ソーシャルメディアマーケティングの #2020年代の未来予想図 を考えてみた
noteのお題「#2020年代の未来予想図」にのって、ソーシャルメディアマーケティングの未来予想図を自分なりに考えてみたお話。
次世代のソーシャルメディアマーケティングを考える事を中心に「4つの共」「共創とバリューチェーン」「差別化と競争優位」「次世代のコンセプトSMM2.0」と話が広がっている内容なので1つでも新しい視点を提供できていたら幸いです。
ソーシャルメディアマーケティングというと、ソーシャルメディアを用いて情報発信をし、想起率・好意度・購入意向の向上や、クチコミ創出を行う事などがオーソドックスな目的になっているのではないかと思う。
もちろん重要な目的の1つではある。でも、その辺りを見ているだけでソーシャルメディアの長所や可能性を活かしきれるのだろうか?
その問いの答えを出すために、まずはソーシャルメディアが世の中に与えている影響から始めたいと思います。
ソーシャルメディアマーケティングとは?
「ソーシャル」をキーワードに、複数の本を読んだり、Webの情報を漁った中で、自分にしっくりきた情報は弊社代表の下記ブログでした。手前味噌的な感じではありますが笑。
ブログは2013年3月に投稿され、ソーシャル化する世界について綴られたものですが、今でも新しい視点を与えてくれる良記事だと思います。
この記事をベースに自分なりにソーシャルメディアマーケティングの定義をするとこんな感じです。
FacebookやTwitter、Instagramを活用して何かをすることではなくて、ソーシャルメディアマーケティングの本質は、一人ひとりの頭のにあった思い、感情・意見などが「見える化」され「共有」されるようになったコミュニケーションインフラを活用してマーケティングを行うことなんだと思う。
”SNSを活用する”が起点だと、SNSの機能に目がいってしまい、限定的な活用に留まってしまう。いわゆる手段の目的化に陥ってしまう。ただ、こう定義をしたけれども、ソーシャル化された世界では具体的にどんな変化が発生しているのか?
ソーシャルメディアは世の中にどんなインパクトを与え続けているのか?
ソーシャル化された世界で、ソーシャル化以前より加速していることは何か?結論からいうと僕は4つの”共”だと考える。
共有、共感、共鳴、共創の4つの”共”。
上図の4つの”共”をもう少し説明すると、
共有:共益な情報の共有に加えて、個人で活用されていない遊休資産(技術、空間、金など)の共有が加速。
共感:物理的な枠組みを超えて、同じ境遇・同じ課題・同じ趣味で、共感することが加速。
共鳴:共有と共感の速度が上がった先に、ある目的達成に向けて一緒に進む共鳴が加速。
共創:共有、共感、共鳴の先にある、一緒に商品・サービスを作って一緒に消費することが加速。
ソーシャル化する世界でのマーケティングは、この4つの”共”をビジネスの中に上手くフィットさせることが、ソーシャルメディアマーケティングを最大限に生かす道になるのではないか。
共益なモノを共有して、共感・共鳴してもらい共創することを。
共創という先を見据えて、情報(投稿)にエンゲージメントしてもらう所でマーケティングを終わらせずに、ソーシャルメディアの本質を活かすことが出来れば、シェアリングエコノミーのようなビジネスにもつながっていくのではないだろうか。
※シェアリングエコノミーの基礎にぼく以前簡単にまとめたこちらを参考に。 意外と説明できない”シェアリング・エコノミー” #基礎知識まとめ
先を見据えて、この”共”のステージごとに、KPI・KGIを量と質で定めることが、ソーシャルメディアマーケティングの本質を見失わず、ソーシャルメディアの長所を生かす事につながる指標になるのではないかと思う。
投稿にアクションしてもらう事や感情の変容だけで留まらないようにするために。
世の中動向としては、一方的な商品・サービス提供で満足しなくなっている。そうすると、企業と生活者で双方向のやり取りがある価値づくりが必要なっている。
上記の世の中動向なども踏まえると、前述したように共益な情報を共有し、共感・共鳴してもらい、共創していくことを差別の源泉として見据えることが、ソーシャルメディアを効果的に活用するポイントなのではないでしょうか。
生活者との関係構築の先(共創)を事前に見据えることが。
ここからはその共創をどういう視点で考える必要があるのかをもう少し深ぼって考えてみたい。
共創はどういう視点で考えればいいのか?
ソーシャルメディアはメディアとしての役割に加えて、コミュニティとしての役割を持っている。その後者のコミュニティという資産を上手く使うことが共創につながる。ただし、ファンがいることが必要条件となる。
また、共創を企業の売上に寄与させるためには、バリューチェーンの軸と共創度合いの2つの軸が必要だといえる(下図)。なぜなら、結局このマーケティングは何につながるんだっけ?に陥らないようにするために。
そのために企業の価値づくりの工程(バリューチェーン)のどこに寄与させるかを考えるべきだと思う。この価値作り工程の総体が売上に結びつくので。
※横軸は簡易なバリューチェーンの工程
※縦軸は共創度合い
ソーシャルメディアとバリューチェーンに関しての詳しい話は、僕が以前書いた下記noteをご覧ください。 ソーシャルメディアの活用に、3つの視点と1つの軸を加えると、新しい可能性が見えてくるお話。
差別化の源泉になる共創ですが、そもそもなぜ差別化をすべきなのか?ちょと、ソーシャルメディアマーケティングから遠くなってきましたが、売上との関係性を考えることは重要なので、差別化の話に進みたいと思います。
そもそも、差別化はなぜすべきなのか?差別化の先にはどんなメリットがあるのか?
単純に考えてみると、差別化が必要だということは競合がいる事になる。だとすると、競合と比較されて生活者に商品・サービスを選択してもらう事のためだといえる。
ただ、選んでもらっても利益がなければ企業は継続できない。企業が社会に価値を提供し続けるベースの先に企業にはどんなメリットところがあるのだろうか?
企業が差別化によって得られるメリットは完全競争から完全独占の方向に近づけて、企業が安定した収益性を確保することが1つの重要な目的だといえる。参考:世界標準の経営理論
ただ、差別化によって持続的な競争優位性を確保することが重要ではあるが、「持続的な競争優位性」を可能なのだろうか?
テキサス大学のティモシー・フエルイネスとチューレー大学のロバート・ウィギンズが2000年前後に発表した一連の実証研究による「米国では持続的な競争優位を実現できている企業は全体のわずか2~5%しかない」らしい。
そのため、今の時代に勝っている企業は、SCPが前提としていた「持続的な競争優位」ではなく、「一時的な競争優位を連鎖して獲得している企業である」とのこと。参考:世界標準の経営理論
差別化は収益性を高めるために必要であるが、持続的な差別化をすることは現代では難しく、一時的な競争優位を連鎖させる経営戦略が必要だといえる。
経営戦略を考える方向性には、外部環境を鑑みてポジショニングの最大化を図るパターンと、内部環境を鑑みてケイパビリティの最大化を図るパターンがあると思う。
その2つの戦略でいうと、”共創”はケイパビリティの最大化からポジショニングの最大化につながるアプローチである。
共創というのは、一時的な競争優位性の連鎖を行うために、企業が持っている内部資産を最大化させて差別化の源泉を活かす施策なんだと思う。
一旦ここまでの話をまとめますと、世の中は一方的な価値提供だけでは満足できない状況にあり、ソーシャル化している世界では、共有・共感・共鳴・共創が加速しているので、それを上手く活用すべきであると思う。
加えて、共創を通じて企業の価値づくりの工程のどこに寄与させるかを考える必要があり、そのアプローチはケイパビリティの最大化からポジショニングの最大化に寄与するものだと考える。
これからソーシャルメディアマーケティング(SMM)のコンセプト
ここからは2020年の「ソーシャルメディアマーケティングのコンセプトはどこに置けばいいのか?」に入りたいと思います。
結論からいうと、これからのソーシャルメディアマーケティング(SMM)のは、これまでの役割として多かった情報発信中心の「スピーカー(SMM1.0)」、から内部資産を活用することに重きを置いた「ファシリテータ(SMM2.0)」にコンセプトを移行すべきであると僕は思う。
なぜなら、情報発信の質を高める方向性でのSNS活用はコモディティ化している。もちろん、それをゼロにすべきという話ではなく。
ソーシャルメディアはコミュニケーションのインフラとして当たり前の手段になっている。
なので、社会への価値提供を目的とするならば、ファシリテータとして、ファンや社員が持っているアイデアや意見などの遊休資産を引き出す方向に進み、オンライン・オフライン抜きにして、生産過程及び利用過程の最大化を図ることに目を向けて、ソーシャルメディアをテコにする方法を模索すべきではないかと思うんです。
SMM2.0に。
さいごに
ソーシャルメディアが、コミュニケーションのインフラとして当たり前になった今だからこそ、本質、強みを整理して、狭義なソーシャルメディアマーケティングを続けるのか、先を見据えて大きくシフトチェンジするのかを考える分岐点にきているんじゃないかと思う。
もちろん、近年多くの共創事例が生まれていると思うが、ソーシャルメディアでつながりをもった延長線上に、企業の価値作り工程への寄与を見据えて、戦略的に全体最適で考える時期にあるのではないかと。
また、持続的な競争優位を維持するのが難しい世の中なので、ソーシャルメディアの活用も大きな経済圏を狙いに行くのではなく、一時的な競争優位性の連鎖を生むために、特定のファンに受け入れられる特定範囲で成り立つ経済圏を創っていくべきだと思う。数は少ないけどコアなファンがいるという経済圏をどんどん作るべきだと思うんです。
いかがでしたでしょうか。
具体的な事例を今回は載せられてないので、イメージしにくい内容も多かったと思います。少し端折っているところもあるので、わかりづらい箇所があったり、その仮説はこっちの方向もあるじゃないの?など色々意見があるのではないかと思います。もし、直接話したいなどありましたら遠慮なくTwitterの方にDMをください!
また、色々知識不足なところもあるかと思いますので、みなさんの意見や展望をコメント頂けると嬉しいです。ここまで読んで頂きありがとうございます!
参考書籍
世界標準の経営理論
経営戦略言論
経営戦略全史
ソーシャルエコノミー
サービス・ドミナント・ロジックの進展
2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望
始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング
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