Time
時間は、ずれていく。時間は巻き戻せない。
「雨が降ったね。」
「雨が降ったよ。」
生乾きの丸首Tシャツは白。半乾きの色落ちしたキャミソールはブラッドオレンジ。猫1匹分のベランダの内側、細いハンガーに揺れる。
夜通し働いた僕は倒れ込み、夜中まで働いた君は朝の顔。汗ばむ背中と、顎にしたたる滴の光。
「雨が降ったね。」
「雨が降ったよ。」
それが最期の会話。冷めていく体温の君と、冷めきった体温の君。きっと同じ人じゃないと、言い聞かせる僕は僕のまま。
ずっと2人で押してきた時計の針。1人では上手く押せなくて。
時間は、ずれていたの?時間は巻き戻せるの?
「雨が降ったよ。」
「雨が降ったね。」
今のところサポートは考えていませんが、もしあった場合は、次の出版等、創作資金といったところでしょうか、、、