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原子力災害 屋内退避に関する30キロ圏内自治体意見を開示
原子力規制委員会の「原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チーム」が2024年10月18日会合でまとめた屋内退避の運用に関する論点案に対して意見を出したUPZを抱える自治体の意見を入手した。原子力災害対策指針の改定を求める意見が見受けられる。
グーグルドライブ(こちら)からダウンロード可能。(今朝そのアップロードに失敗し、関心の高い人々に直接送っておいたら、入れて下さったので、許可を得て甘えさせていただく。)というわけで、この段落は1月22日、2度目の加筆。
これまでのあらすじ
2024年1月1日の能登半島地震では、家屋倒壊、道路損壊、海岸隆起、集落孤立などで、屋内退避も避難もどちらも困難になる場合があることが突きつけられた。
当初、原子力災害対策指針の見直しへ動くとみられた。会見で「木造家屋が多いようなところで屋内退避ができないような状況が発生したのは事実でございますので、その点の知見を整理した上で、もし、災害対策指針を見直すような必要性があれば、そこはきちっと見直したい」との原子力規制委員長の見解が示されたからだ(既報)。
しかし、その後、紆余曲折し(既報)、原子力災害対策指針にある5~30キロ圏内(UPZ)は屋内退避する前提のまま、その運用についてだけ検討するための「原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チーム」を2024年4月に設置。10月18日会合で屋内退避の運用に関する論点案をまとめた。
その間、チームには自治体からも2者が参加し、自然災害との「複合災害」時の屋内退避の困難性に対する意見が相次いでいたにもかかわらず、論点案にはその文言すら一言もなく、呆れた自治体職員から「このまとめは「単独災害」ですか?」と問われ、ようやく初めて「複合災害」という文字が入った(既報)。
規制庁「指針改正とするかは原子力規制委員会次第」
規制庁は、UPZを抱える自治体(基礎自治体には道府県を通じて)に意見照会し、年度末までに最終報告書を上げるが、その扱いは原子力規制委員会に委ねるとした。記者ブリーフィングで、原子力災害対策指針そのものを改正するかも規制庁に問いかけた際、「それは原子力規制委員会次第だ」という見解が得られたのだ(既報)。
原子力規制委員長「修正というのは、当然起こり得る」
なお、山中原子力規制委員長もまた、10月23日の会見で、朝日新聞記者に「中間まとめ」(修文版)を受けて原子力災害対策指針に取り入れるかを尋ねられ、「何らか一文を加筆するという程度の修正というのは、当然起こり得る」(既報)と回答している。
全自治体の意見をそのまま公表しないので開示請求
果たして11月、規制庁は意見照会の結果、UPZを抱える38自治体から寄せられたとして、「中間まとめに関する関係自治体からの主な意見について」として項目ごとにまとめて公開した。しかし、規制庁はUPZを抱える135自治体の全部が意見を出したのかは精査していない。また「主な意見」にまとめる前の元の意見は非公表だという。そこで開示請求(既報)し、開示決定通知書が届き(既報)、開示実施手続を経て、ようやく昨日、受け取った。
まずは、以下、ファイルをそのまま共有したい、と思ったが、50MB までアップロードできるはずが、6.1MBのファイルが、なぜかできない。後刻トライする。
(1月22日加筆:全体のアップロードに結局失敗したので、泊原発に関係するUPZ自治体(北海道のみで、基礎自治体からの意見はなし)のファイル2つを文末に掲載する)
原子力災害対策指針への加筆を求める意見
原子力災害対策指針への加筆を求める意見は確実に出ている。まずは一つだけを先に以下に示しておきたい。指針を改正しなければ加筆はできない。
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への北海道からの意見(3ページ目)より。
(追加)泊原発に関係するUPZ自治体(北海道のみだった)からの意見
【タイトル画像】
開示された「原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チーム」中間まとめについて(意見照会)への北海道からの意見の一部を筆者がスクリーンショット。