
「浅草キッド」
遅ればせながら、Netflixの「浅草キッド」を見ました。
素晴らしかった。
否、素敵だった。
無論、僕は芸人さんではありません。
ただ、仕事柄、至近距離からその世界を見てきました。
そして、他の世界にはない特別な煌めきを何度も目にしてきました。
果てしなく眩しく、果てしなく寂しく、最後はやっぱり優しい。
一瞬だけ、目を疑うほどに美しく咲くバラの花。
そんなイメージを僕は持っています。作中には、それが散りばめられていました。
ディズニーランドの隠れミッキーよろしく、どこがどうなんてことを綴るのは無粋の極み。見とれているうちに、2時間が経っていました。
実在の人物をモチーフにした作品。しかも戦国時代などではなく、数十年前の世界。今と完全に地続きです。
なので、設定や物語の流れに「そこは違うだろ」「分かってねぇなぁ」というような声もインターネットに散見されます。
ときに、僕は日々インタビュー原稿を書いています。
「中西さん、本人のありのままの言葉をありがとうございます」なんてコメントをSNSでもらったりもします。
好意的に受け止めていただくこと。書いたもので楽しんでくださること。これはありがたいばかりです。
ただ、当然「ありのままの言葉」のわけがない。
取材対象のエッセンスが一番強く感じられるようプロの技術で調理し、料理としてお客さんに出しています。
そして、先述したように僕はこの作品を素敵だと思いました。
あの花の匂いがした時点で素敵だし、その花が咲く世界がいかに素敵なのか。どちらの意味でも素敵だと思いました。
実在の人物をモチーフにしているが、記録映画ではない。
記録映画でも、結局は何年にも渡って撮影したものを2時間ほどに編集する。全てをありのままに届けているわけではない。
要は、受け手が何を抽出するのか。
結局はそこであり、この作品は特にその要素が強いものだと思いました。
アラ探しより、バラ探し。。
ドキュメンタリーじゃねぇんだよ、バカヤロー!
本場と味が違う?バカヤロー、テメェの舌とセンスが足りねぇんだよ!
鼻もきかない犬が探偵面してんじゃねぇぞ、コノヤロー!
生意気なこと綴るなって、うるせぇんだよ!何者だって?
芸能記者だよ、バカヤロー。
芸能記者では締まりません。
多角的に芸人さんの凄さを味わう47歳。