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こだわり(番外篇)「笑み」【エッセイ】六〇〇字

 早大エクステンション「エッセイ教室」秋講座。3回目のお題が、「笑み」(600字)。「笑み」、笑い顔とも違って、微妙な、かすかに表情が緩むって感じでしょうか。独立して、伊勢丹に入り込み、社員と一緒になって仕事していくのに欠かさなかったのが、「笑み」でした。それが、「菊地さんを知らない社員は、潜りよ」と言ってもらえるようになれたのかと、思っています。(笑
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17年勤めた会社を辞め、46歳で独立。「金もない。コネもない」。『ないないづくし』の内藤やす子。あるのは、生来の愛嬌だけ。
 だが救いは、黎明期だったWEBデザインを事業として選んだこと。大手がまだ様子見の時期。「個人力」でも、なんとかなった。
 知人が伊勢丹にいたというだけで、社員が2名だけの準備室にも通えた。「産まれて最初に出会うのが親」とばかりに、出会いを大切にしたことも、後に、成功する要因となる。
 「取引先を限るとリスキー」と、よく言われる。しかし、メリットのほうが大きかった。一社に絞る会社は他に、ない。頼みの取引先であるがゆえ、「イセタン命」と、おでこに書いてあるようなもの。私への信用にも繋がる。デジタルの分野ではあるが、営業は、アナログ。「愛嬌」が、利点となっていった。
 新しいメディアなので、管理する部長は兼務。窓口の社員のほうが、情報感度が鋭い。そこで浮かんだのが、「将を射んと欲すれば、先ず馬を射よ」。「馬」にするのは失礼だが、担当者と心を通わせることを、大切にした。
 そのために心がけたのが、朝一のオフイス訪問。パーテーションに、顔をちょこんと乗せ、志村けんバリの「ニン」「おはようございます」と、ご挨拶。すると、オフイスの空気が緩む。この雰囲気が、仕事の潤滑油となり、「馬」から「将」にも、伝わっていった。

(おまけ)
 先週の土曜日に「トイレ」の貼り紙について書きましたが。翌日の東京新聞朝刊「筆洗」のテーマも、「トイレ」。(笑
 そして、同日の朝日新聞朝刊「天声人語」に、新聞受けの「貼り紙」がアイテムになっていました。(笑

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