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志(こころざし)【エッセイ】六〇〇字

 早大エクステンション「エッセイ教室」春講座。2回目の課題、「志」。自分の人生、アメーバのように、ただただ刺激ある方に走ってきただけなので、「志」なんて大仰なものはなかった(たぶん)。しかしそうは言いながらも、ちょっとだけ拘ったところがあったとすれば、こんな感じ、かな?
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 四十七での起業だったが、二十年続け、ほどほどながらも現役を締め括ることができた。それは、「かわずの決断」があったからかもしれない。
 クラーク先生ゆかりの大地の、ド田舎で育ち、東京という「大海」に勇んで出てきたのだが、「井の中の蛙」であることを思い知らされた。大学四年になり同期の多くが「大樹の陰」をめざす中、「蛙」は決めた。「競うのはよそう。自分の流儀でやってやろう。ただし、誰もやりそうもないことを」と。
 そんな頃、四年間バイトした店のオーナーに誘われる。後にブームとなる郊外レストランのチェーン化事業だった。結果的に二年で頓挫することになるのだが、この体験が、後のキャリアアップに繋がっていくことになる。
 二度の転職を経て、三十路から勤めた会社で、天職となる仕事と出会い、十七年目で独立を決めた。失敗はありながらも、独立独歩な「蛙」の意志を持ち続けることができた。
 しかし、遅い起業と「身の丈」を過剰に意識してしまったせいか、失敗を避け安全運転し過ぎたことに、悔いがないわけではない。なので、若人たちには、こう伝えたい。
 「目標は高く立て、挑戦していって欲しい。たとえ失敗して『丈』を知ることになっても、そこから努力していけばいいのだから」と。
 どんな「井の中」であっても、上空には無限の宇宙が広がっているはずだ。

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