Masato Ito

絵、写真、小説、詩、音楽、いろいろやります。よろしくお願いします。

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最近の記事

愛のアート

いつかクスリでトリップしてたとき、買い置きしてあった水性ペンキで部屋中を塗りたくなった。赤、白、緑、青、オレンジ、水性ペンキにはその五色があって、何色かを組み合わせて模様みたいなものを描くこともできたけど、絵心がないし、単色で塗りあげることにした。カーテンが緑色だったのでそれに合わせることに決めた。壁、窓の桟、天井、クロゼット、バスルームのドア、きれいに塗り上げるためには集中力が必要だった。だからクスリの量を増やした。しばらくして緑の部屋は無事完成したけど、完成したと同時に集

¥300
    • 残余

      残余 まちがっていたのは 僕でも君でもなく 時間 ねじれていたのは 僕でも君でもなく 場所 君は死ぬ必要がなかったし 僕が生きている意味もない Soul 魂のゆくえを虚空に問うとき 一段高いレイヤーから 君の視線を感じる どこへも行けない あるじを失ったどれいは 誰の声を聞けばいい 沈黙に耐えられない クスリを使って 眠りに逃げるとき どれいは軽い 皿のうえの灰になる きみが吸ってたジタンの灰 そうして おそろしく手の込んだ 浅い夢を見る 僕は残余 決して溶けき

      • 黄金

        まぶたのうえ 光る 黄金 くるぶしのうえ とける 黄金 首すじ 胸もと 脇の下 ふくらはぎ まぶしくて 貴重で 僕は戸惑う 君は人間じゃないのかもしれない 僕みたいのにはもったいないよ だけど 君はそれを食べてという 黄金を食べていいのかな 罰があたりそうだ でも少しだけ口に含む 黄金はメロンに似た味がした 黄金は青くて腐りかけたチーズの匂いがした 君は笑って 私は全部あなたのものよと言う 僕は明日腹をこわす 病気になる でも それでもいいよ 真夜中 僕たちは暗闇のなかで 光

        • 予感

          滅んでいくだろう 朽ち果てていくだろう 破産してしまうだろう 光はないだろう そういう方向へ 舵を切る Destination でも 地獄は退屈しないと 誰かが言ってた それを 信用している わけじゃないけど もう引き返せない 闇の深みが 手招きをする そこに何があるのか 知りたい 流されていく 帆のないボート 滅んでいくだろう 朽ち果てていくだろう 破産してしまうだろう 光はないだろう Nightmare 現実のほうが 蜃気楼 どうなったって いいのさ だから このまま 死

          Ichiya(1)

           マダムDは夫の不倫に気付き怒りに駆られた晩、街に飛び出した。酒場を何件もはしごし、店に置いてある中で最も強い酒を何杯も飲んだが酔えなかった。午前一時半過ぎ、ヴェルヴェットアンダーグラウンドが大音量で鳴るバーでラスタカラーの帽子を被った二十代前半と思しき男に「お姉さん、こういう時はアルコールだけじゃダメなんじゃん?」と言われ、それならどうすればよいのかと訊いた。「もっと良いものがあるよ」男はマダムDをクラブに誘った。街のメインストリートと交差して走る公園通りの奥、ラブホテルの

          Another day, Another night

          誰とでも寝る女 誰とでも寝る男 体の相性がバッチグーなら おもちゃはいらない 手でライフルつくる それでいろんなものばくはして とかす 色のついた声の雨あびて どこまで生きられるかなって 土曜日のイノセントスカイは 川辺のサッカーゴールは 遠く遠く遠く どこから持ってきたか わからないような服を着て飲んだ あのまずいコーヒーの味 あの子空にとけてった どこか遠くの小さな星から こちらを見てるのはわかってたけど 出力が弱くて おいらいつからかマスかき 女の子らがいるのにマスかき

          Another day, Another night

          色とけものと愛に生きよう

          光を吸う水玉の蝶々 その上を覆う臙脂色の膜 そいつをやぶると 白が屹立する その白をめくると 重なったオレンジの唇 端っこがいちばん尖ってて 手が切れそうだ でもぼくは怖れずに触れる ポスターカラーで汚れた指 粘液とまじる青は つまり紫 狂気の色だよ 君の声にも色がある 教えないけどね この変態め ウォシャウスキー兄妹の映画みたいに 君はコマ送りでのけぞって 天井の蜘蛛の巣から蜘蛛を除去する 掃除したくないのさ グチャグチャでありたい カオスのなかの二人は ライオンみたいに愛

          色とけものと愛に生きよう

          IN THE BLACK RAIN

          IN THE BLACK RAIN

          TALK IS CHEAP

          TALK IS CHEAP

          Pink Roses

          ライティングデスクのうえにおいた ピンク色のバラ  花言葉はしらないけど  いい匂いがする  とてもいい匂いで  なにか 心が  はずんで  夢のなかにまで  その匂いは  かおって  僕は笑ってる 眠りながら笑ってる  おかしいね 君はいないのに バラだけはある  おかしいね  思い出はすっとんでいっちゃったのに  バラだけはある  嘘をつかないんだ  ライティングデスクのうえにおいた  褪せた写真  君がうつってる  哀しくな

          ミューズ

          真夜中の正午 光がさす きみが 見つめている ポケットフルレインボウ ドライアイスのように  冷たくて熱い  とおくはなれて そばにいて  どこまでも 透明な 真紅のバラ  真夜中の正午  音楽が聴こえる きみが奏でている バラッド  ストリート・オブ・ノーリターン  意味なんてなくていい  光がさす  いい匂いがする  とめどもなく流れる とおくはなれて そばにいて  ミューズ 僕のミューズ

          ミューズ

          愛の病

          カサヴェテスの映画をみたあと あまりのかなしさに呆然となって 僕らは部屋を出ることにした 行くあてもなくとぼとぼ歩いているとやがて海についた コールタールのような色をした波 気づけばかすみのような雨が降ってた 僕らはどちらともなく手をつなぎ腕をとり 抱き合って浜を歩く 砂が濡れた脚にからんで  そのまま倒れこんだ  「外でするのはなしよ」 なんて笑いながら君は言って そのまま波の音を二時間聴いていた で、 すっかり風邪を引いた僕らは  部屋に戻り

          Loneliness

          Loneliness 彼女の吸う細く長い煙草の名前 どこの国の煙草?と聞くと  どこか東欧諸国の名前を言った Loneliness  交わりから離れた彼女を象徴しているかのよう  僕は  彼女の背中に浮き出た  血管と骨に見惚れながら  グラスを巻いた  紫煙とくすんだ色のないけむり  僕がむせると  彼女は振り返り  心配そうに肺のあたりをさする  なんだか泣きそうになるんだよ  君を見てると  胸に手をあてたまま  上手にまたLoneli