「稲生物怪録」の舞台、比熊山に登る
江戸時代の妖怪物語「稲生物怪録」の舞台である広島県三次市の比熊山に登ってきた。
比熊山の位置は三次もののけミュージアムのすぐ近くになるのだが、実はハイキングコースとしては少し荒々しい場所ではある。
登山道入り口の場所がわからず(14年前に登っているのだが失念)太歳神社の近くのはずなので行ってみると神社の方に教えていただくことができた。
ただし、雪が溶けたばかりで木などが落ちていて、足元は決して良くないという。まああまり危険であれば戻ればいいのでそのまま教えていただいた登山道から登り始める。なるほど、確かに足元は良くない。明らかに動物が掘り起こしたような跡もあるし、道が細い。「木が落ちている」というのは枝がたくさん落ちているという意味かと思ったら、普通に樹木が倒れて登山道を塞いでいる。これをまたいだりくぐったりしながら進まなければならない。道々、滑って倒れているお地蔵様を直しながらの登山だ。できればでいいのだが、恩返しとかをしてくれれば嬉しい。
比熊山は決して高い山ではないのだが、実際に登るとなればやっぱり大変だ。どのくらい大変かというと、そこそこ高いビルを階段で登るくらい大変だ。
とはいえ、まだ三次市が本格的に妖怪を推す前のこの比熊山登山道は、本当にただの山道だった。現在では視界を塞ぐ樹木が伐採されて三次の街が一望できるが、14年前は登るのが疲れる上にほとんど展望もなかった。
比熊山の頂上付近にあるのが「稲生物怪録」の物語の発端になった「たたり石」だ。これも現在ではカッコよくしめ縄とかしめているが、14年前はほとんどただの放置されている岩に過ぎなかった。
元々この辺りは山城だったそうで、それらしき遺構もあった。
三次市が妖怪を推し始めたおかげで、ただの山道がハイキングコースになったと思えば、意義のあることである。
下山して、せっかくなのでお賽銭をあげておみくじを引くと、バッチリと「凶」が出たのだが、どういう事だろうね。