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日本人は御洒落でいられるものなのか2

前回は、令和の森ガールを事例として取り上げ、日本人は御洒落でいられるものなのか、と私見を述べてみました。

「令和の森ガール」は、個々人というミクロではエッセンスとして取り入れて良いと思います。
一方、国内のファッションアイコンが不在であるため、ハードルが高いのだろうとも思います。

今回は、ファッションアイコン以外の側面から、述べていきたいと思います。

森ガールはデコレーション

「令和の森ガール」とはデコラティブトレンドの具現化の一つです。

花柄や刺繍といった要素を盛り込んでいったら、森にいそうな感じになった、というもの。

基本的にはデコレーションなんですね。
長かったノームコアへの反動の一つです。

今までは、オーバーサイズトレンドにより差異を生み出していたトレンドが、花柄や刺繍といったデコラティブトレンドによる差異へと変化して、令和の森ガールになっているのでしょう。

ゆえに、マストレンドとしてはハードルが高く、中々取り入れにくくなっています。
基本的にはデコレーションですからね。

デコラティブトレンドは基本的に難しいもので、だからこそ、エッセンシャルに取り入れることが御洒落とされます。

色数を絞るほうが「大人らしい御洒落」になる、という理屈ですね。

大人らしいけど大人しい

しかしながら、です。

「大人らしい」けど「大人しい」。

色数を絞るほうが「大人らしい」のは確かです。
けれどもそれでは「大人しい」わけです。

デコラティブトレンドなのに大人しい。
それで御洒落になれるものなんでしょうか。

大人らしいのは御洒落です。
最近の話ではなく、昔から。
シックな御洒落という概念が昔からあります。
(伊丹十三さんは「シイク」と仰っていました。)

けれどもそれは、メンズファッションの話。

メンズファッションは絵画の額縁です。
メンズファッションは生花の花瓶です。

額縁や花瓶は大人しいほうが良いのです。
額縁や花瓶は主役ではないわけですから。

主役が主役になれているか

一方で、レディースファッションは主役です。
レディースファッションは額縁や花瓶ではない、絵画や生花なわけです。

森ガールは、ガールである以上、主役なんです。
令和の森ガールは派手で良いんです。

かつて平成の森ガールであった女性が取り入れる場合、エッセンシャルに取り入れるほうが良いとされています。(前回拙稿参照。)
平成の森ガールだと思われたくないからです。

けれども、デコラティブトレンドへの移行期で、主役であるはずのレディースファッションなのに「色数を絞る」のは、大人らしいけど大人しい。

それで御洒落になれるでしょうか。

かつて平成の森ガールであった人ならなれます。
かつて平成の森ガールだったことが一度もない、令和の森ガールは、どうでしょうか。

令和の森ガールは主役になれていますか。

中々そうは思えない気がしますね。
そういうところからも、私は「日本人は御洒落でいられるものなのか」と思います。

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