パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-3
闇金融から借りてきた5万円を案の定その日に26000円まで減らしてしまいます。
そして10日後には75,000円の返済が待っています。
この危機的な状況を乗り越えることができるのでしょうか?
典型的なパチンコ・パチスロ依存症の立ち回りをとくとご覧ください。
※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい
嘘と受け止められない優しさ
激しい後悔と脱力感の中でホールを後にします。
深い溜息と同時に携帯を見ると「着信アリ」・・・パチスロを打っている間に彼女からの電話が鳴っていたのはわかっていましたが電話には出ませんでした。
「連チャン中はトイレに行ったり途中で電話に出ると良い流れがストップして連チャンが止まりやすい」自分の中で決めた何の根拠もないオカルトがあったためです。
というよりも、パチスロを邪魔されたくなかっただけです。
電話に出なくても何度か感じる着信のバイブで「鬱陶しいなこいつ・・・」
と彼女の事を一瞬嫌いになります。
パチンコ・パチスロ依存症は何かと理由をつけてパチンコ・パチスロを打つことを最優先します。
本当は彼女の事を一瞬嫌いになるのではなく、借金をしてパチスロを打っている自分の事を嫌いになりそうなのを自分ではなく彼女に置き換えているだけです。
こんな時はリダイヤルを押すボタンが重いです。
パチスロのストップボタンは軽やかに押せるのに・・・。
「もしもし、どうした?」
「あ、やっと繋がった。何かやってんの?」
「ちょっと友達と会ってた」
闇金融から5万円借りて明日のパチスロのために下見に行ったらついつい打ってしまい、 23000円負けたとは言えません。
「そうなんだ。明日も休みでしょ?」
「いや、休みだったけど仕事になった。明日は人、足りないらしい」
「そっか。明日早いから帰り寄ろうと思ったのに。」
「ごめん、来週にしようよ」
「わかった」
パチンコ・パチスロ依存症になると平気で嘘をつくことができます。
彼女にも パチンコ・パチスロのためには嘘をついていました。
そしてこの電話だけではなく、この後も彼女にはたくさんの小さな嘘と大きな嘘をつき続けてしまいます。
この当時付き合ってた彼女は四つ下の小柄で細身の 女性です。
絶世の美人ってわけではないですが、 観月ありさ似の 優しい娘でした 。
自分にはもったいないほどです。
彼女は私の言った事は、ほぼすべて信じていました。
いや、どんなに嘘だとわかっていても信じているフリをしていました。
それが二人の関係を壊さない為の彼女の処世術でした。
自分がどんなにつらい気持ちでも、それを見せずに彼女の強さで優しくわかったフリをする。
彼女の優しさを私は利用し続けました。
そんな彼女は涙を見せたのは一度だけです。
家に着くと今日の自分のやった行動に激しく後悔します。
50,000円あったはずの明日の軍資金は26,000円です。
勝負するにはあまりにも足りない金額ですが、それよりもパチスロを打てることに安心している自分がいます。
普通で考えれば朝一から26,000円で勝負するのは間違っています。
朝一から1280ゲームの天井に行くことも考えられますし、運よく引けても レギュラーボーナスでその後連チャンせず追加投資して資金がなくなり終了ということも考えられます。
勝つつもりであれば資金に余裕を持ち、あらゆることを想定して立ち回らなければいけないのです。
ただここでの正解はこの後パチンコ・パチスロを打つのをやめバイトでもして10日後に迫る返済のためのお金を作り、他にある消費者金融を任意整理なりして支払額を減らし 少しずつでも通常の生活ができるように行動するということです。
私は気づいていました。
これ以上進んでも何も解決しないこと、状況はどんどん悪くなっていくこと。
パチンコ・パチスロをやめてそのように行動すれば普通に生きていけることも。
ただこの時の私はすでにパチンコ・パチスロ依存症です。
どんなに頭では正解を導きだしても、足はホールに向かっていくのです。
「まだ10日ある。明日は2000枚でも出せればOK」
そう考えて明日に備えて布団の中に入るとその瞬間メールの着信音が鳴ります。
「疲れてるみたいね。何かあったの?何かあったら言ってね!まあいいや(^^)おやすみなさい」
そんな彼女のメールも鬱陶しいなと思ってしまう自分でした。
パチンコ・パチスロのために優しくすることもできなくなっていましたし、彼女のそんなちょっとした気遣いや優しさも受け止めることができなくなっていました。
「何もないよ。おやすみ」
返信のボタンを押して眠りにつきました。
負けに不思議な負けなし
そのホールには開店の40分前に着きました。
すでに30人くらい並んでるのが分かります。
ほとんどの人が北斗か獣王か島唄の裏モノに行くのは分かっていたので、キングパルサーを狙っていた自分は余裕でした。
開店時間になり店内に入ると案の定キングパルサーに向かう人は自分を含めて二人だけ。
昨日座っていた台の別の台の目星をつけていた台に座りました。
心なしかサンドにお札を入れる時指先が震えています。
そしてゲームスタート。
打ち始めるとビビッている自分はいません。
ボタンを押す指も軽やかです。
そして投資3,000円目70ゲーム!
5匹のカエルが出てきて帰ります
71ゲーム
5匹のカエルが出てきて帰ります
72ゲーム
シーン・・・。
・・しかしリプレイ
73ゲーム
5匹のカエルが出てきて「ゲコッゲコっ」
74ゲーム
・
・・
・・・。
「キターっ」
その後もレギュラーボーナスを挟みながらですが連チャンし1500枚ほどゲットしています。
そして連チャンゾーンである128ゲームをこの日初めて抜けました。
普通はここで一旦コインを流し店内を回ってめぼしい台を見つけるか、良い台がなければ何も打たずに良い台があくまで 待つべきなのですが 私は続行しました。
パチンコ・パチスロ依存症の私は ここで一旦止めて立ち回るということができず、この後も早いゲーム数でボーナスを引いて連荘すること期待して打ってしまいます。
パチンコ・パチスロ打っていない時は雑誌等から知識を得ているので頭の中で立ち回るイメージは出来るのですが、いざ打ち始めると冷静に立ち回ることはできません。
目の前にあるパチンコ台パチスロ台を打ち続けることに集中してしまうのです。
その後は400ゲーム台で一度ボーナス引きますがレギュラーボーナス。
そして3回連続、連チャンせずにしかもレギュラーボーナス。
先ほどまで1500枚ほどあったコインもみるみる無くなっていきます 。
気がつけば箱に移したコインは全てなくなり下皿にコインがあるだけになっていました。
しかし追加投資はしていないために今交換すれば多少はプラスです。
現在のゲーム数は400ゲーム 仮に天井までいった場合は26,000円以上の投資が必要になります。
手持ちの金額は23,000円
天井までは届きません.
この時私はこう考えていました。
「1500枚くらい出てた時点でやめていればプラス27,000円はあった・・・。」
「何で続行しちゃったんだろうか」
「飲ませた1500枚すぐにでも取り戻したい」
こう考える時点でパチンコ・パチスロは勝てません。
パチンコ・パチスロが勝てないというよりも、自分で勝ちを捨てているようなものです。
打っているときは何も考えずに打ち、打ち終わってからあれこれ考えて後悔する。
そしてあれこれ考えたことを次に生かさない。
パチンコ・パチスロ依存症の私の立ち回りは常にこんな感じでした。
「負けに不思議な負けなし。負けには必ず理由がある」
これはヤクルトや楽天の元監督、野村克也氏の言葉です。
パチンコ・パチスロ依存症の私は負けるべくして負けていたのでしょう。
そして私は先ほどまであった1500枚のコインを取り戻すべく立ち回ります。
この時すでに今自分が闇金融から借金をして打っている事も10日後に返済日があることも頭の中にはありません。
「よし、次の台!」
3話はここまでです。
さあ次はどんな台に座るんでしょう?
まあ当然参考になるような立ち回りでもないですし正直言ってむちゃくちゃです。
パチンコ・パチスロ依存症の成せる技とでも言うんでしょうか・・・。
文中にも出てきた野村克也元監督は大好きな監督です。
著書もたくさん出ているので十冊ぐらいは読んでいます。
本で読んだ野村元監督の言葉は今でも自分が大切にしているいくつかの座右の銘のひとつでもあります。
「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし負けには必ず理由がある」
よろしければ第4話を楽しみにしていただければと思います。