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「本のある暮らしーその11」―本屋が本を売らないで何をどうするつもりだ?―と言わんばかりのまっすぐさである。|MASATO ZAITSU @BookHiroshima #note|MASATO ZAITSU @BookHiroshima #note
尾道に本社を置く啓文社という新刊書店がある。広島県の地場書店チェーンであるが、そこに私より一歳年上の児玉憲宗(けんそう)さんという方がおられた。 児玉さんはすでにご病気で亡くなっておられるが、私が知り合った時は車椅子で書店員業務をバリバリこなす全国的に有名な方であった。 『尾道坂道書店事件簿』(発行本の雑誌社)の著者でもある児玉さんは典型的な書店員である半面、書店員にあまりいないタイプの方であったと思う。この相反する二つであるが、まず、本屋は本を売って何ぼ、であるという当
「本のある暮らしーその6」歴史が持つ使命感と、プロ野球新人選手が放つような貪欲さが、より深く地域を「本」で結ぶプロジェクトが結実させていくことになる。@BookHiroshima #note
書店に限らず「地元密着」「地域に根差した」とよく表現するが、実際にはどのようなことを意味するのだろうか。 徳島県で1739年に誕生し創業280年を超える新刊書店がある。 「元文4年、紙屋として初代惣吉が富岡町で商いを始めて以来、「紙」を離れたことはありません」 こう宣言する株式会社平惣の書籍部責任者兼徳島店店長の八百原さんに伺った。 「コロナ禍以前はどうすれば人が集まるのかを考えていた」と話す。読み聞かせや作家のサイン会や講演会などに長年取り組んできたが、2019年8
「本のある暮らしーその5」委託制度と伴う返品問題。このシステムを念頭に置かずして、新刊書店の行く末を論ずることがあってはならない。
地方都市の地場新刊書店チェーン店、大手新刊書店チェーンのFC店などの店内の活気、空気、今しっかりと見ておかなければ損をすると思わせるような、明日来たらすっかり変わっているかもしれない緊張感のある店内。それが今、各地の新刊書店で始まってきているのではないか。 一方、新刊書店の未来に触れる時、避けてはならないことがある。出版制度の核の1つである委託販売、またそれに伴う返品問題である。このコラムでも折に触れてきたが、新刊書店を論ずる際の根底にこの二つを置いておかねば従来の型通り