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ほとけさまのおしえ「鐘を鳴らしながら思うこと」

 どこのお寺でもそうだと思いますが、自坊にも「鐘楼」があり毎日夕方に鳴らしています。

 その鐘を鳴らしながら、目を閉じて音色が周りの様々な音に「溶け込んでいく」様子を聴くのが好きなのです。

 鐘の音が小さくなると、小川の流れ、鳥のさえずり、木々のざわめき、遠くの車が走る音、カラスの鳴き声、虫の音など様々な声や音が「あらゆる方向」から際立って聞こえてきます。

 それをただじっと聴いている「ひととき」はとても心癒されます。

 話は変わって、阿弥陀如来様の両脇に菩薩様がおられることがあります。

 「弥陀三尊」とか「三尊さん」と呼ばれたりしますが、脇にいるのは「観音菩薩様」と「勢至菩薩様」です。

 それぞれ「慈悲と智慧」の菩薩様として、阿弥陀如来様の補助をしながら凡夫の衆生を「救おう」とされているのです。

 観音菩薩様は正式には「観世音菩薩」と言います。

 つまり「世の中の音を観る」菩薩様なのです。

 なのでいつも耳を澄まして、「あらゆる小さな音」を聴いているのです。

 大声で嘆き悲しむ声もあれば、そうでない人もたくさんおられます。

 人知れず静かに「涙を流し」たり、声を潜めながら苦しみを「噛み締めている」人もいるでしょう。

 そういう人の声も洩らさずに聴こうとされている。

 まさに「音で世界を観ている」わけです。

 というわけで、どこからともなく鐘の音が聞こえてきたら、鐘の音と共に聞こえてくる「様々な音」に耳を澄ましてみると、世の中のことがより「はっきり」と見えてくるのかもしれません。


☆今日の一句☆

 様々な
   音が織りなす
        世の姿

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