仏教に学ぶ生き方、考え方「どうして同じお経や偈文を繰り返し読むのか?」
お坊さんをしていると、「どうして毎回同じお経を勤めるのですか?」とか「同じお経を繰り返して飽きたりしないんですか?」と言うような質問を受けることがあります。
確かにお通夜、お葬式、中陰法要、年回法要と名前や場所は違えども、ほぼ「同じ」お経や偈文を唱えます。
同じことの繰り返しならば、もう年回法要は「やめとこう」とか、中陰法要は「四十九日だけ」にしようと考えても仕方がありません。
でもちょっと待ってください。
本当に同じことの繰り返しなのでしょうか?
実は同じように見えて、回数を重ねるごとに「変わってくる」ものがあります。
それは皆さんの「心持ち」です。
お通夜やお葬式では悲しみや後悔の念が渦巻いていても、徐々に癒やされていき、「感謝」の気持ちへと変化していくことに気づくはずです。
つまり同じことをしながらも、心は絶えず「変化」を続けているのです。
これは「修行」についても言えます。
毎日同じように厳しい修行や座禅をしていても徐々に気持ちが「集中」したり、「今この時」を意識できるようになったりします。
そのように考えると、皆さんも毎日同じようなことの「繰り返し」をしていることが多くあると思います。
「同じ電車」で通勤通学し、「同じ会社や学校」に通い、「同じ仕事」を続けたり、ひたすら繰り返したりしていることも多いでしょう。
外から見ると同じことの繰り返しでもでも「心の中」はどうでしょう?
きっと「毎日」違っているはずです。
そして仏教は、心の中の「変化」を見つめていく教えなのです。
☆今日の一句☆
同じこと
心の中は
違うこと