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パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-138

豹変するミィの姿に驚き、彼女の意志は私の思考をストップさせます。終わりの始まり。現実におこってほしくなかったことが、大きな足跡をたてながら押し寄せてきました。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

「い、いや・・・ミィ・・・なに言ってんだよ・・・なぁ・・・」

「だから、出ててって、言ってんだよっ!!」

顔を涙でグシャグシャにしながら、声を絞り出すように叫びました。

心の奥から必死に絞り出した彼女の意志に圧倒されます。

私は返す言葉を失っていました。

全身の力が入らず、視線をあわせることもできません。

”もう、あなたは必要がない”

そう言われているようで、孤独を感じた時、全てが終わった気になります。

人は他者によってのみ自分を確認できる。

誰からも必要とされていない気持ちになりとても虚しくなりました。

しかし、全て自分のせいです。

ここまできても納得できない気持ちがどこかにありましたがミィに圧倒され、全てを受け入れるしかありませんでした。

キーホルダーから部屋のカギを外します。

それをテーブルに置いた時にも、彼女の意志は変わっていないようです。

心のどこかで止めてくれるような気がしていました。

だけど彼女の決意や悔しさ、悲しみ・・・。

それらは揺るぎない意志となって、私のヨコシマな気持ちをいともかんたんに吹き飛ばします。

私は、出て行くしかありません。

とりあえずコートを羽織り、玄関のドアを開けるとき彼女が口を開きます。

「明日までに荷物まとめて出しておくから会社終わったら取りに来て」

彼女の方に視線を移すとミィの視界には私の姿は写っていません。

正直、今ここにある現実を受け入れることはできませんでした。

予想をはるかに超える展開に私の思考回路はストップしています。

こんな状況になってもどうにかなると思うようにしました。

しかし、ここでは事を収拾するよりも、一度出て行った方が得策と判断します。

きっと時間が経てば、仲直りできるでしょう。

さすがのミィもここまでされれば、冷静さを失うのはしょうがありません。

少し熱が冷めるには時間が必要なはずです・・・。

アパートを出ると、外は大粒の雪が舞っています。

とりあえず、今日のところは車の中でやり過ごすしかなさそうです。

少しだけ、不安が渦巻きましたが無理やり掻き消して駐車場まで歩きます。

車で生活していた時のことがフラッシュバックしネガティブな気持ちが押し寄せましたが、とりあえず夜を越すために車を止める場所を見つけなければいけません。

最初にいつも寝床にしていた公園に着くと駐車場の入り口にはチェーンが張ってあります。

冬期間は閉鎖されて中に入れなくなっていました。

「ちっ・・・。マジカよ・・・」

私はしょうがなく車をUターンさせ、車を走らせました。

結局、朝まで比較的安全に車を停めておける場所がなかなか見つからず、コンビニの駐車場に停め、2時間おきに次のコンビニに移動するという手段をとります。

その都度、仮眠を取っていましたが空が明るくなり目覚めた時には、体にはドッと疲れがたまって気分は最悪でした。

とりあえずペットボトルの水を買い口をゆすぎ、ティッシュに水を含ませ顔を拭きます。

ヒーターを最大にしていたため、車内は暑く全身は汗でからだベタついているのがとても不快でした。

シャワーを浴びることができず、シャツも着替えることができないのが気になりましたが、今日一日ガマンすれば、また元の生活に戻れるだろうと考え我慢することにします。

さすがに事の重大さを受け止め、罪の意識が芽生えましたが、いくらなんでもいきなり部屋を追い出したりしないだろうと考えます。

きっと彼女は冷静さを失い、突発的に私を追い出したのです。

寝て起きれば私を許してくれるでしょう。

そしてあらためてまともに生きていける気がしています。

だけどそれは、根拠のない単なる希望的考えでした。

私はミィの気持ちを考えることができていません。

そして何よりも自分を見つめることができていなかったのです。

この日から想像もしていなかったことがもの凄いスピードで現実になり、翻弄される毎日になることを少しも感じることはできませんでした。


138話終了です。


あと、もう少しで終わります。

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