人格【エッセイ】
私には、幼馴染がいない。
物心ついてから小学六年まで、北海道の六か所もの町に住み、四回、転校する。だから、幼馴染はもちろん、小学から続く友もいない。
父は、食糧庁(今はない)の検査官。米とか農作物の品質を、等級で判定する。農家にとっては、検査結果が収入に大きく関わるので、農家との癒着を防ぐために、短期間で異動させられる。最短で九か月の地も、あった。
転校は、とても嫌だった。友達と別れるのが、とてもつらかった。新たな学校への不安も、ある。が、いつしか、自分を納得させる術( すべ )を、身につけることになる。次はどんなかわいい子がいるだろうかとか、何らか楽しみになるようなことを、自ら創りだしていた。
また短期の在学と自覚しているから、友達を作るのは極めて早い。野球が得意だったので、クラブに入り、すぐに友達になる。
が、過去をこだわっても辛いだけなので、妙に諦めが速い子ども、でもあった(浮気性なところも関係しているかも・・・)。反面、過去よりも今日、明日へと、前向きな姿勢が身についたとも、思う。それは、そのあと半世紀の生き方に、つながっている。
むろん、『北の国から』の舞台の麓郷や美( び )馬( ば )牛( うし )をはじめ、空知川、石狩川が流れ、大雪山系や、暑寒別岳などの大自然、大らかさに囲まれた六つの町々もが、私を育んでくれた。
※画像は「ふらのジャム園」サイトのものを使用しています。