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顧客の購買プロセスの半分以上は営業に会う前に終わっている。


この事実の前に、企業のマーケティング、営業活動は変革を迫られている。

これは、多くの人が待ち望んだ新しいビジネスの「プレイブック」だ。

著者[福田康隆]
早稲田大学卒業後、日本オラクルに入社。2001年に米オラクル本社に出向。2004年、米セールスフォース・ドットコムに転職。翌年、同社日本法人に移り、以後9年にわたり、日本市場における成長を牽引する。2014年、マルケト入社と同時に代表取締役社長に就任。


■最新の「レベニューモデル」

まず、ターゲット市場に対して「認知拡大」するところから始まる。マーケティングの入り口は必ずしもウェブサイトだけではない。

フォーム入力や名刺の獲得などを通じてコンタクト情報を取得すると「リード獲得」のステージに移る。ここから「リード育成」と「育成対象外」のステージに分かれる。

せっかくリード獲得できたものは、すべて等しくフォローしなければと考えがちだが、ターゲットから外れるものに関してはパワーを割いてはいけない。

情報提供を通じて育成されたリードは、リードスコアリングやインサイドセールスによって、商談につながるかどうかのクオリフィケーション(各部門の基準による検品作業)が行われ「有望リード」に絞り込まれる。

その後、実際に営業が「アポイント・訪問」を実施し、クオリフィケーションが正しいことを確認して「商談」のステージに移る。契約後は「オンボーディング」と呼ばれるサービス提供や活用のフェーズに入る。

顧客になってからは、コンサルティング、カスタマーサポート、トレーニング、コミュニティ、カスタマーサクセスなどが一体となって顧客体験を支えていく。

そして、最も重要なパーツが「リサイクル」だ。「リード育成」から「有望リード」へのクオリフィケーションで落ちてしまったもの、アポイントに至らなかったもの、商談まで進んだが失注したものなどすべて「リサイクル」というステージに格納し、再度検討プロセスに戻してあげる。

直線型ではなく、このような循環型のモデルを構築することができれば、ビジネスは雪だるまのように成長していくだろう。


■営業効率の改善には限界がある

SFA(「営業支援システム」と呼ばれる営業活動を管理するツールの総称)を導入した企業は多くの場合、商談件数の増加や受注率の向上が見られる。その理由は単純だ。

導入前はスプレッドシートで管理していたり、営業の頭の中にしかなかったものの詳細が可視化され、管理出来るようになる。

これまで10件中2件しか受注できなかったものが、受注率が改善して3件や4件に増えたりする。しかしそれが6件、8件と増え続けるかというと、そうはいかない。百戦錬磨の営業など存在しないからだ。

SFAは2割の受注率で停滞している組織を3割に引き上げることは出来ても、6割、7割の受注率に引き上げることは出来ない。

改善はどこかで必ず頭打ちのタイミングがくる。

そこから売り上げを、増やそうと思えば、営業の人数を増やすか、商談単価を上げるしかない。


■マネジメントが見るべき商談の7項目

商談のフェーズを設定しても、営業がそれに沿って実行しなければ何の意味もない。きちんとプロセスを回していくためには、マネジメントのフォローアップが不可欠である。

マネジメントは「管理する」という発想ではなく、自ら「現場で何が起こっているかを理解する」というマインドが求められる。そのためにも営業とのコミュニケーションが重要であり、営業会議は有効な手段の1つである。

しかし「各自、商談の進捗を報告してください」という言葉から始まる会議を行っている会社も多いが、これほど非生産的な営業会議はない。

SFAなどを活用していれば、事前に情報を読み込んで、質問のポイントを絞ることによって時間を効率的に使うことができる。

隅から隅まで目を通す必要はない。次の項目に注目すると概略を理解することが出来るだろう。

①受注予定日
極力正確な日付を入力する営業と、なんとなくこの時期にと考えている営業では、受注率からフォーキャストの精度まであらゆる面で差が出る。

②金額
ワーストケースの金額なのか、ベストケースの金額なのかなど、会社として方針を決めておくこと。

③フェーズ
移行判断基準をどれだけ明確にしても、人によってばらつきが出る。マネジメントが商談の中身をレビューして正しいフェーズが入力されていないと感じた場合は、そのつど修正を行い、マネジメントの基準を徹底する。

④競合
単に競合他社がどこかだけではなく、競合に対して優勢か、互角か、劣勢かを把握するように努めること。

⑤商談日数・フェーズ滞留日数
商談日数は商談が作成されてから経過した日数。フェーズ滞留日数は、そのフェーズに入って経過した日数である。新規商談であれば、平均商談日数を大きく過ぎたものについて本当に動いている商談かをチェックするという目的に使える。

しかし、大型商談などは長期化することが多いため、商談日数だけでなくフェーズ滞留日数も確認し、同じフェーズで停滞していなかダブルチェックする。

⑥ネクストステップ
ネクストステップは営業が次に取るアクションだが、次のフェーズにへ進めるために何が必要かという観点で記載する。ネクストステップの記載内容でその営業のレベルが分かる。


■オセロに学ぶ市場戦略「天王山を獲る」

普通の人はオセロをやると勝ったり負けたりを繰り返すが、何度やっても圧倒的な強さで勝つ人がいる。これはその場の思い付きで手を考えているか、勝つためのセオリーを知っているかの差である。

オセロでよく知られる必勝法に「天王山を獲る」というものがある。天王山とはお互いにとって、好手となるマスのことで、先に獲得すると相対的に二手分得することになり、大きく戦況が変わることを言う。

私はこれを自分流に解釈して、市場獲得戦略に当てはめている。

・ビジネススクールなどで教えられている経営理論を軽視せずに勉強する。理論だけで成功するわけではないが、セオリーを知っていて経営判断をする人と、知らないで経営判断する人とでは成功の確率がまるで違う。

・スタートの勢いは大事だが、中長期的に勝負を考える。大企業は過去のしがらみなどによって打てる選択肢がどんどん絞られていくのに対して、小さい者の強みは打てる選択肢が多いことにある。

・自社にとって天王山となる市場や顧客を見逃さず、勝負所であらゆるリソースを投入して獲得する。


■セールスキャパシティを計算する

売り上げ目標の未達の大きな原因の一つにキャパシティ不足がある。営業1人当たり年間1億円の販売が見込める商材であったとしても、営業が10人しかいないのに20億円の売り上げ目標を立てるのは無謀で非現実的だ。

製品やサービスがECサイト経由で売れていくのでない限り、販売量はセールスキャパシティと連動する。B2Bの直販であれば営業の数。代理店経由であれば代理店の営業の人数。

増やせば比例して売り上げが上がるわけではないが、売り上げ目標に対してそもそも現実的なセールスキャパシティを持っているのかを考慮しなければならない。

多くの場合、まずは営業の人員計画からスタートすることになるが、意外と考慮されていないと思うのはランプタイムや目標達成率の設定だ。

経験則になるが、組織全体の達成率が平均80%くらいの水準であれば、営業が無謀な目標と思わず、達成させようという意欲を持てる範囲ではないかと思う。言い換えると、会社が目標とする売り上げの120%のキャパシティを確保すればよい。

また、営業のパフォーマンスもコモディティ型の商材であれば、トップパフォーマーとローパフォーマーの差は大きく開かないが、ソリューション型の商材の場合は平均3倍くらいの差が出ることが多い。言い方を変えれば、優秀な人を1人採用できれば、そこそこの人を3人採用するのと同じということである。

実際には、優秀な人材は良いパフォーマンスを残して長期間活躍する可能性が高いし、結果が出ない人は退職リスクも高くなる。社員が退職して、また一から採用となるとランプタイムはゼロからカウントし直しである。

そのように考えれば、採用な上手な会社とそうでない会社に圧倒的な差がつくことがよくわかるだろう。退職者が多い会社は、辞める人数を上回る利用をしていたとしても、組織としての実際のキャパシティは実質下がっていることもあり得る。


■ビション・ミッション・バリュー

メンバーが一人二人と増えていけば、考え方や価値観は多様化する。自分が一緒に働きたいと思う人を採用すれとはいえ、仕事に対する考え方や人生の目標、価値観も含め、みんなが同じはずはない。

そのような環境で、全員の力を結集するために必要なのは「ビジョン・ミッション・バリュー」だ。

・ビジョン
「目標とする場所」ビジョンは中長期を見据えながらも、外部環境の変化や会社の成長に応じて姿をかえていくものだ。

・ミッション
「なぜそこへ行こうとするのか」人間は誰しも、自分がやることに意義を感じたい。何かに貢献していると実感し、周りに認めてもらいたいという気持ちがある。

・バリュー
「価値基準」ビジョンを達成する方法や過程は1つではない。「なぜその道を選ぶのか」を決めるのがバリューである。

大切なことは、これらの信念と市場へのメッセージ、日常の言動が一貫していなければならないということだ。よく「〇〇〇を通じて豊かな世の中を実現する」といったビジョンを見かけるが、そのような会社でも、明らかに倫理観に欠ける行動が見られたり、売り上げを上げることしか考えていないのではと疑問を感じることがある。

いくら美辞麗句を並べても、実践が伴わなければすぐに顧客や市場は感じ取ってしまう。

逆に、ビジョン・ミッション・バリューの3つが一致していれば、顧客、社員、パートナーとの結びつきは強くなり、それが強固なブランドにつながるだろう。



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私はこれからも需要があるビジネススキルというのは「マーケティング」「コンサルタント」そして「営業」だと思う。

営業のスキルは事業を運営していくなかで欠かせない存在だと認識している。

そして営業職の役割は大きく3つある。

①顧客に信頼されること

②顧客の問題を見つけること

③解決策の提案をすること

これを組織化、仕組化してバリューの最大化を図るのだ。

この営業の人だから商品やサービスを買うという顧客は多く存在する。つまり、営業も含めてその会社や事業の商品やサービスになるということだ。

結局は人と人であり、信頼だ。

ビジネススキルを勉強し、スキルアップすることも大切であるが「人として魅力のある人間」になることが、人に信頼される一流のビジネスマンや起業家になるための条件だと思う。

魅力的なサービスや商品を見つけたら、その裏側までしっかり見ることだ。

そこには必ず魅力的な人たちが関わっているのだから。


私の情報が少なからず皆さんのお役に立てればと思います。

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