24時間働けますか♪ジャパニーズビジネスマン♪
<昭和の働き方を続ける国家公務員>
働き方改革が叫ばれて久しく、残業時間が減少し労働環境が改善しているにも関わらず、いまだに昭和の働き方、『24時間働けますか♪ビジネスマン♪ビジネスマン♪ジャパニーズビジネスマン♪』が残っている職場があります。霞ヶ関の国家公務員です。
国会で予算委員会を開く2〜3月は仕事から解放されるのは29時、朝5時です。首相が勉強会を開く朝6時までに官僚が想定問答を揃えないといけないためです。睡眠時間はこの1時間だけです。異常な仕事になるきっかけは質問通告書にあります。質問内容が分からなければ、あらゆる質問と答弁案を用意します。
中央省庁が労働問題を解決できない理由は、政治家が外生変数になっているためです。
内閣人事局は2020年10〜11月、国家公務員が正規の労働時間外に勤務先にいる在庁時間を調べたところ、20代総合職の3割が過労死ラインの月80時間を超え、月100時間超も2割弱いました。
キャリア官僚にあたる国家公務員の総合職の申込者数は、2021年度は1.7万人と2011年度と比べて1万人減となっています。
経団連が実施した調査によれば、2019年の年間残業時間は184時間で、2014年比1割近く減りました。人事院の調査に基づく国家公務員の場合、2020年の本省職員の年間残業時間は358時間で、2014年とほぼ横ばいでした。人事院が2021年に大学生に意識調査をしたところ、深夜や早朝に勤務が多そうと答えた人が55%です。
<メンタルがやられ、退職者が増加>
国家公務員全体で精神面の不調により一か月以上病欠した人の割合は、2016年度で1.2%でしたが2019年度には1.5%、人数は4186人に上り民間企業の4倍です。
自己都合を理由に退職した20歳代の国家公務員総合職は、2019年度に87人と6年前の4倍です。
<足りない人員は非常勤で>
自衛隊員や裁判官などを除く一般職と呼ばれる国家公務員は2021年7月時点で42万人、うち37%は非常勤です。一般職全体はこの10年で1.8万人ほど増えましたが、この9割超は非常勤です。省庁別にみると、厚労省や内閣府、環境省の非常勤の割合は50%近く、消費者庁も1/3が非常勤です。
<男性中心の社会>
OECDによると、2021年の国家公務員の中級管理職における女性の割合は、ドイツやカナダの50%超と比べ日本はG7で最低の5%未満です。どのレベルの役職で見ても日本は著しく低いです。総合職と一般職、専門職を合わせた国家公務員の2022年度の採用者のうち女性の割合が37%で、10年間で10ポイントほど上がりました。厚労省や防衛省でも40%を超えています。一般的に課長級になるには入省から20年ほどかかります。
人事院の調査によると2020年度は一般職常勤の国家公務員の男性のうち51%が育休を取得し、初めて5割を超えました。2019年度の28%と比べて約2倍です。厚労省が発表した2021年度の雇用均等基本調査では、社会全体で男性の育休取得割合は14%です。ただし女性は長期で育休を取得する割合が高く、男性の育休期間は7割ほどが1ヶ月以下です。
<日本社会の長所はインフラが良いこと>
日本社会の長所は、生活の基礎となる医療・保育・教育などのサービスが政府による保険や補助金などにより相対的に安価に提供され、また犯罪率が低く治安が比較的良好に保たれていることです。こうした広い意味でのサービスは質を考慮した上で国際比較することが困難で、日本社会の競争力を低く見せている可能性があります。
このインフラを支えているのは中央省庁を中心とした国家公務員です。国家公務員が疲弊しサービスが提供できなくなると、日本社会の長所がなくなっていくことを意味します。
<令和の働き方にすることが第一歩>
私が学生の時は、東大に出て国家公務員一種になるというのはエリートの象徴でした。今は外資系ファンドや投資銀行等に行く方がエリートの象徴のようです。ハードワークであることは同じですが、給与が格段に違うこと、今後のキャリアにつながること等が学生の目を引いていると思います。
令和の時代に昭和の働き方を求める国家公務員に人がいなくなるのは必然だと思います。今はインターネットにより情報が瞬時に取得できる状況です。より良い職場環境があるにも関わらず、悪しき環境を選択する人はなかなかいません。外部環境が変わったのであれば、国家公務員も令和の働き方に変えるべきだと思います。
やり方は非常に簡単です。企業が守っている労働3法を中央省庁も守ればいいのです。36協定に代表される残業規制を徹底し、コンプライアンスを遵守します。そうすると確実に今のやり方では回らなくなります。現在の生産性は昭和の数十倍です。数十倍のことを時間を区切ってやれと言われれば、やり方を変えるしかないのです。
考え方しかりDXしかり、現在企業が導入していることを国家公務員も導入すべきです。
<政治家の甘えを正す>
中央省庁が令和の働き方にするにあたって、政治家が中央省庁に甘えている現場も正す必要があります。国家公務員は法律で決められている労働時間の範囲内で働き対応する。対応できない部分は政治家がきちんと対応できるようにやり方を変えるということが必要になります。官僚の答弁書がなければ回答できないという状況は完全に脱却しなければなりません。もっと政治家が自分の仕事をやるべきです。
<『24時間働けますか♪ジャパニーズビジネスマン♪』をやめよう>
『民』と『官』が両輪となり、初めてJapan As No1を取り戻すことができると思っています。『官』のメインは霞ヶ関と政治家です。『24時間働けますか♪ジャパニーズビジネスマン♪』は昭和の話であり約40年近く前の話です。そろそろタイムマシンに乗って現代に戻ってくる必要があるのではないでしょうか。日本の最重要課題の一つだと考えています。