な発信をしていますので、興味があれば以下記事ご参考に!
先ほど経験学習モデルをベースとしたこれからの働き方(学び方)の仮説を図解でご紹介しました。現場での経験を自らの血肉にするために、スキルやマインドとして言語化をすることで学びに昇華し、そしてそれらをチームや組織に還元していく仕組みを作ることこそが、これからの組織には求められると考えています。これは人事と現場、そして経営陣が共同して取り組んでいく必要があると思っています。
僕自身としては、今の新規事業をなぜこのタイミングでやっていくのか?そもそも後発マーケットでどう勝つのか?を考えているプロセスにおいて、上記Josh Bershin氏に辿り着きました。人事への様々なヒアリングを重ねていくと、実施した研修を現場で活用してくれていない(或いは活用しているか否かも把握できない)という実態が見えてきたため、研修のアフターフォローまでカバーできると良いのでは?と考えました。これこそが全体のエクスペリエンス向上になると当時は捉えていました。
しかし今では考えを少し改めています。理由はシンプルで、業務外のことで今以上に現場でやることが増えてしまっては困る(高い意欲をもって取り組めない。やらされ感)というものです。加えて、人事が提供する研修はあまり意味がない(※)といった声も現場から漏れ聞こえてきました。そのため業務以外のものを現場にアドオンする仕組みはきっとワークしないなと感じました(実体験としても、業務以外のものでやることが増えるのは嫌だなあと感じてしまったこともあります)。
※研修前後の設計(動機付けやアフターフォロー)が極めて大切で、これを設計することで、意味ある研修にシフト可能です
※手前味噌ですが、GLOBISの研修は信じられないくらい学びの設計に力を入れているので一度体験してみてください(笑)
Linkdinの調査でもあるように、94%の人は学びたいけど学ぶ時間は業務中には存在しないと言っています。要するに、そもそもの仕事の生産性を上げていくことができないと学ぶ時間の確保もできないということです。
したがって、学びを切り出して提供するのではなく、経験学習のように業務上で直接的に成長を感じられる/促進できるもの、或いはQuoraのビジネス版のようにあらゆるナレッジをためていけるプロダクト開発はマーケットフィットするのでは?といった仮説を持ちました(そして個人的にも使いたい!)。
GLOBISでの直近のチャレンジ
私が所属しているGLOBISでは約30年間、企業研修やMBA教育といったリーダー育成のドメインで事業展開をしていることからも、最初から「働く」ドメインでの新規事業を推進するのはどうしても難しい事情がありました(自社リソースを最大活用すべきという戦略的な話です。私もこれはGLOBISの人間として納得しています)。
そのため、直近では「学びのドメイン」で事業展開をするために、エンタープライズ向けSaaSとして「ラーニングマネジメントシステム(LMS)」を大企業の人事向けに開発をしています。これによってオペレーション業務に向き合わざるを得ない人事を救っていきます。結果として空いた時間で研修の効果測定や社員の行動変容等に向き合える時間を確保していくことが狙いです。
LMSはマーケットとしては後発ですが、企業内育成業務のコアでもあります。まずはこの状況を解決すべきと判断をしています。育成に強いGLOBISにとっても見逃すわけにはいかない領域でもあります(事業戦略的なメリットも多いですがここでは割愛します)。そのため内製で開発する意思決定もしています。
一方、LMSだけを開発していては事業的なスケールも難しく、もっと言うと働く人のポテンシャルを解放するためには他に様々解決すべき課題があります。現時点では、中期的には大きく2つの方向性で課題のメカニズムを解き明かし解決をしていこうと考えています。
もう少し詳細までお伝えをしたいのですが、まずはこのレベル感で課題の方向性を考えています。LMSはオペレーションに向き合わざるを得ない人事を救うためのプロダクトです。人のポテンシャルを解放していくためにはまだまだ解決すべき課題があります。それは「働く」の中身に入っていく必要があり、学びだけではなく「Work Experience」「Action Platform」の領域に染み出していかなければ実現できないだろうという考えを持っています。
デジタルプロダクト開発というドメインで、どこまでGLOBISが手を伸ばせるかはまさに議論をしている段階ではありますが、出来ることは全てやっていきたいですね。
あなたにとっての働くとは?
私自身、高校までどうしても勉強が好きになれませんでした。ただ、大学時代に留学するチャンスを得たときは奇跡的に勉強が続き、大学入学後の英語テストでは学生期間における英語のクラスを全て免除してくれるほどのトップ成績を出せました。
一人ひとり、その人がなぜ学び、何を学び、それをどういう順番で学ぶべきかは全く異なります。特に「Why」の部分は本当に人の数だけあります。これは、仕事においても全く同じです。なぜ働き、どのような職種で働くべきか、どの企業に最初に入るべきか。これは自分の心に素直に向き合っていくしか答えは見つかりません。比較からは自分の豊かさは生まれません。
僕自身、大病をするまでは人との比較や反骨心、そして自分自身の可能性を広げる目線でしか仕事探しができていなかったと反省しています。しかし、一度死を見ると自分自身に向き合わざるを得なくなりました。そして仲間がいるからこそ頑張れる自分にも気づけました。
そこから2年ほど内省し続けることで、やっと自分自身にフィットするミッションが見つかりました。それが「働く人のポテンシャルを解放する」です。そして、何よりも信じられる友人や仲間が心から励ましてくれました。そのため仕事は仲間と共に創っていきたいと心から思います。折角生き延びた人生なので、僕自身はこのミッションを実現するために働き続ける、生き続けると定義することができました。
皆さんにとって働くとは何でしょうか?
こればかりは自分自身のアタマで考え続ける必要があります。これを乗り越えてこそ、働く楽しさが待っているのであきらめずに考え続けてほしいと思います。僕としては、働く場所を最高にしていけるようなプロダクトを今後開発していきたいと思っています。
長くなりましたが、以上!