#41 『点』をつなぐ:春分の日に思う
1. 今日は春分の日
今日は二十四節気の「春分」。"3月18日(金)の彼岸入りー3月24日(木)の彼岸明け"、いわゆる「春彼岸」の中日にあたります。
祝日の今日、お墓参りをする方もあれば、墓参りは果たせなくても、故人を偲び、思いを馳せる方もいらっしゃることでしょう。
「昼と夜の長さが等しい日」であり、「暑さ寒さも彼岸まで」ー東京でも昨日、靖国神社の桜の開花が発表されました。平年より4日早く、昨年より6日遅い開花発表です。これからは、日一日と春の足音を実感していくことになると思います。
「1月はイク」「2月はニゲル」「3月はサル」とばかりに、この3ケ月は、時の過ぎるのが速く感じますが、気がついてみると、冬至から6か月が経ち、日の出は1時間以上早く、日照時間も2時間以上長くなりました。
2. 「彼岸にいる人」を想う
(1)カムカムエヴリバディ
「3人のヒロインが織りなす100年のストーリー」ー”カムカムエヴリバディーSINCE1925-":先週は第20週(1993年-1994年:第93回-97回)、100年のストーリーも、いよいよ佳境に入りました。
3月18日(第97回)の放送では、1994年8月15日(終戦記念日)の設定のもと、るい(深津絵里)の前に、会うこともなく死別した若き日の稔(松村北斗)が現れ、ひなた(川栄李奈)の前には、英語会話の平川唯一先生(さだまさし)が現れます。(敬称略)
勿論、空想の世界の中ですが、”1994年8月15日”に、戦死者の50回忌の法要の意味合いが込められています。
≪稔の言葉≫
”どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも自由に聴ける。自由に演奏できる。るい、お前はそんな世界を生きとるよ”
~BGMで、ルイ・アームストロングの”On the Sunny Side of the Street"が流れます。
≪平川唯一先生の言葉≫
"あのころの弱り切った日本を元気づけたかった。ラジオを通して 英語を通して 明るく楽しい暮らしを取り戻して欲しかった。そう思いましてね。
(中略)・・・「証城寺の狸囃子」のメロディーに乗せた英語の歌「Come,come,everybody」(平川唯一作詞)が流れる”
番組では、終戦の玉音放送の1時間後に、平川唯一氏が世界に向けて読み上げた詔書の英語訳も、当時の録音が流されました。
るいは父稔から、ひなたは平川唯一氏から ー 「彼岸にいる2人から」、それぞれが、確かなメッセージを受け取りました。
先週まで、"100年のストーリー"の70年が描かれましたが、残り3週間(15回)で、20余年のストーリーが、どのように紡がれていくのか、点と点がどうつながっていくのか、益々関心が膨らみます。
(2)早逝した田中君のこと
亡くなった今も、当時の声で語り掛けてくれる「心友」に、29歳で早逝した高校時代の友人、田中俊正君がいます。
私にとって大きな転機となった高校2年時の親友ですが、いまでも、あの当時の面影そのままに、語りかけてきます。
春分の日の今日、彼との思い出に支えられてきた日々に思いを致しました。
(3)「次工程はお客様」ー 私の背骨となったU氏の言葉
もう一人は、私の銀行新人時代の上司、Uさんです。当時、社会人としてもなかなか殻を破れない私に、仕事やQC活動を通じて、熱心な指導をいただきました。
窓口業務に、やりがいを見い出せない私に対し、Uさんは、「次工程はお客様」という言葉を教えて下さいました。
この言葉は、日本生産性本部で、仕事に取り組む精神として受け継がれているものですが、Uさんが、日本生産性本部の研修生として自ら学び、実践し、モットーとしている言葉として、教えて頂きました。
この言葉を胸に刻んで仕事に取り組むようになってから、仕事への取り組み方、進め方が大きく変わりました。以来、私の職業人生というより、人生そのものの背骨となっている言葉です。
3. 村上RADIO(特別版)の放送
3月18日(金)23:00~23:55、村上春樹さんがDJを務める”村上radio(
TOKYO FM)の特別番組「戦争をやめさせるための音楽」が放送されました。
村上さんの軽妙かつ含蓄のある語りと共に、11曲がオンエアされました。
11曲の中には、村上春樹さん秘蔵の音源から、初めて聴く曲もあり、ジョン・レノンのImagineも取り上げられました。(番組では、Jack Johnsonが歌ったものが放送されました。)
1971年にリリースされたImagineは、当時泥沼化していたベトナム戦争が制作の背景にあったとされます。ジョン・レノンの平和への願いとも言える曲で、ジョン・レノンは、オノ・ヨーコと共に、一貫して戦争反対の立場を貫き、様々な平和運動を行なっています。
”音楽に戦争をやめさせるだけの力があるのか?正直言って、残念ながら音楽にはそういう力はないと思います。でも聴く人に「戦争をやめさせなくちゃならない」という気持ちをおこさせる力はあります。今日は8曲か9曲の音楽をかけるつもりですが、それだけを聴き終えたとき、おそらくあなたは前よりも強く「戦争をやめさせなくちゃならない」という気持ちになっているはずです。おそらく・・・・。(番組冒頭の村上さんの語り)”
村上さんのメッセージは、音楽と共に心に響きました。ジョン・レノンの妻(オノ・ヨーコさん)は、平川唯一氏の玉音放送の英訳を担当した加瀬俊一さん(※当時、外務大臣秘書官)の姪です。不思議なつながりに驚きました。
※平川唯一氏の次男、平川洌氏が、著書”「カムカムエヴリバディ」の平川唯一”(PHP文庫)の中で、長年にわたって玉音放送の英訳者を探す過程で、ようやく加瀬俊一さんに辿りついたことを語っています。
4. 『点』をつなぐ
「現在-過去-未来」のそれぞれの『点』が、どうつながって行くのか、誰にも分かりません。しかし、過去は、「今ここ」の積み重ねの中にあります。「今ここ」の『点』をつないで行くことが、生きることであり、その軌跡がキャリアと言えると思います。
・平川唯一さん(1902.2~1993.8)の二男、平川洌さんが、「平川唯一を演じるには、ピッタリの人」としたさだまさしさんが、平川唯一役を演じ、
・村上春樹さんが、”戦争をやめさせるための音楽”の中で、ジョン・レノンの”Imagine”を選び、
・ジョン・レノンの妻、オノ・ヨーコさんは、平川唯一さんの玉音放送の詔書の英訳者である加瀬俊一氏の姪である
~ここには、時空を超えた点と点のつながり、平和への強いメッセージとしてのつながりがあります。
私は、「戦争を知らない子供たち」の世代ですが、戦争を経験していなくても、聴き・語り・伝え、繋いでいくことの大切さを思います。
直接経験していないことでも、想像する力(Imagine)を持って、聴き・語り・伝え、繋いでいくことが大切ではないでしょうか。
「キャリアとは自分らしく生きた証」
キャリアコンサルタントとして、クライアントが、「現在-過去-未来」にある『点』の存在に気づくこと、そして、『点』と『点』をつなぎ、「ありたい自分」の物語を紡ぐこと、その支援をしたい、と考えています。
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