ZFCで遊ぼう No.5
さて、今回はZFCの公理を一つずつ読むときのはじめのクライマックス、無限公理に行きましょう。
無限公理
∃A(∅∊A∧∀x∊A(x∪{x}∊A))
えーと、これはwikipediaからとってきた式なんですが、いくつか今回の記事では導入していない記号があって不親切なんですが、決してこの記事は教科書ではないんでこのまま読みます。
∃A( 次に述べるような集合が存在する。
∅∊A その集合には空集合が属していて、
∧ さらに、
∀x∊A( その集合に属しているような∀の要素は
x∪{x}∊A)) その後続数もその集合に属している。
ここではAという集合がいまから作りたい集合で、Aには0(空集合のこと)が属しています。
A={0, ???}
そして、Aに属している要素は全てその後続数もAに属しているとのことなので、いまAに属している0の後続数、つまり1も属しているはずです。
A={0,1, ???}
そして、1の後続数も同様にAに属しているはずです。
A={0,1,2, ???}
2の後続数も同様です。
A={0,1,2,3, ???}
3の後続数も。
A={0,1,2,3,4, ???}
4も。
A={0,1,2,3,4,5, ...}
さて、このように、どこまでも続く後続数の列がすべて属しているような、そういう集合があるということですね。このような集合の要素の数はいくつあるのでしょうか?
10個でしょうか?いやいや、10も0の後続数の後続数の後続数の後続数の後続数の後続数の後続数の後続数の後続数の後続数ですから、属しています。0~10までで11個の数がありますから、10よりも多そうです。というか、どんな自然数nを持ってきてn個だといっていても、nは属していますから、少なくともn+1個はありそうなので矛盾します。つまり・・・この集合の要素の個数は・・・自然数ではありません。ではなんなのでしょうか・・・。
そうです、無限です!無限個の要素を持つ集合なのです!
ですから、この公理を無限公理というのですね。
さて、こんな無限公理を、書家、画家のTK Somさんに書いていただきました。
力強いですね!まさに無限って感じがします!
ちなみに、無限公理で作ることができる最も基本的な集合が{0,1,2,3,...}なんですが、これは自然数全体の集合です。ところで、これに後続数を考えることができます。
Aの後続数とは、Aと{A}の和集合でした。
つまり、Aの要素と、A自身を要素に持つ集合です。
つまり・・・
{0,1,2,3,...,{0,1,2,3,...}}
これです!自然数全体の集合をNと書けば、
{0,1,2,3,...,N}
と書いてもいいですね。もちろん、これはもとの集合Nとは異なる集合です。なぜならNの要素は全て有限集合ですが、Nの後続数はひとつだけ無限集合を要素に持つからです。
こういう文脈で自然数全体の集合を考えるときは、しばしばωという記号を使いますね。Nとωはまったく同じ概念を表すものです。
一度無限の世界に来てしまえば、
ωの後続数を
ω+1
その後続数を
ω+2
その後続数を
ω+3
・・・
とどんどん作っていくことができますね。
はじめは0もなかった世界から、とっても豊かな世界にこれました!
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