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困難は分割せよ

400年の時を超えて、現代に生きる我々の心に響く真理がある。

デカルトが残した「困難は分割せよ」という言葉。
この古の言葉に、最近になって深い感銘を受けている。

人は往々にして、目の前の問題を必要以上に複雑に捉えがちだ。
取るに足らない問題を、靄がかかったような大きな不安にいつの間にかすり替え、本来の問題の輪郭を見えなくしてしまう。
そんな経験は、誰にでもあるのではないだろうか。

私は日々、同僚たちと働く中で、この現象を目の当たりにしている。
人は問題に直面すると、関係のないことまでも不安の対象としてしまう。

例えば、一つの締め切りに遅れそうになった時。
本来は「なぜ遅れているのか」という単純な事実に対処すればいいものを、つい「自分は仕事ができていないのでは」さらには「今後のキャリアはどうなるのか」と、まったく別の不安へと発展させてしまう。

問題を分割するとは、この漠然とした不安の正体を、一つ一つ丁寧に紐解いていく作業になる。
締め切りに遅れてしまうかもしれないという今抱いている不安と、自分の能力への不安は、本来まったく別の問題として扱うべきものかもしれない。

現代社会において、物事は複雑に絡み合っている。
だからこそ、デカルトの教えは、より一層の輝きを放つのではないだろうか。

ただ分割するだけではない。
それは、混沌とした思考を整理し、本質を見抜く技術なのだ。
まるで、もつれた糸を丁寧にほぐすように。

人は往々にして、因果関係のないものまでも結びつけてしまう。
それは我々の本能かもしれない。
しかし、その本能に振り回されることなく、冷静に問題と向き合う術を身につけることこそが、真の知恵だと感じた。

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