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ひこにゃんの忍び装束が「茶色」になっている理由

前回に続き、忍者の話にします。
2月22日は忍者の日と猫の日ですからね。

今回はひこにゃんの忍び装束の話にします。

ひこにゃんの忍び装束は茶色

ひこにゃんの忍び装束は茶色です。

リンクを貼っておきました。
どう見ても明らかに茶色ですね。
(わるにゃんこ将軍の忍び装束の色は別ですが。)

衣装を発注した担当者たちがしっかりした人々であることが、忍び装束の色で分かります。

甲賀忍者は茶色であるからです。

滋賀県彦根市は滋賀県甲賀市ではありません。
井伊家は武将であり忍者ではありません。
赤揃えを忍び装束と併用することはありません。

しかしながら甲賀忍者の色を知っていて、かつ、ひこにゃんが忍び装束を着るなら甲賀忍者であると主張した担当者には、知見があります。

そこで易きに流れることなく、「黒でいい」とはしていないこと。
また、「茶色で行こう」と判断したということ。

担当者に知見があるだけではなく、各層の判断が全て優れていなければ、こうなっていません。
チームとして地力があるように見受けられます。

甲賀忍者は茶色である

では何故、甲賀忍者は茶色であるのか。
近江の伝統産業が柿渋染であるからです。

柿渋で染めているので、真っ黒にはなりません。
ただ、柿渋なので「黒に近い色」にはなります。
鉄分を多く含む水に触れると、茶色から焦茶色になっていくためです。

何度も何度も洗って色が濃くなった忍び装束は、「黒に近い焦茶色」になるわけです。

ただ、焦茶色になるのは甲賀忍者です。

伊賀忍者は紺色である

甲賀忍者とは違い、伊賀忍者は紺色です。
正藍染の紺色が伊賀忍者の色です。

紺色は極めて濃い場合には黒に近く見えます。
現在、ミッドナイトブルーが「夜会においては」黒よりも黒であるとされているようにです。

ただ、黒に近く見えるのは「夜会においては」の話です。日光の下では青く見えます。

イメージしやすいのは日本代表の勝色です。

紺色を何度も染めて濃紺にしていくと、染めても変わらなくなる色、留紺(とまりこん)になります。

日本代表の勝色は、留紺のような色であるため、「黒に近い」という表現が伝わると思います。
(下記リンクの首周りが勝色です。)

現在ではコスプレであるのだが

現在では、三重県伊賀市でも滋賀県甲賀市でも、観光客向けになっています。

ゆえに、伊賀市でも甲賀市でもコスプレです。
忍び装束ではなく、忍者のコスプレです。

忍者のコスプレであるため、黒が多いのです。
また、当時の染色技術では明らかに無理な色だと思われる色(桃色など)がいくらでもあります。

そんな中、武将の猫であるひこにゃんが、忍者のコスプレをするならば、赤でも良かったはずではありました。

赤揃えの兜に合わせて、赤い忍者のコスプレでも構わなかったはずなのです。

しかしながら、ひこにゃんとその関係者の人々は忍者のコスプレにはしていなかったのです。

ひこにゃんは茶色で、甲賀忍者の忍び装束にしてあった、コスプレでなかった、ということです。

コンテンツが観光客向けとなって、本場でさえがコスプレとなっていくにも関わらず、本場の色、甲賀忍者の色を知っていて、判断する関係者は、地力のあるチームだと拝察できるのは、そういう理由があるのです。

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