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そして、あなたはどう生きるか?後編
我々が直面している21の重要なテーマを取り上げ、正解の見えない今の時代に、どのように思考し行動すべきか問う。
今や全世界からその発言が注目されている、新たなる知の巨人は、ひとりのサピエンスとして何を考え、何を訴えるのか。
すべての現代人必読の21章の後編。
著者[ユヴァル・ノア・ハラリ]
歴史学者、哲学者。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して2002年に博士号を取得。現在エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教える傍ら、2018年のダボス会議での基調講演など、世界中の聴衆に向けて講義や講演も行う。著書「サピエンス全史」「ホモ・デウス」
■洗脳マシーンから抜け出す
自分の偏見を暴き、自分の情報源の確かさを確認するために時間と労力をかけるのは、私たち全員の責任だ。私たちは何から何まで自分で詳しく調べるわけにはいかない。
だが、そうだからこそ、せめて自分のお気に入りの情報源ぐらいは念入りに調べる必要がある。それが新聞であろうと、ウェブサイトであろうと、テレビのネットワークであろうと、人であろうと。
信頼できる情報が欲しければ、たっぷりお金を払うことだ。現在のところ、ニュース市場で支配的なモデルは「あなたには費用はかからない、エキサイティングなニュースを、あなたの注意と引き換えに」だ。
あなたはニュースに対して何も支払わず、低品質の製品を手に入れる。さらに悪いことに、あなた自身が図らずとも製品になってしまう。まず、センセーショナルな見出しに目を奪われ、続いて、広告主や政治家に売られるのだ。
したがってニュース市場のモデルとしては「お金はかかるが、あなたの注意を濫用しない高品質のニュース」のほうが、はるかに優れている。今日の世界では、情報と注意は決定的に重要な資産だ。
自分の注意をただで差出し、その見返りに低品質の情報しか受け取らないというのは狂気の沙汰だ。もしあなたが、高品質の食品や衣料や自動車に進んでお金を払う気があるのなら、高品質の情報にも喜んでお金を払ってもいいのではないか。
また、もし何らかの問題が自分にとって格別に重要に思えるのなら、関連した科学文献を読む努力をすることだ。科学に限界があることは言うまでもないし、科学は過去多くのことを取り違えてきた。それでも、科学界は何世紀にもわたって、最も信頼できる知識の源泉であり続けてきた。
もしあなたが、科学界が何らかについて間違っていると思っているとしたら、実際に間違っている可能性は十分にあるが、少なくとも、自分が退けようとしている科学理論を知り、自分の主張を支える証拠を何かしら提示してほしい。
■生態系の難題
今後数十年間に、人間は核戦争に加えて1964年には政治のレーダーにも映っていなかった新たな実存的脅威にも直面する。すなわち、生態系の崩壊だ。
人間はグローバルな生物圏を多くの方面で不安定にしている。私たちは環境からますます多くの資源を取り出す一方、逆に膨大な量の廃棄物と毒物を環境に送り込み、土壌や水や大気の組成を変えている。
私たちは、何百万年もかけて形作られてきた繊細な生態系の均衡を、自分たちがどれほど多くの形で乱しているか、ほとんど気づいてさえいない。
例えば肥料としてのリンの使用について考えてみてほしい。リンは少量であれば、植物の成長に不可欠の栄養素だ。だが、量が多すぎると毒になる。
現代の工業化された農業は、大量のリンで人工的に農地を肥やすことを基本としているが、高濃度のリンを含む農場からの流去水がやがて川や湖や海を汚染し、海洋生物に壊滅的な打撃を与える。
アイオワ州でトウモロコシを育てている農家が、こうしてはるか南のメキシコ湾の魚を図らずも殺しているかもしれない。
また最大の脅威は気候変動の見通しだ。完新世の標準から少しでも逸脱すれば、人間の社会はかつて遭遇もしたことない、桁外れの難題に直面することになる。
それは、何十億もの人間モルモットを対象に無制限の実験を行うようなものだ。
人間の文明が新しい状況に最終的に適応したとしても、その適応の過程でどれほど多くの犠牲者が亡くなるか、知れたものではない。
■宗教と技術の問題
宗教は近代以前には、農業のような分野の多様な技術的問題を解決する役割を担っていた。神聖な暦によって種蒔きや収穫の時期が決まり、神殿の儀式で降水を確保し、害虫を防いだ。
医療も宗教の担当範囲に収まっていた。預言者のやシャーマンのほぼ全員が治療師も兼ねていた。古代のエジプトに暮らしていようと、中世のヨーロッパに暮らしていようと、病気になった人はおそらく医師ではなく呪術医のところに行き、病院ではなく名高い神殿に巡礼の旅をしたことだろう。
最近は生物学者や、外科医が聖職者や奇跡を起こす人の後を引き継いだ。科学の勝利はあまりにも完璧だったので、宗教について私たちの考え方そのものが変わった。
私たちはもう宗教を農業や医療とは結び付けない。多くの狂信的な信者でさえ、今や集団的健忘症にかかっており、伝統的な宗教がこれらの領域の支配権を主張していたことを忘れがちだ。
伝統的な宗教が得意分野のこれほど多くを失ったのは、率直に言って、農業も医療も得意ではなかったからだ。聖職者の専門技術はもともと、雨を降らしたり、治療をしたりすることではなく、物事を解釈する事だった。
聖職者とは、雨乞いの踊りがうまくいかなかった理由や、神は祈りに全く耳を傾けてくれないように思えるのに、私たちがその神を信じ続けなければいけない理由を正当化する方法を知っている人なのだ。
科学の特徴は進んで失敗を認め、別の方針を試すことだ。だから科学者は、前より優れた作物を育てたり、優れた薬を作ったりする方法をしだいに学ぶのに対して、聖職者が学ぶことといったら、前よりにもうまい言い訳をする方法に限られる。
何世紀も過ぎるうちに、宗教の熱狂的な信者でさえその違いに気づいた。そしてまた、全世界がしだいに単一の文明になりつつあるのもこのためだ。
物事が本当にうまくいくと、誰もがそれを採用する。
■人種差別から文化差別へ
一世紀前、ヨーロッパ人の一部の人種、わけても白色人種は、他の人種よりも本質的に優れていると、当たり前のように思っていた。1945年以降、そのような見方は次第に忌み嫌われるようになった。
人種差別は道徳的に極端にけしからぬだけではなく、科学的に見ても破綻していると見なされた。生物学者、特に遺伝学者は、ヨーロッパ人、アフリカ人、中国人、アメリカの先住民の間の生物学的差異は取るに足りないことを示すじつに強力な科学的根拠を提示した。
ところがその一方で、人類学者や社会学者、歴史学者、行動経済学者、さらには脳科学者までもが、人間の文化間には重大な差異が存在するという豊富なデータを蓄積してきた。
実際、もし人間のあらゆる文化が本質的に同じだったなら、人類学者や歴史学者など、そもそも必要ないのではないか?
じっくり考えてみると、性風俗から政治的な習慣まで、人間の文化の間には少なくともいくつかの重大な差異があることを、ほとんどの人が認める。
1890年代や1930年代には、イギリスやオーストラリアやアメリカのような国では、アフリカ人や中国人は何らかの遺伝性の生物学的特性のせいで、知能や進取の気性や道徳の面でヨーロッパ人よりも生まれつき劣っていると広く信じられていた。
今日ではそれとは対照的だ。そのような差別的な主張をする人が相変わらず多いとはいえ、人種差別は科学的な支持をすべて失い、政治的にも真っ当だとはほとんど思われなくなった。
黒人は標準以下の遺伝子を持っているから罪を犯しがちだ、などと言うのはもう時代遅れで、彼らは機能不全のサブカルチャーの出身だから罪を犯しがちなのだ、と言うのがとてもはやっている。
従来の人種差別は下火になってきているが、世界は今や「文化差別主義者」で満ち溢れている。
■神不在の論理
さまざまな社会秩序にとって神への信仰が不可欠であり、好ましい結果につながる場合もあることは間違いない。
実際、一部の人々に憎悪と偏狭な考えを抱かせるのとまさに同じ宗教が、別の人々には愛と思いやりを抱かせる。
とはいえ、神は私たちに思いやりのある行動を取る気を起こさせるものの、宗教的信仰心がなければ道徳的行動が取れないわけではない。
人間は社会的な動物であり、そのため、人間の幸福は他者との関係にあり大きく依存しているからだ。
愛や友情やコミュニティがなければ、幸せになれる人などいるのだろうか?自分本位の孤独な生活を送っていたら、惨めになることはほぼ確実だ。だから幸せになるためには、少なくとも家族や友人やコミュニティの仲間を気遣う必要がある。
それでは赤の他人はどうなのか?見ず知らずの人を殺して所有物を奪い、自分と自分の部族を富ませればそれでいいのではないか?多くの思想家が手の込んだ社会理論を構築し、長い目で見ればそのような行動は逆効果になることを説明してきた。
その欲望は他者の平静と幸福を損なう前に、本人の平静と幸福を損なう。だから人はまず、心の中で強欲と嫉妬が大きく膨らまないかぎり、めったに盗みを働いたりしない。
一部の人にとっては、一方の頬を打たれたらもう一方の頬も相手に向けるように命ずる、慈悲深い神への強い信仰が、怒りを抑える助けになる。そのため宗教的信仰はこれまで、世界の平和と調和へ大いに貢献してきた。
ところがあいにく、宗教的信仰は実のところ一部の人の怒りを掻き立てたり正当化したりする。だから立法者として神の価値は、最終的には敬虔な信者たちの行動次第ということになる。
もし信者が善い行動を取るのなら、何でも好きなものを信じればいい。神殿を訪れると平静や落ち着きを体験できるのなら、すばらしいことだ。だが、特定の神殿が暴力と争いの原因となるのなら、そんなものがなぜ必要だろう。
その神殿が機能不全に陥っているのは明らかだ。病気にかかって実がならず、棘が生えるだけの木をめぐって争うのが無意味なのと同じで、調和ではなく対立を生じさせる、欠陥を抱えた神殿をめぐって争っても意味はない。
■あなたは自分で思っているほど多くを知らない
過去数世紀の間に、自由主義の思想は、合理的な個人というものに絶大な信頼を置くようになった。この思想は、独立した合理的な行動主体として人間を描き出し、この神話上の生き物を現代社会の基盤に仕立て上げた。
民主主義は有権者が一番よく知っているという考え方の上に成り立っており、自由市場資本主義は常に正しいと信じており、自由主義の教育は自分で考えるように生徒に教える。
とはいうものの、合理的な個人というものをそこまで信頼するのは誤りだ。植民地独立後の思想家やフェミニズムの思想家が指摘してきたように、この「合理的な個人」とはどうやら熱狂的性差別主義の西洋の幻想であり、上流階級の白人男性の自立性と権力を賛美している。
人間の決定のほとんどが、合理的な分析ではなく情動的な反応と経験則による近道に基づいており、私たちの情動や経験則は石器時代の暮らしに対処するのには向いていたかもしれないものの、シリコン時代に痛ましいほど不適切であることは、行動経済学者や進化心理学者によって証明済みだ。
合理性だけではなく個人性というのも神話だ。人間はめったに単独では考えない。私たちは集団で考える。何から何まで知っている人はいない。ホモ・サピエンスが他のあらゆる動物を凌ぎ、地球の主人になれたのは、個人の合理性ではなく、大きな集団で一緒に考えるという、比類のない能力のおかげだった。
個々の人間は、この世界について情けないほどしか知らないし、歴史が進むにつれて、個人の知識はますます貧しくなっていった。私たちは今日、自分たちの方が多くを知っていると思っているが、実は個人としては、知っていることははるかに少ない。
必要とするものほぼ全てを他者の専門技術や知識に頼っている。世の中はますます複雑になっているのに、人々は今起こっていることにいかに無知であるか、気づけていない。
その結果、気象学や生物学についてろくな知識も持たない人が、平気で気候変動や遺伝子組み換え作物についての政策を提案したりする。人々が自分の無知を正しく認識することはめったにない。
なぜなら人々は、同じ意見の友人や、自分の意見を裏付けるオンライン配信のニュースから成る殻に閉じこもっており、そこでは自分の信念が絶えず増幅され、正当性を問われることは稀だからだ。
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現在の世の中は情報がありすぎて、どの情報に価値があるのか分からない。
「どんな情報をインプットし、どんなアウトプットするのか」で人は成長したり、学んでいく。
しかし、今のような普通に生活しているだけでも、SNSやネット、テレビやラジオ、広告や検索エンジンなどありとあらゆる所から膨大な情報をインプットさせられている。
すべての情報に価値があるわけではないし、情報の価値は知る人によっても変わるが、なんら価値のない情報と興味を引き付けるだけの情報であふれている。
なにも考えていなければ情報は勝手にやってきて、情報元が流したい情報だけを受け取ることになる。徐々に情報操作されていて情報元に都合のいいような思考に変えられていく。
そういった中で私たちは、能動的な情報のフィルタリングが必要で、価値のない情報は意図的に排除していかなければならない。
私が思う価値のある情報のポイントは3つある。
①長期的に価値がある情報
②自分が使える範囲の情報
③客観的にも主観的にも価値があると思える情報
しかし気を付けないといけないのは、自分が興味があったり、同じ意見の情報ばかりをインプットしていると、偏った思考になっていってしまうということ。
この投稿が「どんな情報をインプットするのか」を考え、価値のある情報収集の一端をお手伝いできればと思います。
私の情報が少なからず皆さんのお役に立てればと思います。
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