夢見モグラは空を待ち侘びて 33日目
モグラはなんだかよくわからないうちに、
目の前にあった列に紛れていて、
オタオタしていると気づけば、自分の順番になっていた。
ニコニコっと話しかけられた言葉に対して、
ただペコペコっと頷いていた。
するとほんわかして暖かい飲み物が出てきて、
モグラはそれを受け取った。
他の人がそうしていたのと同じように真似て、
口の中にええいと入れてみた。
少しほろ苦かったけれど、
ほんわかした気持ちになる味がした。
そしてそのままお礼を言って立ち去ろうとしたところで、
今度は少し強い口調で呼び止められた。
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ナマモノとナマケモノの関係の話。
時間というものはどう考えたってこれ以上無いナマモノ。
それでいて冷蔵庫に入れておくことも、
銀行に預けておくことも出来やしない。
新鮮なうちに、その場でその瞬間に捌いていかないといけない、
なかなかにして厄介な代物である。
ちょうど去年の今頃の僕は急遽ゲットした大量の”時間”を、
ただ溶かしてしまうにはもったいない、
有意義に料理して、消化していくことに、
固執していたし、ちょっと躍起になっていたし、
焦ってもいたんだけれど、すごく楽しんでもいた。
結果として今までに無いことも含めた色んな制作の中で、
オギャアと表に産声を上げてくれたものもあるし、
水面下に沈んだまま、没になって世にお目見えしていないものも多々ある。
(多分俺去年のファイル見たら歌詞は50曲以上書いたと思うし、長い文章も書いたけどまあその話はベッケンバウアーで。作曲もソロアルバムだったらいつでも作れる分書いたと思うし、共作も結構色んな人としていたりもしてええとetc。)
なんでい、世に出んとは、実力不足ですかい、と言われれば、
素直にへい、と平伏するところもあるし、
世に出さないお楽しみと思っていたからこそ作れたようなものもあるし、
まあご時世含めて、運がなかったなみたいなこともあったし、
選ぶ方のセンスも大概だけどな!(これを負け犬の遠吠えと人は呼びます。わおーん。)みたいに強がることもある。
(逆に選んでくれたり、結果一緒に作品に至るとこまでたどり着けた方々は、そのセンス最高と思ってるし。全肯定で来世まで推す所存。)
あくまで息を吸って吐き続ける限りは、結果と言えど、すべて今日までの暫定的なもの。
文章やメロディーやフレーズは財産なので減るものでも無いといいつつ、寝かせて味が出るワインみたいなタイプなのか、ちょっと微妙なところ。
3年後10年後にどんな風に熟しているのか、発酵して腐臭を放つのか、その時のお楽しみみたいなところもある(そもそも存在を忘れてそうだけれど)。
ただ、ここにきて、
やっぱ去年の財産みたいなものは今、自分の中で生きてきて、
まとまった制作時間って素敵、潜るって最高、みたいに思うところはある。
今まで焦っていたんだな、時間に追われていたんだな、
むしろちょっと追いつかれて、背中の裾、掴まれていたのかもな、と。
(もっと焦ろよお前、ってこれ読んだスタッフに思われそう。ひぃ。)
結果、何の話かというと、
色んな仕事が立て込んでくると、
あのすみません、あの時の一ヶ月、いや一週間、いや3日くらいでいいんで….。
(徹夜でゲームに勤しんだあの日々の)もうほんの数時間でいいので… 。
ちょっと返してもらえませんかね、
みたいなことあるよね、という話。
あの時のナマケモノの自分を呪うのであった(ご利用は計画的に)。
それではまた明日。
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本日はamilk0720さんの写真を使用させていただいております。