見出し画像

『世界のサラダ図鑑』に登場してくる日本では手に入りにくい食材 第21回 野菜 その21 蓮の茎

蓮の茎

使用しているサラダ
Goo Ngó Sen, ベトナム

画像1

まずは蓮について

 蓮(ハス)もバナナと同様にあらゆる部位が食用として使われます。日本でも馴染み深いレンコンは最も知られる部位でしょう。レンコンは蓮根、つまり蓮の根ということになりますが、実際は根ではなく地中にある茎で、英語でrhizome(ライゾーム)、日本語では地下茎と呼ばれています。レンコンの節に生えている太い髭のようなものが本当の根ということです。
 蓮の実はほんのり甘みがあり、中国では甘く煮てペースト状にして餡子のようにして食べます。包子(バオヅー、中華饅頭)の白餡は日本で一般的な白インゲン豆ではなくこの蓮の実が使われます。
 花は花茶の原料として知られています。葉も乾燥させてお茶に使われますが。米や肉を蒸すときに蓮の葉に包むと特有のとてもいい香りがします。
 蓮はこのように様々部位が食材として使われますが、1本の蓮からすべてが収穫できるということではないようです。食用にされる蓮には大まかにいうと3種あり、それぞれ地下茎、実、花の収穫に特化した品種で、例えば地下茎用の品種は背が高く花は貧弱で咲かないものもあるようです。逆に実用の品種は地下茎が貧弱、花用の品種は大輪の花を咲かせますが実は食用には使えないようです。

画像2

蓮の実餡入り中華饅頭-30-low

蓮の実と蓮の実餡の中華饅頭

中華風栗おこわ-11-crop-low

蓮の葉で包んで蒸した栗おこわ

レンコンではなくて蓮の茎?

画像5

 ここで紹介するのは前述とは違う部位、茎です。地下茎との違いは地中にあるかないかということになりますが、見た目はまったく違います。日本各地に蓮の名所があるので蓮を見たことがある人はたくさんいると思います。葉や花が先についているあの細長い茎です。
 茎を切るとレンコンと同様、ストローのように穴が開いていることが分かります。茎の両端をつかんで折ってゆっくり引っ張ると無数の細い繊維が現れてきます。おもしろいのはこの繊維を糸にして布地を織ることでしょう。ロータス(蓮)シルク、日本語ではこの糸のことを藕絲(ぐうし)と呼ぶようです。絹よりもデリケードで少し伸縮性があり、絹のような艶はありませんが、労力を伴う手作業で作られることもあって価格は絹の10倍ともいわれています。次のyoutubeの動画を見ると高価な理由がよく分かるでしょう。

味は?食感は?

 蓮の茎には少し甘味があり、繊維質ではあるものの気にするほどではありません。レンコンと比べると遥かに細く柔らかいですが味はレンコンに似ています。生のままサラダにするほか、煮てスープにあるいは炒めものなどにして食べます。インドではカレーの具に使われます。

代替品は?

 アメリカにも蓮が繁殖しているところが各所にありますが、生の蓮の茎が売られているのは見たことが今のところありません。手に入るのはアジア系のスープ―で売られている瓶詰のものです。日本では蓮の茎を使った料理もあるようで、スーパーなどに並ぶことはないにしてもまったく手に入らないというものではなさそうです。見つけたらぜひ試してみてください。ない場合は食感は違いますがレンコンを代替品として使うのがいいでしょう。蓮の茎にしてもレンコンにしても生食が可能です。生で食べるはちょっとと思うならば、さっと湯がいて使ってください。

いいなと思ったら応援しよう!