大空理人|Masato Osora

東京大学ELSI Game Lab 代表|東京大学大学院 学際情報学府 修士課程在籍|株式会社NEXERA リサーチャー / ボードゲームクリエイター|「遊び」と「学び」に関するコンテンツ開発や教育デザイン方法論について研究中

大空理人|Masato Osora

東京大学ELSI Game Lab 代表|東京大学大学院 学際情報学府 修士課程在籍|株式会社NEXERA リサーチャー / ボードゲームクリエイター|「遊び」と「学び」に関するコンテンツ開発や教育デザイン方法論について研究中

最近の記事

#11 シミュレーションによる個人と組織の変化 PART2

前回の記事では、近年注目を集めている体験型研修に焦点を当て、個人の学習に効果的な「シミュレーション」を活用した、体験による学びについて解説しました。 今回は、その続きとして、組織の暗黙知を形式知化する「アクティブラーニング」について解説します。 体験型研修は、単なる知識の習得を超えて、学習者同士の相互作用を通じて新たな知識が生まれるという独自の効果を持っています。 「体験型研修のメリットが気になる」「効果的なアクティブラーニングを実現する手段が知りたい」といったテーマが

    • #10 シミュレーションによる個人と組織の変化 PART1

      近年、グループディスカッションやロールプレイングを取り入れたインタラクティブな研修が増加し、その有効性が注目されています。 しかし、一部からは「個人学習よりも効果がない」「楽しいだけで実務に役立たない」との声も聞かれます。それでも、体験型研修は、一人での学習や講義形式では得られない実践的な知識を獲得できるメリットがあり、導入が進んでいます。 体験型研修は、単なる知識の習得を超えて、学習者個人の学びはもちろん、学習者同士の相互作用を通じて新たな知識が生まれるという独自の効果

      • #9 ゲーム学習のサービスデザイン PART2

        「#7 ゲーム学習のサービスデザイン PART1」の記事では、ビジネスゲームにおける課題とその具体的な解決方法について提案しました。※詳細はこちら↓ 今回の記事では、その続きとなる、なぜそのような解決方法に至ったかの背景を紹介できればと思います。 「失敗しないゲーム学習の導入方法を知りたい」「継続的なプロジェクトとしてゲーム学習を行いたい」といったテーマが気になる方はぜひご覧ください。 はじめに近年ゲームを活用した、企業内の課題解決は注目を集めていますが、ゲーム制作や活

        • #8 ビジネスゲーム研修の可能性 〜米国研究者へのインタビューをもとに〜

          先日、アメリカで行われたゲーム研究の国際学会へ参加してきました。 人生初の一人海外&国際学会だったので、不安と緊張でいっぱいでしたが、当日の発表では、かなりの好評をいただき、自分が行ってきた研究が間違いではなかったことを実感できました。 また同時に、これまで出会えなかった海外の研究者達とのつながりを持てたも大きなメリットでした。連絡先を交換した人とは、学会後も連絡を取り合い、お互いの国の研究状況などについて情報交換を行っています。 今回は、そこで私が海外の研究者達との交

          #7 ゲーム学習のサービスデザイン PART1

          以前の記事「#5 ビジネスゲームによる正統的周辺参加の可能性」で、ビジネスゲームにおける課題とその解決への糸口について述べました。 そこで、今回はその続きとして、より具体的な解決方法を見出したいと思います。 このテーマを考えるにあたって、「デザイン」という視点から、二部構成で記事執筆を行います。本記事では解決方法を提示し、次回の記事でそれに至った背景を紹介する予定です。 「失敗しないゲーム学習の導入方法を知りたい」「継続的なプロジェクトとしてゲーム学習を行いたい」といっ

          #7 ゲーム学習のサービスデザイン PART1

          #6 学習教材のゲーミフィケーション

          ゲーミフィケーションとは「ゲームデザインの要素をゲーム以外の文脈に用いること」を意味し、実際に様々な分野で活用されています。 学習分野では、教材を魅力的なものにするために、ゲームで培われてきた「夢中にさせるノウハウ」を組み込んできました。 では、具体的にゲーミフィケーションのどのようなノウハウが、学習経験の質を高めるために活かされてきたのでしょうか。 本記事では、学習のためのゲーミフィケーションについて検討し、効果的な学習環境デザインを行うにはどうすれば良いかを考えてい

          #6 学習教材のゲーミフィケーション

          #5 ビジネスゲームによる正統的周辺参加の可能性

          ビジネスゲームには、リアルな経営シミュレーションを通した学びを提供するものが多くあります。 では、こうした経営シミュレーションの有効性とは何なのでしょうか? 本記事では、経営シミュレーションでの学びと現場での学びを比較しながら、その導入メリットを探っていきたいと思います。 ビジネスゲーム研修や経営シミュレーションゲームに興味がある方はぜひご覧ください。 はじめに本記事のキーワードとして登場する言葉が「正統的周辺参加」です。 まずはその意味を紹介した後、そこで生じる「

          #5 ビジネスゲームによる正統的周辺参加の可能性

          #4 デジタル / アナログゲームのメディア的特徴

          ゲームの教育効果というと、デジタルゲームとアナログゲームで優劣をつけようとする議論をしばしば見かけます。 しかし、大事なことは優劣をつけることよりも、それぞれのメディア的特徴を理解し、適切に利用することだと思います。 そこで、本記事では、デジタル / アナログゲームの強み・弱みを理解することを目的に、それぞれの特徴を紹介します。 ゲームを教育メディアとして用いる際のメリットや活用法に興味がある方はぜひご覧ください。 はじめにデジタルゲームとアナログゲームではメディアの

          #4 デジタル / アナログゲームのメディア的特徴

          #3 学習の質を高めるビジネスゲーム研修

          教育工学において「インストラクショナルデザイン」という学習をより魅力的にする手法があります。 この手法は、分野問わず普遍的に用いられるもので、当然、それは企業研修にも適用できます。 そこで、インストラクショナルデザインのモデルの一つである「学習経験の質モデル」を解説し、効果的な研修設計を行うにはどうすれば良いか考えていきたいと思います。 また、本記事では、学習経験の質を高めるためのツールとして、ビジネスゲームもご紹介します。 「学びたくなる研修を実践したい」「ビジネス

          #3 学習の質を高めるビジネスゲーム研修

          #2 学びにゲームをブレンドしよう

          コーヒーには「ブレンドコーヒー」という種類や品質の異なるコーヒー豆を混ぜ合わせ、味や香りをより良くしたものがあります。 実は学習分野でも、この"ブレンド"という考え方は存在し、これまで「ブレンド型学習」と呼ばれてきました。 ブレンド型学習は、形式、人数、内容、ツールなど、目的に応じて複数の要素を組み合わせ、学習効果の最大化を目指します。 本記事では、そのブレンド要素の一つとして、ゲーム学習を紹介できればと思います。ゲーム学習は、他の学習手法と組み合わせることで、高い学習

          #2 学びにゲームをブレンドしよう

          #1 私たちはゲームからどのように学ぶのか

          2024年。社会人として、大学院生として、3年目になります。 これまで、ビジネスの世界とアカデミアの世界を行き来する中で、面白い知見や役立ちそうな理論を見つける機会が多くありました。 そこで今年から、日々の学びや自身の研究成果を、月イチで発信していこうと思っています。主に自身の研究テーマである「ゲーム学習」について、人材開発や組織開発といった視点で紹介する予定です。 ビジネスパーソン、教育関係者の方にも役立つような内容をお届けできればと考えているので、皆さまの実践の一助に

          #1 私たちはゲームからどのように学ぶのか