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パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-110
誰にだって、調子が良い時はあるのものです。この時の私がそうでしょう。この時、私はこれが自分の実力や運と勘違いしていました。
驕りがあったのです。
その代償は、自分の想像を超えたものでした。
※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。
愛情
それから私は、変わらない毎日を送っています。
ミィとは、たまに下らない理由でケンカもありましたが、最後には仲直りをし、その日の夜に熱い夜をすごせば、数日間はより深い愛情が沸いてきました。
それは、ミィも同じです。
佐々木さんとは、会うばかりではなく、私が残業をしている時にあえて佐々木さんも残業をし、誰もいなくなるのを待って本能を重ね合わせていました。
特に、佐々木さんの方から私の下腹部に手を伸ばしベルトをはずしてくる時の興奮は、私の全てを満足させるのに十分でした。
イスを少し机から離し、その隙間にいるブラウスの前がはだけた制服姿の佐々木さんの頭が上下するのを見ながら快楽に溺れる瞬間がたまりません。
そして、あれほど、毎日頭の中にあった、パチンコ・パチスロに行っていなかったのでした。
しかしそれは、数字を上げるために、ほぼ毎日21時以降まで残業をしているため打つ時間がなかったからです。
改めてですが、「行かなかった」のではなく「行けなかった」のでした。
それは、とりあえず私に良い効果をもたらしました。
パチンコ・パチスロで一喜一憂しない日々の生活は精神状態に安定をもたらし、心身共に充実感を感じる状態になっています。
正直、パチンコ・パチスロのことが気になることはありましたが、それよりもミィとの毎日や佐々木さんとの行為が私を満たし、営業の数字もそれなりについてくる生活に満足していました。
そうして、一ヶ月、二ヶ月と時が進み、さらに朝と夜の冷え込みが厳しくなり除雪車が道路脇に高く雪を積み上げた頃、私はある変化に気が付きます。
給料日、支払いをしようとミィが借りてくれた消費者金融のカードをATMに入れた時です。
いつもと違う画面の変化を私は見逃しませんでした。
”借入可能限度額 30,0000円”
ミィが借りてくれたのは、20万円です。
わずか2ヶ月の間に自然と限度額が上がっていました。
少しだけ心の奥に「ざわっ」とした感覚を覚えます。
しかし、当然ですが、いつもの通りの金額を入金しその場を後にしました。
もちろん私の消費者金融は借入可能額”0円”です。
この日、ミィに生活費として3万円渡した時、ミィは自分の財布とは別の財布にそのお金をしまい、すぐに夕食の支度をします。
いつもは生活費と一緒に私の方からミィが借りてくれた消費者金融の明細を渡しますが、タイミングを逃し渡せませんでした。
この時は、その気はありませんでしたが、何となく明細を渡し忘れてうやむやになり、お互いそのことを忘れたのです。
ミィの方も気付いているのにあえて言ってこないか、気にしていないのか、私のことを信頼してあえて何も言ってこないのかわかりませんでした。
私の方といえば、「あっそういえば、明細わたさなければ・・・」と思いましたが、心の奥の奥で「万が一お金がなくなった時には・・・」という気持ちが芽生え、その感情を無理やり気付かないフリをしてそのままにします。
どんなに平穏な日々が訪れても、私生活が上手く回り始めても私の中に潜む闇は、しっかりと準備をし、来るべき日のためにその牙を磨いていました。
その日、少しだけ機嫌が悪いミィにかまわず、シャワーを浴びて先にベッドに入った私は、すぐに目をつぶります。
こんな時、彼女はかまってほしい時だということに気付いていましたが、あえてそれを無視し、頭から布団をかぶります。
当然のように、こういう時は小さないざこざが起こります。
理不尽に私を怒り、そこからケンカに発展するのはわかっています。
だけど、それを鎮めるのにも慣れていましたし、その後の濃厚な時間を過ごすことも1セットです。
私は、この時ほとんどの女性はそういうものだし、それが普通だと思っていました。
そういえば、最近ミィが着替える時に「見るな!」と怒られていません。
同じ空間にいながらお互いの存在が当たり前になっていき、彼女に無意識の視線を送ることも少なくなったのでしょう。
だけど、ミィは変わらず優しい視線を私に向けていました。
それに気付いたのはこの先、何年も先のことです。
その時、同じ空間には彼女はいません。
霹靂
営業社員の頑張りもあり、徐々に数字が回復していく中、私の成績も元に戻ってきていました。
決して悪くない売上を上げていましたが、なんとなく気分は晴れません。
私だけが良くなったのではなく、他の人の成績も上がっているため、特に目立っているわけではなかったからです。
成績は13人中4番目の売上でした。
あれほど、私に目をかけてくれていた剣崎課長も最近は、成績トップの営業の人を気にかけています。
以前よりほとんどしゃべりかけてくれなくなりましたし、「夜飯どうだ?」と声を掛けてくれることもなくなっていました。
私は自分のことが特別視されていないことに不満をもっていました。
デキる男とは違う気がしたからです。
そしてなによりも、佐々木さんの私に対する気持ちが変わらないかがとても不安になります。
おそらく佐々木さんは、いつも好成績で仕事が出来る私が魅力的に見えたのでしょう。
しかし今の自分には、その輝きがありません。
もう、誘っても断られるような妄想にかられます。
佐々木さんとの行為は、私にとって必要不可欠なものです。
それが失われるような気になって、不安がどんどん膨らんできます。
この不安をかき消すためには、改めてもっと頑張り、良い成績を残すしかありません。
だけど、体からは少しだけやる気が失せていき、それを乗り越えようとはしませんでした。
とりあえず準備を済ませ席を立ちます。
チラッと佐々木さんの背中を見て、すぐに会社をでました。
会社のビルを出て、駐車場まで歩きます。
肌を突き刺すような寒さと、切り裂くような雪と風の中、小走りしていると街路樹の横についているデジタルの温度計は-10℃を示していました。
エンジンをかけ、ヒーターをマックスにした後、携帯電話を取り出します。
佐々木さんを誘おうと思いました。
くすぶっているモヤモヤした感情をどうにかしたかったのです。
そして、佐々木さんとの関係を失う不安を早く掻き消したくてたまりませんでした。
メールの画面を開き、連絡先から佐々木さんを選んで入力します。
「近いうち、ご飯どうかな?」
今まで、私が誘ってダメだったことはありません。
数回、子供のことで日にちがズレたことはありましたが、翌日か翌々日には必ず会っていました。
しかし、文面を入力したもののメールを送ることに躊躇していまいます。
それは、朝に感じた感情が現実化しそうな気持ちになり怖くなったからです。
誘って断られるのは、最低です。
デキる男としての自分を崩すことが出来ませんでした。
結局モヤモヤしたままの気持ちで営業を回ります。
最近の中で一番といっていいほど手ごたえを感じません。
午前中が終わり、行ったことのないパチンコ屋の駐車場に車を停め、ミィが作ってくれたおにぎりを頬張りました。
気がつくと、2ヶ月以上パチンコホールに足を踏み入れていません。
不思議と昼食を取りながら入り口やネオンを見ていますが、打ちたい衝動にかられませんでした。
食べ終えて、おにぎりとおかずの入っていた巾着袋を鞄に入れた時、メールの着信音がなります。
条件反射のように携帯電話を開くと、佐々木さんからでした。
”おつかれさま。できれば今週会いたいな。”
願ってもいない、メールです。
自分に自信が持てずにメールを躊躇していたのに、佐々木さんの方から誘いのメールが来ました。
やはり、彼女も私との関係が必要なのです。
きっと、佐々木さんも求めているのでしょう。
時々あるネコのタトゥーの痛みを消せるのは私だけなはずでした。
こんな時の男は、滑稽なほど単純です。
「木曜か土曜の夜でどうかな?」
すぐに返信が帰ってきます。
「じゃぁ、木曜日に会社帰りでいい?」
「OK!」
私はすぐに自信を取り戻し、沈んでいた心が回復するのを感じました。
営業先に向けて車を走らせます。
午後からの営業は絶好調でした。
この調子が続けば、また剣崎課長は私のことを気にかけるしかなくなるでしょう。
それでも残る、”イヤな予感”はきっと気のせいです。
心の奥から響くシグナルは無視して私は、上機嫌で車を走らせるのでした。
約束の木曜日、いつもより早く営業を切り上げ、急いで終了業務を終わらせます。
佐々木さんの席のパソコンはすでにログオフされており、イスの背もたれにはひざ掛けがかかっていました。
きっと先に上がって、待ち合わせ場所にいるのでしょう。
いそいで車に乗り込み、車を走らせます。
大粒の雪で視界が悪くなっている中、うっすらと佐々木さんが待っているのが見えてきます。
「ごめん、ごめん。待った?」
「うん、ちょっとだけよ。大丈夫」
車に乗る前に雪を払いましたが、まだ肩口には雪が残っていました。
「なんか、初めてじゃない?佐々木さんから誘ってくるの?」
「うん・・・」
一瞬、車内の空気が変わった気がして違和感を感じましたが、気にせず予約していた店に向けて車を走らせます。
店に着いてからは、先ほどの違和感は消え、いつものように会話を楽しみました。
本当のことをいうと、会話も食事も全てこの後の濃密な時間のためにある気がして全てを淫靡に感じています。
体や行為はもちろんのこと、会話や仕草も最高でした。
これほど私の中から攻撃本能だけをえぐる様に刺激する女性には、もう一生出会うことはないでしょう。
食事を終えた後、当たり前のように車をいつものホテルに向けて走らせます。
ホテルに入ると、ほとんどの部屋が空いていましたが、一番安い部屋ではなく、2番目に安い部屋のボタンを押しました。
部屋に入り、コートをハンガーに掛け、イスに腰を掛けるとすぐに覆いかぶさり全身を撫でていきます。
佐々木さんもすぐに息遣いが荒くなり強く抱きしめかえしてきました。
肌触りの良いセーターの中に手を入れると、いつものようにしっとりとして吸い付くような肌の感触が伝わってきます。
「あふっ、あん・・・シャワー浴びよう・・よ」
「うん」
正直、シャワーなど、どうでもよくて、すぐにでも始めたい気持ちでしたが、一旦体を離しシャワーに向かいます。
先にシャワーを浴びバスタオルを巻いてでてくると、すれ違い様に佐々木さんがシャワーに向かいました。
タバコを一本吹かし、ベッドの上で大の字になって待っています。
シャワーの音が止まり、少し待っていると下着姿で佐々木さんが歩いて来ました。
部屋にある大きな鏡に後姿が映った時、きれいな流線型を描いたヒップラインがとても綺麗で感動を覚えます。
「てぃ、Tバックだ・・・」
「うふふ、なによもう、ビックリした顔して笑。」
「い、いや・・・」
「だって、この前、あべさんが、Tバック履いているところ見たいって言ってたからでしょ笑」
「いや・・・だって、Tバック持ってないって言ってたし、合う下着探すの大変だからっていってたから」
「そうよ、探したのよ、結構したんだから。うれしい?」
「うん、もちろん!」
「うふふ、なんか、顔イヤラシすぎよ笑」
「えっ!!」
「ウソよ笑」
そういうと佐々木さんはすぐに私のバスタオルを剥ぎ取り、下着姿のまま私の下半身に顔を移動させます。
正面の鏡に映る、高く突き出したTバックの下着姿のヒップラインを見ながら、あっという間に果ててしまいました。
「ねぇ、佐々木さん」
「なぁに?」
「どうして、いつも先にイカせるの?」
「え?うん、なんか、あべさんがイクところをみると安心するのよ。安心してからされたいわ。変かしら・・・?」
「い、いや、変じゃないよ。うれしいし、気持ちいし、燃えるよ笑」
「それに私、いつも2、3回くらいイクから、あべさんが1回だったらフェアじゃないわ」
「そっか笑」
「笑」
すぐに、私は回復し2回目に突入しました。
”G”と印字されたタグの近くにあるホックを外すと、こんなに完璧な感触とラインは無いんじゃないかと思えるバストが目の前に現れます。
無意識の内に顔をうずめ激しく愛撫していました。
佐々木さんが2回目にイクのと同時に私も果て、きつく抱きしめ合ったあと、緩やかな時間が訪れます。
帰るまでのわずかな時間。
シーツにくるまりながら少し切なくなるこの時間もたまらなく好きでした。
「ねぇ、あべさん」
「うん?なに」
髪をゆっくりなでながら返事をすると、すこし潤んだ目をして私を見つめます。
「・・・」
「・・・ん?」
「私ね、もうすぐ結婚するの。だから・・・」
不幸やネガティブな事柄は、自分の知らない内に育ち、そして目の前に現れるのです。
110話終了です。
もう少し続きます。