夢見モグラは空を待ち侘びて 1日目
どうやらここはかつて”チカテツ”というものが通っていたらしい。
鉄のかけらや木の棒切れがそこかしこに埋まっていたので、根城にするには丁度よかった。
モグラは”ソラ”を見たことがない。
誰かが言っていた。
「空はとてつもなく大きくて、どんなに高く手を伸ばしても届かなくて、
透き通るくらいに青くって、ソフトクリーム見たいに白い雲が浮かんでいるんだ。」
何だか良くわからなかったのだけれど、
それ以来モグラは”ソラ”に憧れていた。
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空の話。
仕事でも遊びでも、空港に行く時に、
一般的には国内線であれば一時間前に行けば十分だし、
国際線であれば二時間前に行けば問題ない。
それでも個人的な趣味のレベルで、追加してもう一時間だけ余裕を持って家を出る。
もちろん遅刻や忘れ物をした場合を想定してという意味もあるのだけれど、(空港でパスポートを無くして大変だった話はMUSICAゆうじゅうふにゃんをご覧ください。)
それぞれの人生の交差点に想像を膨らませながら、
ただボケッと眺めているのが何だか心地よかったりする。
その時は目の前でどちらも小学生低学年くらいの兄弟の殴り合いの喧嘩が始まった。
僕は5メートル先のベンチに座ってテイクアウトしたホットコーヒーと、
ホワイトチョコとマカデミアナッツの入ったクッキーを交互に口に入れていた。
子供たちの喧嘩は徐々にヒートアップし、戯れあいからの悪ふざけへ、
そして小競り合いからの取っ組み合いに発展し、最終的には泣き叫びながらのストリートファイトに進化していた。
流石に誰か止めに入らなくてはみたいな空気が漂った瞬間、いや俺が、私が、いいえあなたが、どうぞどうぞ、と僕を含めた周りの大人たちが顔を見合わせていると、どこかにいた母親らしき人が戻ってきた。
すぐさま二人ともの首ねっこを掴んで吊し上げると、お説教タイムが始まった。
シュンと縮こまる兄弟、烈火の如く怒る母親。
人様に迷惑をかけて!と叱りつけるその声の方がよっぽど迷惑になるんじゃ...なんて、言い返したらダメだ。
少年よ、その火山は噴火してしまう。
しかし、しばらくするとモシャモシャっとした癖っ毛の恐らく弟の視線をこちらに感じた。
その視線を先の辿るとどうやら僕の方へ、いや、より正確に辿るとクッキーがその対象であることが判明した。
あいつ、さっきまで大騒ぎしておいて、ちっとも反省してないな。
僕はせめてもの戒めとして、そのモシャモシャとした少年にわざとよく見えるようにして、とてもとても美味しそうにそのクッキーを頬張った。
飛行機の座席が窓側だったらラッキー。
あの楕円に切り取られた空が青から赤にそして黄色に変わっていく瞬間を独り占めできるから。
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追伸
なんとなく今のこの状況や自分の気分に見合う言葉を探して「夢見モグラは空を待ち侘びて」というタイトルをつけてみたのですが、お察しの通り、わりと衝動的な見切り発車気味なところが大いにあります。それに似合う、
・イラスト
・写真
・デザイン
などをもし描いてくれる人がいたら、譲ってくれる人がいたら、いいな、なんて緩やかに募集してみます。募集先はええと、後で考えます!(決めとけよ)
それと私が緊急事態宣言が終わるまできちんと書き続けていられるように、ハートマークを押す(怖くないよ!特に面倒な登録とかも必要ないよ!)、何かしらコメントを残す(荒れない限りは開けておくし、たまに返事もするかもしれません)、などしてくれるとモチベーションがぐんと。ニョキニョキ育ちます。褒められても貶されても伸びるタイプですけれど(何か?)。
それではまた、明日。