身の丈【エッセイ コラム】
早大のオープンカレッジの「文章教室」が、4月10日に再開。その3回目のお題、「身の丈」でした。しかし、「緊急事態宣言」発出中。師匠がおっしゃる「菅原洋一」(今日でお別れね♪)と、尾崎紀世彦(また会う日まで♪)になってしまうかも・・・。
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一昨年末。大学共通試験で活用される英語民間試験について、萩生田文科相が「身の丈に合わせて、がんばって」と発言し、顰蹙(ひんしゅく)を買った。「あんたに言われたくないよ。特に教育のトップに」。そもそも、子どもに「身の丈」を意識させるような格差があることが、政治の不毛、怠慢を露わにしているからだ。
「身の丈」は、本人が使うと謙遜の言葉になるが、「あなたは身の丈に合った生活をせよ」と、他人に言うと、傲慢で、厭味である。
97年。17年勤めた会社を47歳で辞め、会社を興した。同じ年に三木谷氏が「楽天」、翌年に前澤氏が、ZOZOタウンの前身「スタート・トゥデイ」を創業。インターネットの可能性が期待されてはいたが、普及するかどうか、まだまだ微妙な時期だった。
資金は、退職金とわずかな蓄え。その額で可能な、ウェブデザイン会社を選択した。
結果、「楽天」と「ZOZOタウン」は、ご存知の通り。志の高さの違いか。リスクを超える構想を持てていれば、結果は違ったかもしれない(失敗もあっただろうけど)。「身の丈」を冷静に分析。かけ離れ過ぎやしないか。逆は、そもそも独立に踏み切れなかった。相応の事業を展開した、と思う。「月旅行に行く」まではいかなかったが、ほどほどに。
しかし、子たちには、「少年(こたち)よ、大志を抱け」と言えるような国であるべき、と考える。