ジョン・フランケンハイマー監督、ジーン・ハックマン主演『フレンチ・コネクション2』
昨今、差別的表現のカット問題で揺れるウィリアム・フリードキン監督の『フレンチ・コネクション』。第44回のオスカーで作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、編集賞の5部門を受賞したこの作品は、そういう表現も含めてオスカーを獲得しているわけで、現代と合わないからといってカットするなんて、何と愚かなことか。映画はさまざまな要素が集まった総合芸術だと言われる。その部分をなかったことにするなんてあり得ない! 映画の歴史、映画の存在意義も問われる、映画界最大の問題になりかねない。ほんと、どうにかならないものか……。
名誉あるオスカーを受賞したこの名作の続編として、4年後の1975年に作られたのが『フレンチ・コネクション2』だ。監督は『影なき狙撃者』『大列車作戦』『ブラック・サンデー』『RONIN』など、数多くの作品を手掛けたジョン・フランケンハイマー。前作に続いてドイル刑事を演じるのはオスカー主演男優賞を受賞したジーン・ハックマン。共演はフェルナンド・レイ、ベルナール・フレッソンほか。筆者が初めてこの映画を観たのはテレビ放送で、フジテレビの『ゴールデン洋画劇場』の何度目かの放送だったと記憶している。初放送は1977年4月29日のフジテレビ『ゴールデン洋画劇場』で、ハックマン=小池朝雄さん、レイ=大平透さん、フレッソン=羽佐間道夫さん(前作ではロイ・シャイダーだったが、相棒役ということで役者が変わっても起用されたのかな)というボイスキャストで、今でもこのバージョンが放送されるし、DVDやブルーレイにも収録されている。ソフトでは何度も観ているこの作品だが、未だに劇場の大スクリーンで観たことがない。いつかはとは思っているが、そんな日が来るのだろうか……。
舞台はニューヨークからマルセイユに。ハックマン演じる”ポパイ”ことドイル刑事は、レイ演じるシャルニエを追ってマルセイユに単身やってくる。ドイルはフレッソン演じるマルセイユ警察の刑事バルテルミーに疎まれながらも、シャルニエの行方を追う。だが、シャルニエはドイルを監禁し、麻薬漬けにしてしまう。バルテルミーによって麻薬の禁断症状から回復したドイルはふたたびシャルニエを追い始める。前作はリアリティを追求したドキュメンタリータッチで、独特の緊張感が映画全体を包み、最後まで気の抜けないものだったが、今回は骨太な刑事アクションとしてドラマティックに構成されている。ドイルにとってマルセイユはまさにアウェイ状態。マルセイユ警察ではトイレの傍に薄汚れた机に座らされ、バルテルミーには大人しくしてろと言われる始末。シャルニエの策略で危機に陥るなど、常に劣勢が続いていく。このまま劣勢なのかと思いきや、エンドロールまで約15分のあたりから少しづつ形成が逆転し始め、テンションが徐々に上がり、エンドロール数秒前に起こる待ちに待った瞬間(未見の方もいるかと思うので、ここは内緒。ぜひ本編でお確かめを)は何とも言えないほどの爽快感を味わえる。映画館で上映されたときはその場面で拍手が起きたという。その瞬間を味わいたかったというのが正直な気持ちだ。
『ゴッドファーザー』や『ターミネーター』など、続編が1もしくはそれと同等、もしくはそれ以上に面白いということがあったりする。個人的にはこの『フレンチ・コネクション2』もそれにあたると思う。監督がフリードキンからフランケンハイマーになったことでテイストも変わり、前作とは違った面白さが構築されている。1のラストでもやもやとした気持ちだった方も、この映画を観ればスッキリとできるはず。ラストの待ちに待った瞬間を味わうためにも、2を観て損はないと思う。
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