菰田将司

文筆業/富野由悠季作品研究所開設準備室第一室長。専門学校の非常勤講師もしてました。専門は中国近代史とフェラーリ。当ページではオリジナル文章の他、講演の記録を上げています。

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文筆業/富野由悠季作品研究所開設準備室第一室長。専門学校の非常勤講師もしてました。専門は中国近代史とフェラーリ。当ページではオリジナル文章の他、講演の記録を上げています。

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最近の記事

『シン』×『-1.0』その映像的差異

『シン』と真逆の『-1.0』 金曜ロードショーで『ゴジラ-1.0』が放送されます。テレビ初放送が注目され、宣伝にこれだけ力を入れてやっているのは近年珍しいように思います。 それだけ『-1.0』が話題作ということでしょう。アカデミー賞での視覚効果賞をアジア映画として初受賞、興行収入76憶円、アメリカでも5600万ドルという大ヒット作となり、庵野秀明総監督の『シン・ゴジラ』(2016)の82.5憶円に並ぶものとなりました。 これだけのヒットを飛ばした理由は様々あると思いますし

    • つかめプライド

      監督は仕草に配慮している 富野由悠季監督のご自宅に取材にお伺いした際、上井草駅前に建てられているガンダム像のところで同行メンバーと待ち合わせしていました。その時、監督と対談することになっていた彫刻家の佐藤正和重孝さんがこうおっしゃっていました。 この話を聞いて、私が思い出したのが、先日まで横浜山下ふ頭に建てられていた「動くガンダム」のことでした。 2020年12月から24年3月まで、のべ175万人以上の観客を集めたGUNDAM FACOTRY YOKOHAMAの「動くガン

      • ヒーローロボット70年の進化論 ~ヒーローたちの肖像~

        序 制作者・スポンサーそして子供の間のヒーローロボット TVアニメ『鉄腕アトム』(63年)放送開始と同年、巨大ロボットが活躍するアニメ『鉄人28号』が始まりました。日本のTVアニメは、当初から巨大ロボットアニメと軌を一にしていたのです。 しかし、アニメや特撮などのTV番組に登場するヒーローロボットは、スポンサーからのリクエストに応えなければならない宿命を背負わされていました。「30分間のおもちゃCM」と、当時これらの番組が評されていたことからもそれが窺えます。 その評価は

        • 企画展「グッズでめぐるテレビアニメと特撮の世界 収蔵品が語り継ぐコレクターたちの記憶」 基調エッセイ「テレビアニメとグッズ」

          はじめに拡大し続けるコンテンツ市場 小さい頃にあなたが夢中になったおもちゃは何でしょう?怪獣ソフビ人形?テレビゲーム?プラモデル?それともカードゲーム? 世代によって様々な答えがあるでしょうが、そこに間違いなく大きな影響を及ぼしているのがテレビ番組です。テレビで放送されるアニメや特撮を見て、おもちゃ店に入ると目に飛び込んでくるのがテレビで見たヒーローやロボット、怪獣の関連商品でした。私たちはそれに夢中になった。 今やコンテンツマーケットは国内約10.6兆円規模の巨大市場と

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        • Gレコ
          10本

        記事

          あなたはオンナでありすぎたわ

          私はこれまでにもガンダムのTV版と劇場版を対比し、その描き方の違いから「富野監督がどういう演出意図をもって描き方を改変してきたか」を何度か文章にしてきました。 今回もその1つとして『機動戦士Zガンダム』のTV版と劇場版におけるエマ・シーンの描き方の違いに着目して論じてみたいと思います。 しかしながら『機動戦士Zガンダム』でのエマ・シーンとレコア・ロンドの対比を見るたびに私は「富野監督の女性観察の視線と描き方はスゲェなあ」といつも感心してしまうんですよね(相変わらずの監督礼賛

          あなたはオンナでありすぎたわ

          仮面ライダーBLACK SUNからみる「舞台装置としての世界観」

          今秋にAmazonPrimeVideoで公開されて話題になった『仮面ライダーBLACK SUN』。 私も早速観ました。いやあ、面白かった(笑)。 ところで私は以前「80年代は特撮冬の時代」と論じたことがあります。それは60年代以降続いてきた日本特撮ヒーローの二大巨頭『ウルトラマン』『仮面ライダー』が80年代には全く作られず、戦隊ヒーローとメタルヒーロー路線に移ったことを指してこう表現しました。 そのことについて書くと長くなりそうなので今回は割愛しますが、その80年代に一際

          仮面ライダーBLACK SUNからみる「舞台装置としての世界観」

          続・乃木坂46にみる「ブランド戦略」

          私は過去3回にわたって「乃木坂46にみる『ブランド戦略』」として、乃木坂46が育ててきたブランドイメージというものが企業にとってどれだけ重要になっているのかを語ってきましたが、実はあんまりリード数が少ない(笑)。やっぱり「菰田さんはガンダムの人」なのかなぁ苦笑。 でもまったく気にしてませんよ。私は書きたい文章を書くのです! 育て方が上手くなっている で改めて4回目になる乃木坂46論なのですが、私は第3回で「ブランドの継承」について述べました(https://note.c

          続・乃木坂46にみる「ブランド戦略」

          守るべきものが無くて、戦ってはいけないのか?

          急に寒くなってきましたね。思わずハマーン様のこのセリフを口に出してしまっています。 ……ところで、このセリフの後に続く言葉を覚えてますでしょうか(と強引に今回のテーマに引っ張り込もうとしてみたり)。  と続くのですが、そこからは地球から遠く離れたアクシズであとどれくらい雌伏の時間を過ごさねばならないのかという苦渋と地球圏への望郷の念がにじみ出ています(結果的には4年くらいで帰って来るんですけどね)。 さて、ハマーンのセリフを紹介したついでにもう一つ、地球圏に帰還した後の彼

          守るべきものが無くて、戦ってはいけないのか?

          世界は四角くないんだから

          「東京に住んでいる人は、人間関係の相対化ができている」と北海道出身の人から言われたことがあります。 私自身も千葉県の地方都市出身なので、「地方」と「都会」の人間関係の違いをそこそこ感じられていたのですが、それでも「東京人」のドライさ、人間同士の距離感の取り方について「相対化」と短く表現されたことには驚きました。 この場合の「相対化」は言い換えれば、「そっちはそっち、こっちはこっち。こっちもあなたに踏み込んでいかないから、そっちも踏み込んでこないでね」ということ。肩がぶつか

          世界は四角くないんだから

          これが若さか

          以前『ランバ・ラルは35歳』という文章を書いたのですが、いまだに読者が多く、ありがたい限りです(しかしながら文頭に年齢が自分と一緒って書いてあるからもう6年も前の文章になるのよね……そりゃ年も取りますよ)。 その文章の中で「ガンダムが制作された当時、今から40年以上前では35歳とは功成り名を遂げた人間だった」と書きました。 その頃の人は35歳といえばいっぱしの大人であって、貫禄を蓄えた、社会的立場もある人間であったと。 で今は?と結論づけたわけです。 ところで、日本の政

          これが若さか

          「想像なさい!」……「富野由悠季の世界」展に捧げて

          先日、やっと「富野由悠季の世界」展に行くことができました。いやぁ、行けるまで長かった……一時は本当に「自分は行くことができない運命なのでは」と思ったほどでした。その話をするのは本論とは外れてしまいますので割愛しますが、まさに念願かなってという感じでした。 そして今回はそのレポートでもしようかと思ったのですが、他にも多くの方が様々語られていらっしゃいますし、コロナの影響でまだ会期も残っておりますので、そこは多くを語るべきではないでしょう。 そこで、今回は見てきた方にも、これか

          「想像なさい!」……「富野由悠季の世界」展に捧げて

          乃木坂46にみる「ブランド戦略」3

           「仲悪いのか・仲がいいのかと聞かれると困ってしまう。良いと言うと「嘘でしょ」と思われるし、だからといって悪くないのに悪いとは言えない」高山一実(乃木坂46)  この発言は乃木坂46というグループの性格を端的に表していると思います。良い/悪いという返答によってどういう影響が出るのか、そういうことを気にする人が集まっている。  私はこれまで2度、乃木坂46のブランド論として文章を書いてきました。今回はその第3弾として、ブランドの「継承と終幕」について論じたいと思います。

          乃木坂46にみる「ブランド戦略」3

          巨大な敵をうてよ

          「もうね、巨大化するのはシシ神でまいったんですよね。結局つきつめていくとあれは原爆のイメージしかないんですよ。だから、今回はそうじゃなくて、実際、女の子にとってリアリティのある世界だけにしたかったっていう」(『風の帰る場所』より)  これは宮崎駿が『千と千尋の神隠し』について語った言葉です。  最近の宮崎監督の作品って、なんであんなにラストがグダグダなんでしょうね。  宮崎作品のラストだけを取り出してみると、ある時まではラストをしっかり用意しているのが分かります。  巨

          巨大な敵をうてよ

          奇跡は起きます起こしてみせます

           宮崎駿と富野由悠季という稀代のアニメ演出家が、80年代に生んだ映画『風の谷のナウシカ』(84年)と『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(88年)に共通する点はエンディングにあります。  つまり、両者とも安直な「奇跡」によって終幕を迎えるということです。 サイコフレームのおかげでそれっぽく見えるけど、あの隕石の質量を押し返すなんておかしいから  アニメ評論家の藤津亮太さんも「『逆襲のシャア』は奇跡で終わらせるしか方法が無かった」と話されていましたが、『ナウシカ』も同様に、

          奇跡は起きます起こしてみせます

          宮崎のおいしい「水」

           世界的な新型コロナウィルス流行の中、うれしい話題が一つ飛び込んで来ました。  NHKでTVアニメ『未来少年コナン』が放送される、ということです。  本放送が78年ですから、40年以上も前に作られたアニメなのですが、とにかく面白い。先日、岡田斗司夫氏も「全ての回が外しなし」と言われていましたが、まさにその通り。  私は「宮崎作品で見るべきは?」と問われたら間違いなく『コナン』と『カリ城』を挙げます(←老害発言)。  『コナン』は巨匠宮崎駿が唯一、全話を演出したTVアニメ。

          宮崎のおいしい「水」

          僕たちはヒーローだった

           HERO 俺を讃える声や 喝采なんて 欲しくはないさ  HERO だから 人知れず 悪と戦う  アニメ『ワンパンマン』の主題歌の一節です。  ヒーローを取り上げた映像作品は数多くありますが、近年そこで描かれている姿が、これまで描かれてきた「ヒーロー」とは変わってきているなあ、という感覚があります。  例えば『僕らのヒーローアカデミア』では、ヒーローは「個性」を持った能力者であり、それを用いて敵と戦う、という事になっています。  私が注目するのは「ヒーローとは『能力を持

          僕たちはヒーローだった