毒親の母と一卵性親子関係、終了の瞬間。
母が家を出る前に、何度か知り合いの家族の話をしていたことがあります。
「○○さんとこな、子どもが“ボクのために離婚しないで!”って言うんだって。お母さん、そんな子どもイヤやなぁ。自分のために親に離婚しないでとか、我慢して一緒にいてくれとかなー、気持ちわりいわー」
一卵性親子だったので、当然、私は母がその話をしていた時に、
「うんうん、ほんとやなー。そんな子どもイヤやなー」
と、相づちをうっていました。
そして、私が高3の時に、母は「父に我慢できない」と言って家を出て行ったのです。
ちょっと待って? まさかとは思うけど、あの話は自分が出て行きやすいための伏線だった?
だって、あの話の後(1回ではなく何回もしてた)母が出て行くことに私はNOとは言えませんもんね。
とはいえ、私も子どもの立場として、自分のために親に離婚しないで欲しいとは思いませんし、母が出て行きたいというならしょうがないね、と思います。それは本当にそう思います。
そりゃーまあ、これまで仲のいい家族だと思ってたのに…違ってたんだ、というショックはありますけども、無理矢理繕って一緒にいてもしょうがないよなー、と。
ただ、出て行くタイミングはもうちょっと考えたらどうでしょうか? とは思いました。
今やすっかり毒母認定してますけど、子どもの頃は、母のことを「スゴイお母さん」「完璧なお母さん」だと思っていたのです。
今はもう見るも無惨な感じになってますが、昔はもうちょっとまともだったし、結構本質を突くことをズバっと言うので「母の言うことは気持ちがいいし、かっこいい!」と思ってたんですね。
まわりの人間関係や世間のニュースについても「でも本当のところはこうなんや」とか「こういう見方もあるよ」とか。見えているとこだけ、目の前の情報だけを鵜呑みにするなと、裏読み(?)の大切さを教えてくれたのは母です。
まあ、言い方を変えると素直じゃなくて、とてもひねくれている、とも言えますけど。
私が中学生ぐらいの時のこと。母が、
「まさりちゃん、やっぱり人って時々おかしなことを言ったり、間違えたりすることもあるよな。でも、他人はそんなこと教えてくれん。陰で、あの人はおかしいって言うだけや。だから、もし私が間違えてる時は、まさりちゃんが教えて。私に本当のことを言ってくれる人は、あんたしかおらんけんな」
と、言ってきたのです。
何を思っていきなりそんなこと言ってきたのかわかりませんが、その時に、私も母から信頼されているというか、一人前として認めてもらえたような気がしてすごく嬉しかったんですよね。そして、自分のことを客観的に見ようとしている母をやっぱりスゴい人やなーと思ったのです。
その後、私は大学進学で上京し、弟も就職してから、母は約束通り(?)家を出て行きました。
私が社会人になってからの話ですが、母が親戚の人たちと少し関係がよくない時期がありまして、しきりに「あの人の言うことはおかしい!」と母が文句を言うのです。でも、私からすると、母の方にも非があるというか、原因があるんじゃないかという風に思えました。
その時、中学生の時に言われた言葉を思い出したんです。
「私が間違えた時はあんたが教えてな」
…それって、今かな?
今だよね、多分。
自分の親に向かって「あなたが間違えてる」っていうのはとても勇気のいることです。しかも、それまでは「完璧」だと思っていた母に「あなたが間違えてる」と言わないといけないのです。
言いたくない。
怖い。
でも、私は母に信頼されているんだ。
私が言わないと。
私が違う意見を言ったからといって、母が完全に意見を変えなくてもいい、「え? あんたがそういうならそういう見方もあるんかな? 私にも間違ってるところがあるんかな?」と少しでも思ってくれればいい。
よし、がんばって言おう。
そしてドキドキしながら、母に「私はあなたの意見に賛同できない。あなたにも悪いところがあるのではないか」と生まれて初めて指摘しました。
怖かったです。
だって、それまで母の意見=私の意見、で完全に一致してましたから。
でも、中学生の時に「私が間違えた時はあんたが教えてな」と言ってくれたことを母も覚えていてくれたら、場合によっては「ああ、そうやったね。言いにくいことを言ってくれてありがとう」なんて感謝されることだってあるかもしれない。よし、がんばろう。
でも甘かったです。
母は私が話していると、みるみる険しい表情になり、吐き捨てるように言いました。
「あんたな…東京に行ってから、ほんとに心の冷たいイヤな人間になってしまったよなぁ」
!!!!!!!
…ええーーーーー! ちょ、ちょっと待って! 話が違うんですけど(・∀・)
「私が間違えてる時はあんたが教えて」とか言ってたのは誰でしたっけ?
え? 私、騙されてた? なんで? あの時の言葉は嘘だった? 返事があまりに想定外すぎて意味わかんなーーーい!!
言葉を失うとはこのことか。
・・・・・・。
私の勇気を振り絞った進言を受けて
「なるほどな、あんたはそう思うんやな、でも私はやっぱりこう思うよ」
と、言ってくれるなら納得できます。でも、意見スルーして、いきなりまさかの人格否定きた! これは、なかなかにショックでした。
そうか、私は母に信頼されて好かれていると思っていたけど、それは「母の意見に完全に従っている上で」っていう前提条件があったんだ。
「私の話に100%うなずく“まさり”は好き」
「私に否定的なことを言う“まさり”は嫌い」
そういうことだったのか。
それまでもちょっとずつ抱いていた母に対する違和感が、この一言でハッキリしたのです。一卵性親子終了のお知らせでした。
それからまたしばらくしてからの話ですが、どういう流れでそうなったのか忘れましたけど、子どものいる方から、
「まさりちゃんは、もし子どもを産んだら、子どもを育てる上での方針とか、子育てで気をつけようと思ってることある?」
と、聞かれたので私は、
「子どもは親の思った通りにならない、ってことですかねー?」
と、答えると、その人は、
「それがわかってるなら大丈夫だよ」
と、言ってくれました。
私は母から受けた仕打ち(?)のおかげで、「条件つきで子どもを肯定するような親」には絶対なりたくない、と思っていました。
自分の考えと違うからといって否定しない、自分の思った通りにならなくても否定しない。小さい頃もそうですが、とくに大人になってくれば親とは違う世界が広がるし、人間関係も変わってきます。当然、考え方だって親とは変わってくるでしょう。その時に、自分の意に沿わないからといって、
「あんた…ほんとに心の冷たいイヤな人間になってしまったよなぁ」
と、言うような親にはなりたくない。
なーんて、偉そうなこと書いてますけど、実際自分の子育てが始まると「子どもを否定しない」っていうことはそんなに簡単なことではないということを思い知らされます。
実際、長男アキラは、これまた「100%親の言うこと聞きません」の塊みたいな子どもだったので(^_^;) あーあ。試練って生きてる間中続くんだな、って。
でも、子どもを否定してはいけないと教えてくれたという意味では…相当なショック療法ではあったけど、母には感謝しないといけないかもしれません。
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