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パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-125
給料日。とりあえず闇金をジャンプした私は、残りの13万円の振り分けに悩みます。しかし考えたところでよい策は浮かびません。こんな時に出てくる答えは、いつもの答えでした。
※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。
破滅に向かって
その日の仕事が終わり、終了業務をこなしている間もお金のことが頭から離れませんでした。
いや、正確にいうとミィのカードのことです。
当然、その後ろに控えている自分の消費者金融の支払いや駐車場代やミィに渡す生活費など、とてつもない金額が待っています。
しかし、そこまで頭が回っていませんでした。
とりあえずは、ミィに明細を渡した時に勝手にお金を引き出したことがわからないようにしなければいけません。
そのためには、まず今月の利息分を返済し、その後に元金10万円を返済。
さらに今月の支払い分を返済しないといけません。
大雑把に計算すると約16万円くらいは必要でしょう。
手元には13万円。
あと3万円ほど足りない計算です。
しかも、そのあとにも非常に多くの支払いが控えています。
完全に詰んでいますが、私の思考はいつもの答えを導きだしていました。
「まずは、このお金を軍資金にミィのカード分と自分の支払いをするための軍資金を増やそう・・・」
「13万円あれば何とかなる。これが全部なくなることはありえない!!」
何も根拠のない、パチンコ依存症・パチスロ依存症の典型的な思考です。
タイムカードを押し、会社が入っているビルを出て駐車場まで歩く間に、不安や苦しみはゆっくりと引いていき、エンジンキーを回す頃には完全に無くなっていました。
迷いはありません。
もちろんこの行動全ては間違いです。
本当は全てを打ち明け、どんな状況になろうとも改めて一からやり直すのが正解になります。
そしてそれが被害を最小限に抑える方法です。
だけど、その行動や考えには大きな苦しみや痛みを伴います。
一番大切なミィを傷つけることになるでしょう。
本当はわかっていましたし、気付いていました。
心のどこかに小さくその考えが浮かんでは消え、浮かんでは消えしています。
私はその現実から目を背けました。
そして、早くこの違和感や苦しみ、痛みから解放されたいと願います。
また何よりも、パチンコ・パチスロが打ちたくてしょうがありませんでした。
この時すでに、すっかりとパチンコ依存症・パチスロ依存症として出来上がっていた私には、「打たない」という選択肢は残っていなかったのです。
ホールの駐車場についた時、異常なほどの高揚感に包まれます。
負けたら全てが終了する恐怖。
軍資金13万円で、好きなだけ打てるパチンコ・パチスロ。
勝って、支払いの苦しみから解放される期待感。
これらのギャップは、私の心を振るわせるのに十分な現象なのです。
入り口のドアが開くとさらにその高揚感が増幅されます。
大きな波がうねりを上げ私の全身を包み込む時、全てから解放されこの時のために生きているような状態になるのです。
店内に入ると、多くの客で賑わっています。
私と同じく、給料日後の人が多いのでしょう。
パチンコもパチスロも3分の2ほどの台は埋まっています。
少しだけ焦りのような気持ちが芽生えてきました。
早く打たなければ、他の人に座られてしまい、パチンコもパチスロも打てないような錯覚に陥ったのです。
最初はパチンコの島を歩き台を見ていましたが、急いでパチスロの島に足を運びました。
案の定、パチスロは、北斗の拳や吉宗を始めとした爆裂AT機は全て埋まっています。
私は、大勝ちを目指さなければいけません。
いつも打つキングパルサーなどでは間に合わないのです。
ましてや、Aタイプは打つ気になれませんでした。
しょうがないので、台が空くのをじっと待ちます。
誰も台を立つ様子はありません。
その光景をみて、少し苛立ってくるのを感じました。
「マジかよ・・・。打てねぇじゃん!」
10分くらい北斗の拳と吉宗の島をぐるぐると回り、じっと我慢します。
しかし、ガマンの限界が近づいてくるのを感じました。
時計を見ると19時を回っています。
この時すでに、ミィのカードの支払いも、自分の支払いのことも全て頭の中にありませんでした。
頭に浮かぶのは、
「早く、打ちたい・・・」
「早く、出したい・・・」
結局、座ったのは・・・。
いつものキングパルサー。
データランプを見るとビッグ3レギュラー4で、きっちり128ゲームで止められている台です。
仮に天井まで行くと仮定すると3万円以上の軍資金を必要とします。
もちろん、勝ちを意識するならば打つべき台ではありません。
私はパチンコ依存症・パチスロ依存症。
そんなことはどうでもよいことでした。
お金をコインや玉に変え、それを増やす。
リールや画面に図柄が揃えばそれが達成されるのです。
そして、その現象は私の全てを満たすために存在します。
本当はその奥には痛みや苦しみ、そして全てを失う地獄が待っているのに、です。
どんな時でも、その地獄の苦しみや痛みを無意識に感じながら生きています。
そこから自由になれるのは、レバーを叩く時やハンドルを握り締める時だけでした。
そして、どこかで感じています。
破滅に向かう自分の姿を・・・。
125話終了です。
あともう少し続きます。