鎖みたいなものと、水みたいなものが、いつもあるのです。
多層的な雲の色が明らかな秋だったりする。
3年前の秋を思い出したが、ほんの少しタフになった視点に気づいた気がしただけだった。
こんな日は電気をつけないで暮らしたい。部屋の電気を消すとモニターがぷつりと消え、戻る。
誰かに伝える会話のために昨日推敲した言葉は、1人の思考の中には必要がない、と思い出す。真暗闇で私は1人でいたいから、と付け足す。
木々の色付きが変わったことに気づいたり、部屋の湿気にまとわりつく「ねばり」みたいなものが無くなったり、日差しが瞼の手前でその濃淡を変えたり、
そういう中に答えはある。きっと何も変わっていないまま、時間が過ぎて流れていっただけのこと。
少し手を洗って、訳もなく風邪薬でも飲んで、照り輝く屋根とその手前の電柱のシルエットでも眺める。
僕の心の中には、鎖みたいなものと、水みたいなものが、いつもあるのです。
取っ払ったら怖いんだろうな、誰かに嫌われてしまうかもしれない。だからいっそ大事に握りしめて、欠片も蔑ろにしないで、ただ交われる夜を待つ。
2024.09.23