宗右衛門町ブルース【エッセイ】
「僕」は、社会貢献度は高いほうと自負している。が、人気がない。無視されることさえある。決してイケメンってわけじゃないからかもしれない。アフロヘアーのようなチリチリしたヘアースタイルが受けないのかもしれない。ひたすら引き立て役に甘んじている。とても主役にはなれそうもない。ま、バイプレーヤーでも、「名」がつけばヨシとするが。
「僕」の名前は、パセリという。
同じ宿命の仲間がいる。まず、刺身の傍に寄り添い、下に敷かれる、ダイコンくんや大葉くん。好いてくれる方もいるが、だいたい、そのまま残される。次に、にんじんくん。彼は、特に子どもに嫌われる。和製ハーブといわれる花穂紫蘇さん。彼女は、観賞用と誤解されることが多い。最後にクレソンくん。ヨーロッパ出身だけあって、西洋料理を盛り立てる。「僕」たちは、添え物( もん )と言われる。
そんな「僕」が、数年前、「ガッテン」に出演したことがある。初の主役をはった。NHKで、だ。男は見かけじゃなく、中身と言ってくれた。ビタミンが非常に多く、他の野菜の数倍。あと、美肌効果だってある、と。
最近、添え物仲間でその社会貢献度を普及する協会を設立した。そして、協会のテーマソングを、「宗右衛門町ブルース」にした。
いちょう並木に春が来る 君にも来るよ、幸せが なぜかかなしい 宗右衛門町(そえもんたち )よ、と。