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夢見モグラは空を待ち侘びて 73日目(最終話)


この身体が抜け殻になっても、
いつか忘れ去られてしまっても、
“空の木”はその名の示す通り、
晴れの日も雨の日も変わりなく、
風の日も雷の日も揺るぎなく、
高く、高く、雲を突き抜けんばかりの勢いで背を伸ばし続け、
今日も一望にしてその全てを見渡すことのできる特等席から、
東京の街を優しく、朗らかに見守っている。

モグラはきっと、
地下のどこかでうたたねをしながら、
モグラはじっと、
春の日の訪れを心待ちにしている。
モグラはずっと、
信じることを、愛することを、躊躇わない。
どんなに辛くとも、悲しくとも、寂しくとも、
今はまだ光射さずとも。
夢見モグラは空を待ち侘びて。(完)

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あとがきの話。

えっと、あとがきって何書けばいいんだっけか。
そもそも後書き、という、字面に、
なにやら後ろ向きな要素を感じます。嫌だ嫌だ。
自分の性格を含めても、精一杯、全力で、
言い訳の類をそれはもう綺麗に整理整頓して並べそうなので、そういうものは、一旦置いといて、(後日燃料、ガソリンにして燃やそうと思います。)
まず、この連載をどこかでお目にかけて下さった方に対して、
改めてきちんと感謝の気持ちを伝えたいのと、
それに加えて、少しモグラの未来の話が出来たらなと思いました。

色々とこの連載を書き進めているうちに、
ライブハウスに生息しているロックバンドという生き物、
バンドマンという生き物は、
なんだかモグラみたいだなと思っていました。
一生の大半を地面の中で過ごして、
いつか日の目を浴びることを信じてやみません。
そして、その大半は盲目です。例に漏れず自分もそうかも知れません。

そんなモグラたちの居場所は、今、厳しい状態にあります。
多くのライブハウスは難しい状態が続いています。
それでも少しずつ、未来に向けて、それぞれがその場所を、生活を、音楽を守ろうと努力をしています。
その居場所が守られなければ、モグラたちは生きていけません。(自然界の生態系の話と一緒ですね)
とはいえ特に何をあなたにせがむつもりもありません。
強いて言えば、どうか、あなたのお気に入りのモグラ(バンド)が、
素敵だなと思う音楽を奏でていたら、是非その場に居合わせて(早くみんな自由に行けるようになるといいな)、そしてちょっと大きめに、拍手してあげてください。他の誰かにもよく聞こえるように。
それだけで伝わるものは伝わるし、変わるものは変わります。きっと。
というわけで、どうか、そんなモグラたちを今後ともご贔屓に。

本日はntn.mkさんの写真を表紙に使用させて頂いております。

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おまけ

スタッフがこの連載の最終回に合わせて、
ライブ映像を編集していてくれていました。
YESMANという曲と誰が為のレクイエムという曲です。
お暇な時に是非(本業はこっちです)。



願わくば、この続きはライブハウスで。
それではまた明日。


褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。