甲谷允人 Koya Masato

校閲者。 2011年、新潮社校閲部に入社。 雑誌、書籍の各媒体を経験。現在は某雑誌担当。 アメブロ(https://ameblo.jp/kouyanoheya/)に書いていた校閲に関する記事を、こちらに移植しました。 新規の投稿も随時。 サムネイルは講座で使用した自作のものです。

甲谷允人 Koya Masato

校閲者。 2011年、新潮社校閲部に入社。 雑誌、書籍の各媒体を経験。現在は某雑誌担当。 アメブロ(https://ameblo.jp/kouyanoheya/)に書いていた校閲に関する記事を、こちらに移植しました。 新規の投稿も随時。 サムネイルは講座で使用した自作のものです。

最近の記事

校閲者と「書くこと」の関係性。 その② 〜疑問の説明について〜

こんばんは。 今日は、前回の続きとして、校閲者と"書くこと"の関係性について、「疑問の説明」という要素の話をしていきます。 前回の投稿を読んでいない方は、まず先にこちらからご高覧いただければ幸甚です。↓↓↓ 今回書いていくのは、前回言及した②のほう、すなわち ②ある程度の説明がないと校閲疑問の意図が著者に伝わらないと判断した際に、簡潔に、そして明瞭に疑問の説明をすること。 の話です。 実際、こちらのほうが①よりも、ゲラ上に「書く」という意味では本格的でしょう。単純に文字

    • 校閲者と「書くこと」の関係性。 その① 〜代案の提示について〜

      皆様、こんばんは。 今日は、校閲者と"書く"こと、の関係性について投稿してみたいと思います。(なお、以下は書籍や雑誌といった、私が経験したことのある媒体に関する話であり、世の中の校正校閲すべてに当てはまるケースではないことをご了承ください) そもそも、世間一般のイメージとしては、「校閲は読む仕事である」というものがあるでしょう。それは世間一般に限らずこの業界内においてもそうだと思いますし、私自身もこの仕事に就くようになるまでは、そして新人の頃はそう考えていました。 しかし

      • 事実確認(ファクトチェック)における作業効率向上・品質向上のための技能について。【序論】

        こんにちは。 これから、タイトルにあるように「事実確認(ファクトチェック)における作業効率向上・品質向上のための技能について」というテーマで書き進めようと思います。今回はその序章のような位置づけです。 ジャンルや媒体にもよりますが、私たち校閲者は日々の仕事において、多くの時間をファクトチェックに割いています。 新聞や週刊誌の時事ものだけでなく、政治や経済、歴史などを扱った書籍など、または美術関係や科学系の書籍など、いろいろな媒体で細かいファクトチェックが必要で、それにかかる

        • 8/29(木)校閲トークイベントへの登壇を終えて。

          こんばんは。 一昨日の校閲トークイベント、リアルタイムで聴いていただいた皆様ありがとうございました! (なお、チケットをお持ちの方は9/30まで見逃し視聴が可能です。まだご購入されていない方は、 https://archive20240829shinchokoetsu.peatix.com/ から、10/1まで視聴可能なアーカイブをご購入ください。1,650円です) また、peatixのお問い合わせ機能、もしくはイベントの最後にお知らせした講座事務局のメールアドレスから、講師

          書き手と読み手の違いについて。

          【注:この記事は、アメブロへ2024年8月10日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 こんばんは。 帰省中で、みんな寝てしまったので、今思うことをざざざっと書いていきます。理路整然と書けるかわかりませんが、ご容赦ください。 昨日、毎日新聞さんのウェブサイト「毎日ことばplus」様に、寄稿させていただいた記事がアップされました。宜しければ、是非会員登録のうえ、読んでいただければ幸いです。 【甲谷允人さん寄稿】校閲とAI会員限定記事(登録無料)新

          書き手と読み手の違いについて。

          【お知らせ】8/29(木)オンライン校閲トークイベントに出演します!

          【注:この記事は、アメブロへ2024年7月25日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 こんばんは。 暑い日が続きますが、お元気にお過ごしでしょうか。 以前の投稿でも少し触れましたが、来月8/29(木)の夜、弊社の校閲トークイベントに登壇致します。完全オンラインです。 今回は、丸山有美子さん、村井厚友さんと私の3名で、おもにノンフィクション校閲をテーマに話します。肩肘張らず、ざっくばらんに楽しく話したいと思います。質疑応答ももちろんあります。

          【お知らせ】8/29(木)オンライン校閲トークイベントに出演します!

          校閲業における「重調べ」についての試論。

          【注:この記事は、アメブロへ2024年7月17日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 こんにちは。 今日は、仕事に関して、敢えてパンドラの箱を開けてみようと思います。 校閲三要素(と私が勝手に呼称している)、「合わせ」「素読み」「調べ物」のうち、「調べ物」についてです。 以下、いち校閲者というよりは、進行管理的な立場からの考え方であることをご了承ください。 また、あくまで試論ですので過剰反応禁物にてお願い致します。 校閲という仕事は、実際

          校閲業における「重調べ」についての試論。

          【お知らせ】オンライン校閲講座・前編が販売開始になりました!

          【注:この記事は、アメブロへ2024年6月11日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 こんばんは。 今日は純粋な宣伝です。 このたび、私が講師を務める「新潮社の校閲オンライン講座」の前編が発売となりました!! 以下のリンクから詳細がご覧になれます。 https://hon-gakko.com/?gad_source=1&gclid=CjwKCAjwyJqzBhBaEiwAWDRJVMsenMmv_OOuVXWbfWOaKJZ-suMAFsG

          【お知らせ】オンライン校閲講座・前編が販売開始になりました!

          青山ブックセンターでのイベントを終えて。(校閲者が表に出ることについての所感も含め)

          【注:この記事は、アメブロへ2024年1月18日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 こんばんは。 1/15(月)に青山ブックセンターで開かれた『くらべて、けみして』の刊行記念イベントに登壇させていただきました。 漫画家のこいしゆうかさんと、司会の牟田都子さん、そして私の3人によるトークイベントです。 とてもたくさんの方にご来場いただき、サイン会では(私はサインする本はありませんが…)色々な方とお話しすることができ、本当に貴重な経験となりました。ご

          青山ブックセンターでのイベントを終えて。(校閲者が表に出ることについての所感も含め)

          2024年が始まった(調べ物についての余録)

          【注:この記事は、アメブロへ2024年1月3日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 明けましておめでとうございます。 本年も、この業界の最果てにひっそり佇む駄文ブログを、これまたひっそり更新していきたいと思います。宜しくお願い申し上げます。 2024年は、早々から色々と大変なことが続いております。 被災地の一刻も早い復興を願うばかりです。 週刊誌の仕事始めは明日です。早速土日月出勤で、三連休の世間と逆の動きになります。 仕事のほうは、つつ

          2024年が始まった(調べ物についての余録)

          校閲の仕事を文章化することについて。

          【注:この記事は、アメブロへ2023年12月18日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 こんばんは。 12月は上旬に娘が2人ともインフルエンザになり、そのあと妻、そして私(陽性にはなりませんでしたが、数日間体調最悪だった)と、インフルエンザに振り回されて3分の2が終わってしまいそうです。仕事上でも、家族の看病で急遽在宅勤務にしてもらったりなど、メンバーに迷惑をかけてしまいました。普段の仕事で挽回しなければというところですが…。 さらに、書くことでも

          校閲の仕事を文章化することについて。

          「1人見校正」の流儀について。

          【注:この記事は、アメブロへ2023年12月10日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 こんにちは。 子供たちが先週インフルにかかっていたためか、なんだか私も喉が痛いのですが、体調がよくない時のほうが文章が書きたくなる不思議。というわけで、たまには仕事の話をば。 タイトルにもあるように、1人見校正の時の技術についてです。1人見でないときにも応用できることなので、けっこう重要なトピックだと私は思います。 先に「そもそも論」から。 校正・校閲(以

          「1人見校正」の流儀について。

          これから校正者を目指す方へ。

          【注:この記事は、アメブロへ2023年11月18日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 こんばんは。 関東も、すっかり寒くなってしまいましたね。秋はどこへ行ってしまったのでしょうか…。 さて私は先週日曜日にハングル検定3級を受検しました。結果はたぶん、100点満点の86点くらいで合格、だと思います。4級までとは単語数とか問題の深さが全然違って、なかなか苦労しました。かなり勉強しましたが思うように模擬試験の点が伸びず苦労し、ああ仕事しながら(そし

          これから校正者を目指す方へ。

          進行係という仕組みについて。

          【注:この記事は、アメブロへ2023年7月28日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 皆様こんばんは。 暑い日が続きますねー。毎日ほとんど変わらないので自分がいま何曜日を生きているのか分からなくなってしまうくらいです。雨が恋しいですね。 さて、週刊誌勤務も1年以上経過し、夏休みも近づいてまいりましたが、今日はほとんどの方が興味のない?校閲の話を。(ちなみにこのブログのアクセス数の大半は空気階段ネタです。。。) たまたま縁があれば同じ会社の社員

          進行係という仕組みについて。

          「チャットGPT」に校閲者は駆逐されるのか?

          【注:この記事は、アメブロへ2023年4月25日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 皆様こんにちは。 週刊誌勤務は、今日から一足早くゴールデンウィーク休みとなりました。 全員強制的に8連休となるのですが、本当にありがたいですね(あとは自由にもっと休めれば良いのですが笑)。長いお休みはお正月以来なので、さて何をしようかと少しワクワクします。GWは例年、家族で帰省も旅行もなく家や近所で過ごしているので、まあ、映画を観るとか、カラオケの研究とか、そ

          「チャットGPT」に校閲者は駆逐されるのか?

          校閲という仕事における「力の入れ方、抜き方」について。

          【注:この記事は、アメブロへ2023年4月3日に投稿した記事を、筆者本人が内容を変えずに移植したものです。】 皆様こんばんは。 4月に入り、新入社員もたぶん出社した(今年は校閲部採用がなく、編集のことは全く分からず、、、)今日この頃。 私が所属している会社、というかもう隠す必要もないので、新潮社ですが、この会社は古き良き伝統を重んじるところがあり、新しいことをやりつつも前例踏襲もしっかり忘れない、というような会社です。その社風に合う人、合わない人、というのがどうしても出

          校閲という仕事における「力の入れ方、抜き方」について。