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ナイロビの蜂

https://movies.yahoo.co.jp/movie/323841/

上記のサイトには監督と主演の男女俳優のインタビューが載っています。

 このインタビューで監督が語っていて、合点がいった。この監督は編集好きのようだ。どうりで引き込むようなカット割りをすると思った。冒頭の大空を白い鳥の美しい隊列が描かられた後に、その下で行われた殺害の現場が映し出される。その後も静と動、陰と陽のコントラストがカットで対比され、それを表現するカメラワークで序盤から惹き込まれていく。

 それからは原作がジョン・ル・カレだけあって、ストーリーで惹き込まれる。しかし通底するコンセプトはやはりコントラストではないか。前述した編集のコントラスト。第一世界と第三世界のコントラスト。富裕と貧困のコントラスト。そして男女のコントラスト。

 心優しき穏やかな外交官の男と、激しく使命感の強い弁護士の女。女は男を利用したのか。そうだとしてもそこには確実で大きな愛があった。男を守るために。その男女間の疑念もスパイスになっている。この正反対な夫婦の緩衝材と伝達役的な、女の従妹で涙もろいラテン系の弁護士も愛らしい。

 ノンフィクションだが、監督は母国ブラジルの医療問題とアメリカの製薬企業の現実も反映しているという。いつものようにアマゾンプライム・ビデオで観たが、コロナが流行り始めたら、パンデミック系の映画を追加してきたアマゾンだから、この作品もコロナのワクチン開発を想起させるように追加されたのではと思ってしまう。

 不正に孤軍奮闘する人間たちが国家レベルの相手を追い詰めようとするサスペンスとラブストーリー。そして私自身がまだ知らないことが多いアフリカの問題を提起してくれる作品だった。

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