ほとけさまのおしえ「僕は死にましぇん!」
ちょっと前のトレンディドラマで武田鉄矢さんがダンプの前に飛び出して「僕は死にましぇん!」と言いながらプロポーズをしておりました。
そんなことを言うと、「住職さんは四半世紀前まではちょっと前なんですね~?」と言われてしまいそうです。
確かに「死なない人」はどことなく逞しそうで、頼りがいがありそうです。
そんな人に魅力を感じる方も多くおられるでしょう。
そして死を未来に追いやり、つややかに生きていることに憧れて日々努力を重ねている方もおられると思います。
でもちょっと考えてみれば、「死なないなどということはない」ということは自明の理です。
確かに「僕は死なない」と思っている間は生きているわけですし、死んでしまえば「僕は死なない」と思うこともできないわけですから、間違っているとも言えません。
でも死について考えないことは、実は欲望を「肥大化」させるのではないかと思います。
世界中の様々な指導者たちは何十年も任期を伸ばし、「我が世の春」が永遠に続くかのごとく振る舞っております。
そしてそのためには国民や他の人の死には目を瞑っているように感じます。
そしてどれだけ領土と財を手に入れようと、それはいずれ我が命と共に「必ず手放す」ことになります。
仏教とは「ちょっと考えてみればすぐに分かる」のに、いつもは「ついつい忘れている」ことを、只々「思い起こさせてくれる」教えなのかもしれません。
☆今日の一句☆
諦めて
明らかに観る
我が命