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そして、あなたはどう生きるか?前編

我々が直面している21の重要なテーマを取り上げ、正解の見えない今の時代に、どのように思考し行動すべきか問う。

今や全世界からその発言が注目されている、新たなる知の巨人は、ひとりのサピエンスとして何を考え、何を訴えるのか。

すべての現代人必読の21章の前編。

著者[ユヴァル・ノア・ハラリ]
歴史学者、哲学者。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して2002年に博士号を取得。現在エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教える傍ら、2018年のダボス会議での基調講演など、世界中の聴衆に向けて講義や講演も行う。著書「サピエンス全史」「ホモ・デウス」


■先送りにされた「歴史の終わり」

政治家も有権者も、新しいテクノロジーがほとんど理解できていないし、そうしたテクノロジーが持つ危険な可能性を統制することなど、彼らには望むべくもない。

1990年代以降、恐らく他のどんな要因にも増してインターネットは世界を変えてきたが、インターネット革命を主導してきたのは政党よりも技術者だ。

AIの台頭やブロックチェーン革命といった、次のショックに対処する備えは皆無に近い。ブロックチェーンネットワークとビットコインのような暗号通貨が貨幣制度を刷新し、根本的な税制改革が避けられなくなるかもしれない。

例えば、ドルに課税するのは不可能あるいは的外れになりうる。したがって政府は完全に新しい税を考案する必要があるかもしれない。情報に対してドルではなく情報で支払う情報税でも。政治制度は資金が尽きる前に、なんとかその危機に対処できるだろうか。

バイオテクノロジーとIT革命のおかげで、私たちは自分の内側の世界を制御することも、生命を操作したり作り出したりすることもできるようになる。意のままに脳を設計し、寿命を延ばし、考えを抹殺したりする方法を突き止めるだろう。

その結果がどうなるは、誰にもわからない。

バイオテクノロジーとITにおける革命は、技術者と起業家と科学者が実行するが、彼らは自分の決定が持つ政治的意味合いをほとんど自覚していないし、まったく誰の代表でもない。議会や政党は、自ら事に当たることができるだろうか?

現時点では、そうは思えない。技術的破壊は、政治課題リストの上位にさえ入っていない。


■あなたが大人になったときには、仕事がないかもしれない

2050年に雇用市場がどうなっているか、私たちには想像もつかない。だが、機械学習とロボット工学によって、ヨーグルトの製造からヨガの指導まで、ほぼすべての種類の仕事が変化するだろうといことに関しては、みんなの意見がおおむね一致している。

産業革命が始まって以来、機械に一つ仕事が奪われるたびに、新しい仕事が少なくとも一つ誕生し、平均的な生活水準は劇的に上昇してきた。それにもかかわらず、今回は違い、機械学習が本当に現状を根本から覆すだろうと考える、もっともな理由がある。

人間には2種類の能力がある。身体的能力と認知的な能力だ。過去には機械はあくまで身体的な能力の面で人間と競い合い、人間は認知的な能力の面では圧倒的な優位を維持していた。

ところが今や人工知能が、人間の情動の理解を含め、こうした技術のしだいに多くで人間を凌ぎ始めている。人間がいつまでもしっかりと優位を保ち続けられるような、第三の分野を、私は知らない。

人間は一人ひとり独立した存在なので、お互いに接続したり、全員を確実に最新状態に更新したりするのが難しい。それに対してコンピュータは、それぞれが独立した存在ではないので、簡単に統合して単一の柔軟なネットワークにすることができる。

接続性と更新可能性の潜在的な恩恵はあまりにも大きいので、少なくとも一部の職種では、すべての人間をコンピュータに取って代わらせることが理に適っているかもしれない。

人間の運転者をすべてコンピュータに替えれば、交通事故による死傷者の数がおよそ9割減ることが見込まれている。言い換えると、自動運転車に切り替えれば、おそらく毎年100万人の命が救われる。

したがって、人間の仕事を守るためだけに、交通や医療のような分野での自動化を妨げるのは愚行だろう。なにしろ、最終的に守るべきなのは、職ではなく人間なのだから。

余剰になった運転者や医師は、何か他にすることを見つけるしかない。


■新しい仕事?

2050年の雇用市場は人間とAIの競争ではなく協力を特徴とするようになってもおかしくない。警察活動から銀行業まで、さまざまな分野で人間とAIのチームが、人間とAIの両方に優る働きを見せうる。

とはいえ、こうした新しい仕事はみな、一つの問題を抱えている。恐らく、高度な専門技術や知識が求められ、したがって、非熟練労働者の失業問題を解決できないのだ。

人間のために新しい仕事を創出するよりも、実際にその仕事に就かせるために人間を訓練する方が難しいという結果になりかねない。

人間のための新しい仕事が出てきても、新しい「無用者」階級の増大が起こるかもしれない。多くの人は、19世紀の荷馬車の御者(彼らはタクシーの運転手に鞍替えした)ではなく、19世紀の馬(しだいに雇用市場から排除された)と同じ運命をたどる可能性がある。

そのうえ、残っている人間の仕事も、将来の自動化の脅威をいつまでも免れる保証はない。なぜなら、機械学習とロボット工学は進歩し続けるからだ。

スーパーマーケットのレジ係の職を失った40歳の人が超人的な努力をしてドローン操縦士になれたとしても、10年後には、再び新たな技能を身につけなくてはならないかもしれない。

その頃にはドローンの操縦も自動化されている可能性があるからだ。

したがって、新しい仕事を創出し、人間を再訓練してその仕事に就かせるのは、一度限りの取り組みでは済まされない。

AI革命は、それが過ぎれば雇用市場があっさりと新たな均衡状態に落ち着くような、転換期に当たる単一の出来事ではない。むしろ、しだいに大きな混乱が起こる連鎖反応のようなものになるだろう。

2050年には「終身雇用」という考え方ばかりではなく「一生の仕事」という考え方さえ。時代遅れに思えるかもしれない。


■搾取から存在意義の喪失へ

仕事がなくなるのを完全に防ぐというのは、魅力的な戦略ではないし、おそらく達成不可能だろう。なぜならそれは、AIとロボット工学が持つ莫大な好ましい可能性を捨てることを意味するからだ。

人間は決して経済的な存在意義を喪失しえない、なぜならたとえ人間は職場でAIに太刀打ちできなくても、消費者として常に必要とされるだろうから、と主張する向きもあるかもしれない。

とはいえ、将来の経済が、私たちを消費者としてさえ必要とするかどうかは、およそ定かではない。機械とコンピュータがあれば事足りる可能性がある。

理論上は、こんな経済もありうるだろう。鉱山企業が鉄を製造してロボット工学企業に売り、ロボット工学企業がロボットを製造して鉱山企業に売り、鉱山企業はさらに多くの鉄を採掘し、それを使ってさらに多くのロボットが製造され......という具合だ。

こうした企業は銀河の果てまで成長・拡大しうる。しかも、ロボットとコンピュータさえあればいい。人間に製品を買ってもらう必要さえないのだ。

ではもし人間が生産者としても必要とされなくなったなら、何が人間を守って、身体的に生き延びたり、心理的な健康を保ったりできるようにしてくれるのか?

私たちは、本格的な危機が起こる前に、その答えを探し始めなければならない。ぐずぐずしていると、手遅れになる。前例のない21世紀の技術的破壊や経済的混乱に対処するためには、新しい社会モデルと経済モデルをなるべく早急に開発する必要がある。

そうしたモデルは、仕事ではなく人間を守るという原理に導かれたものであるべきだ。退屈で骨が折れ、存続させる価値のない仕事は多い。レジ係になることを一生の夢にしている人などいない。

私たちは人々の基本的な必要を満たし、社会的地位と自尊心を守ることに重点的に取り組むべきだ。


■アルゴリズムの言うとおりにしろ

個人の感情と自由選択に対する自由主義の信頼は、自然なものでもあまり古いものでもない。権限は人間の心ではなく神の法に由来し、したがって、私たちは人間の自由よりもむしろ神の言葉を神聖視するべきだ、と人々は何千年にもわたって信じてきた。

権限の源泉が天上の神々から生身の人間に移ったのは、ようやく過去数世紀のことだ。

間もなく、権限は再び移るかもしれない。

人間からアルゴリズムへと。

神の権限が宗教的な神話によって正当化され、人間の権限は自由主義の物語によって正当化されていた。それとちょうど同じで、来るべきテクノロジー革命はビッグデータアルゴリズムの権限を確立し、同時に個人の自由という考えそのものを切り崩すかもしれない。

私たちは今、巨大な革命のさなかにあるからだ。一方では生物科学者たちが人体の謎(それもとくに、脳と人間の感情の謎)を解き明かしつつある。同時にコンピュータ科学者たちが、前代未聞のデータ処理能力を私たちに与えてくれつつある。

バイオテクノロジー革命が情報テクノロジー革命と融合したときには、私の感情を私よりもはるかにうまくモニターして理解できるビッグデータアルゴリズムが誕生する。

その暁には、権限は恐らく人間からコンピュータへと移る。これまではアクセス不能だった私の内なる領域を理解し、操作する組織や企業や政府機関に日々出くわしているうちに、自由意志という私の幻想は崩れ去るだろう。

それを簡潔に表すなら、

生物科学的知識×演算能力×データ=人間をハッキングする能力


■データを制する者が未来を制する

グローバル化は人類の多くの階層のためになってきたが、社会と社会の間でも、社会の内部でも、不平等が増している兆候が見られる。一部の集団がグローバル化の成果を次第に独占していく一方で、何十億人の人々が後に取り残されている。

すでに今日、1%の最富裕層が世界の富の半分を所有している。富裕者の上位100人の資産を合わせると、貧困層の下位40億人の資産合計を上回るのだから、なおさら驚かされる。

事態はこれより悪くなりうる。AIが普及すれば、ほとんどの人の経済価値と政治権力が消滅しかねない。同時に、バイオテクノロジーが進歩すれば、経済的な不平等が生物学的な不平等に反映されることになるかもしれない。

超富裕層はついに、自分の莫大な富を使って本当にやりがいのあることができるようになる。これまで彼らが買えるものと言えば、ステータスシンボルがせいぜいだったが、間もなく彼らは生命そのものを買えるようになるかもしれない。

寿命を延ばしたり、身体的能力や認知能力をアップグレードしたりするための治療や処置には多額のお金がかかるようであれば、人類は生物学的カーストに分かれかねない。

歴史を通して、金持ちや貴族はいつも、自分たちは他の人々よりも優れた技能を持っていると考えてきた。だから彼らは主導権を握っているというわけだ。だが私たちの知る限りでは、彼らの技能の方が優れていたというのは真実ではない。

平均的な侯爵は、平均的な農民よりも有能ではなかった。金持ちや貴族が優位に立てたのは、不当な法律的差別や経済的差別があったからにすぎない。

ところが2100年までには、金持ちはスラム街の住人よりも才能や創造性や知能の面で本当に優位に立っているかもしれない。能力に関して、富める人と貧しい人の間にいったん本当の溝ができてしまえば、それを埋めることは不可能に近くなる。

もし、富める人が優れた能力を使ってさらに豊かになり、多くのお金を使えば能力を強化した体や脳を買えるなら、その溝は時間とともに拡がるばかりだろう。

2100年までには、1%の最富裕層は、世界の富の大半ばかりでなく、世界の美と健康の大半をも手に入れているかもしれない。

私は将来の人類について述べる時に、しばしば「私たち」という一人称複数の代名詞を使う。「私たち」の問題について「私たち」はどうするべきかについて語る。

だが「私たち」など存在しないかもしれない。「私たち」の抱える問題の一つは、異なる人間の集団がそれぞれ完全に異なる将来を迎えることになるかもしれない。

世界には、自分の子供たちにコンピュータプログラムを書くことを教えるべき地域もあれば、素早く銃を抜いて狙いたがわず撃つことを教えたほうがいい地域も出てくる可能性がある。


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この本の内容を簡単にまとめると、バイオテクノロジーとIT革命が進めばAIとアルゴリズムが、私たちを支配する。仕事はAIやロボットの方がコストも効率もよく、利益が上がるのなら当たり前のように人はいらなくなる。

新しい仕事が生まれてもすぐにAIとロボットが対応する。

また、私たちの自由意志だと思っていたものが、ただの生化学的な信号をやり取りしている何十億ものニューロンの所産であり、最適化されたアルゴリズムを使えば自由や創造の選択さえ人は選ぶ必要がなくなる。

自分より自分を知っているアルゴリズムに任せればいい。

格差はさらに広がり、将来的に一部の人を除き人々は消費者としての価値も失う。労働力を搾取されていた時代から、存在意義のない時代になる。

そして、テクノロジーの恩恵を受けられる一部の人は、身体的能力、思考能力、寿命など人間としてのステータスをアップグレードしていく。

遠い未来の話ではない。30年ぐらい先の話なのだ。

私はこれについて単純に人間の「進化」なのではと考える。これは種の分岐であり、サルが人間になったように、人間と「新人類」に分かれるのだと。

また、この中で既存の人間にカテゴライズされている人たちは徐々に自然淘汰されていく。

恐ろしい時代だが、今でさえも様々な格差が存在し、飢える人はもっと飢え、富める人はさらに裕福になっている。

なにが両者を分けるのかと言えば、様々な要因があると思うが、一番はやはり「情報の差」が原因だと考える。

「情報の差が様々な格差を生む」という、情報を知らない人達は、自らが格差を広げている一因を担ってしまっているのが現状だ。

何も知らないのが悪いわけじゃないが、何も知ろうとしない人はいるし、何も教えようとしない人もいる、そしてこれらの情報を活用できない人達はこれからのテクノロジー革命という環境の中では淘汰されていく存在になりうる。

私はこんな世界が良いと思わない、世界を変えることはできないが、誰かの気づきの一端を担えればと思う。

私の情報が少なからず皆さんのお役に立てればと思います。

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